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【読書】百年の孤独

話題の本書。
発売早々に買って8月下旬に読了したので、2ヶ月ほどで読めたのでした。

みんな言ってることですが、同じ名前のキャラクターが出てきたりして、誰が誰だかわからなくなってきます。
それも多分、日本人にはなじみの薄い「アウレリャノ」とかのラテンアメリカ系ネーミングというのもあって余計にそうなんでしょうね。
私は途中から、誰が誰なのかあまり考えずに読むようになりました……

とある家の何代か、100年にわたる物語を延々と語るという小説ですが、面白いのは確かです。
土を食うだの数年間雨が降り続けるだの、おまるを溜め込むだのと、なんとも言えない蒸し暑さのみなぎるエピソードが綴られ、どれも面白い。
難解ってわけでもないです。
描写は結構ストレートなんですが、普通だったら会話とか仕草とか風景を描写して物語を紡ぐところ、本書の大半は、あらすじみたいな記述なのです。
それだったらわかりやすいんじゃない? って思うでしょうがさにあらず、あらすじのような叙述のまま大量のページに大量のエピソードを詰め込んで話がどんどん進むので、ついていくのが大変なんですよね。

現代の普通の小説の書き方でこの内容を書いたら数倍のページ数を要するんじゃないかなっていうプロットの詰め込み具合で驚きます。
今回発売された新潮文庫は、何か他のどの文庫より紙が薄い気がしました。
つまりページ数が本の厚みにくらべて多いと思われ、手元のハヤカワ文庫などと比べてみたのですが、やっぱり同じぐらいの厚みであっても、本書はページ数が多いです。
辞書ほどではないですけどね……
これで1,350円というのは素晴らしいサービス精神で、さすが新潮文庫だと思いました。

私はガルシア=マルケスは若い頃に読んでて、フジテレビの「ミッドナイト・アートシアター」で放送された映画『エレンディラ』がものすごく面白くて気に入ったので、原作が入っている短編集『エレンディラ』を読んだのでした。
家には同じ『エレンディラ』のちくま文庫版とサンリオ文庫版がありましたので、
前者を読んで、後者は古書店で発掘したのかもしれません。
サンリオ文庫を持ってるのはちょっと自慢です(貴重っていうほどでもないみたいですが)。
映画の方はDVDがあるようですが入手は難しそうですね。

『百年の孤独』に戻りますが、面白さに加えて、どことなく虚実のはざまにあるようなファンタジーのテイストがありながらも、一貫して人々の孤独さが描かれ続けているところに、文学としての意義があるのかなと思いました。
舞台となる村マコンドでは色々な出来事が起きるし人々は色々なことを起こす。
でも誰もが、生まれてから死ぬまで、人によっては死んでからも、ひたすら孤独であるというテーマが長いタイムスパンの物語ゆえに感じられます。
だからどんな事件も、村の発展も衰退もすべて、虚しく繰り返される狂騒のように感じられます。
ノーベル文学賞をなぜ受賞したか、ある程度はわかったように思うので、そこは頑張って読んだ甲斐はありました。

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