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【映画】ドミノ

後半からネタバレで感想します。
本編より関連映画の話をするのが楽しいので、ネタバレのあとはそんな話を。

イオンシネマは月イチで1200円で観られたり会員だとポップコーンが少し安くなったりと、お得な仕組みが多く私の近所にいくつもあるので最近はメインシアターっていうかメインフランチャイズとなってきています。
それでミタというクーポンが貯まって1本無料になったので、タダで観ました。
そのせいでありがたみが薄かったから…… ということではないと思いたいんですが、あまり楽しめませんでした。

最初に示される能力の行使に制限とかルールのようなものがなく、なんでもできるみたいなので緊張感に欠けて眠くなってしまいました。
後半でおっと思わされる場面が出てきますが、それもなんとなく何でもアリな感じになっててまた飽きてくることに……
最初の破壊シーンの派手さがイケていたので、そういうのがまたくるかなと思ったらシブ目のアクションシーンだけでした。

でも、先日の『ザ・クリエイター/創造者』と同じように原作なしのオリジナルSF映画には頑張れっていう気持ちになるし、ロバート・ロドリゲスの一所懸命さが魅力に感じられる、あまり否定的なことは言いたくない作品ですね。
94分という短い尺の中でコンパクトに映画らしい面白さを詰め込む姿勢とか、こういうのはやっぱりいいなあと思います。

以下はネタバレで。

上記の通りで、今にもどんでん返しがあるんだろうと思うけど、どんでん返しのためのどんでん返しだろうから注意してその伏線を探す…… 的な見方をする必要もないだろうなって思っちゃって、緊張感に欠けてしまうのでした。
後半の敵側を示す赤ジャケット軍団も、最初は白っぽい部屋に映えてカッコイイのですが、あの人たちの努力が見えてくるにつれて、新春スターかくし芸大会みたいだなってちょっと思ってしまい、可笑しさと可愛さがありました。

上で『ザ・クリエイター/創造者』と比較しましたが、娘がキーになる設定、妻との関係など、意外なほど似ていると思いました。
シンクロニシティというものであろうし、この時代特有の何かの意味はありそうです。
少子化社会の中で子供に託す革命の夢みたいな……
ここで掘り下げることでもないとは思いますが。

多くの方がノーランの『インセプション』との類似性を挙げていますね。
確かに似ている要素がある…… がしかし、私は『インセプション』ってあまりいい作品だと思ってないんですよねー。
その主な理由は、インナースペースSFを映画にする上での最大の要素であるべきシュルレアリスティックな光景がほとんどないこと。
前半の街がそりかえってくる、今回『ドミノ』やMCUの『ドクター・ストレンジ』も模倣したイメージは大変良かったのですが、それなら後半にもそういうすごいイメージがあるだろうと期待するじゃないですか。
なにしろ人の精神の最深部、みたいなこと言ってそこまで潜入するわけだし。
ところが何か、妙にリアルな砦みたいなところでリアルな戦闘員とリアルな戦闘を繰り広げるだけ、ってそれは駄目だろうと思いましたね。
『インターステラー』『テネット』は映像的な飛躍を抑えているところが上品でとても良いと思いますが、『インセプション』のあの題材であのイマジネーション不足はなんたることかと思いますよ。
ただ、すごいカーチェイスを展開しているのに同乗者が全員ぐっすり眠っているっていう映像は面白くて、ノーランの「マジメ人間が真剣になってることでの可笑しさ」みたいなのはとても良かったです。
『ドミノ』にはどっちしてもそういうのはなかったですけどね……

ノーラン作品のような大作系というより、『ドミノ』には、ひところよく作られたP・K・ディック原作のB級SF映画群に似たものが感じられました。
その中で観たのは『スクリーマーズ』『ペイチェック 消された記憶』ぐらいですが、後者のは主演も『ドミノ』と同じベン・アフレック。
あの「こんなもんかー、楽しかったからヨシ」みたいな感じですよね。
本当は好きだったのは『スクリーマーズ』の方で、非常に安っぽいCGばかりではありましたが、あのストイックな世界観、ディックの悪夢を再現しようという意思は良かったですね。
原作の『変種第二号』が実に良かったので。
今ちょっと調べたら続編が作られていたようで驚きましたが……

さらに話はそれますが、ディックの短編小説のテイストを最もよく表現した映画は『ヒドゥン』だと思ってて、原作ディックではないし似たものを挙げろと言われても特に思いつかないのですが、ディック原作じゃないの!?と当時驚きました。
あれは最高。


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