見出し画像

メタリカのリマスターアルバムの話

 メタリカの通称ブラック・アルバムが30周年を記念してリマスターで甦った。

 もうすでにアウトレイジの話題のところで書いたように、30年前の僕はそれほどメタリカに興味はなかった。しかし今聞いてみると、メタリカのブラック・アルバムはメタルの新境地を切り拓く先進性がある。ただ単にヘヴィなリフができあがりましたということではなく、バンドの音楽に対するアプローチが多彩な発想からなされていて、それが新たなファン層を獲得につながり、結果としてメタリカを世界的なビッグバンドに押し上げたのだろう。

 中には初期のスラッシュ・メタルというマニアに好まれる音楽性を失ったメタリカが、より売れるように、より商業的に成功するように舵を切った、いわば妥協の産物のように受け取る向きもあった。それもあながち間違った意見ではないと思うが、いずれにしてもメタリカは狭いフィールドからもっと広いところへ飛び出したということだ。

 さて、そんなメタリカのブラック・アルバムのリマスターがすでに発売になっている。YouTubeではオフィシャルのPVが公開されているため聞いてみたが、動画サイトの音声でも音の分離のよさ、より際立ったサウンドのエッジがよくわかる。

 メタルというジャンルもすでに半世紀が経過し、古いジャンルとなった。昔のアルバムがリマスターされる例も見られるようになってきた。現在のデジタル技術で甦ったアルバムはおしなべて音質が向上し、ときには別物のアルバムのように感じさせるものが出現する。メタリカのリマスターもそのたぐいだろう。

 もともと音質がよく、それも含めてメジャー感を感じさせるアルバムだったブラック・アルバムだが、リマスターによってさらに強力にライブ感とヘヴィさが増しているようだ。

 繰り返しになるが、このアルバムがリリースされた当時それほど熱心に聞いていなかった自分も、リマスターのアルバムを手に入れて聞いてみたくなる衝動に駆られる。こういう再発見も悪くないだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?