中村圭吾

かわづくりのこと、まちづくりのことについて書きます。#河川環境 #多自然川づくり #グリーンインフラ ※ここで書いていることは、個人的見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。 https://www.facebook.com/keigo.nakamura.98284

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はじめまして

こんにちは。国立研究開発法人土木研究所で流域水環境研究グループ長をしています中村圭吾と言います。ここでは、河川環境やグリーンインフラ、地域づくりなどに関して考えていること、みなさんにお伝えしたいことを、あくまでも私的見解として書きたいと思います。 普段はフェイスブックを中心につぶやいていますが、ここでは少し長めの文章を中心に書いていきたいと考えています。 これらの文章が、みなさんが河川環境を考える上で、すこしでも参考になり、日本の、そして世界の河川環境が少しでもよくなれば

    • プロセスベースの河川再生

      河川再生の実務においては、河川生態系の再生を目的としつつも、河川管理において生態系自体を操作できないために、生態系のベースとなる生息場(habitat)の保全や再生を試みようとします。しかしながら、河川は動的なシステムであるために、単純に生息場を再生しても生態系(生物多様性)の再生がうまくいくとは限りません。具体には、ワンドを再生しても、土砂で埋まってしまい、機能しない例などが考えられます。そこで、近年では河川の動的プロセスを理解したうえで河川再生を実施しようとするプロセスベ

      • 民間資本とグリーンインフラを活用した流域治水(概要)~英国・ワイヤ川の適応ファイナンス事例~

        ※その後、詳細の情報を下記の報告書に記載しました。ぜひ、ご覧ください(2024年9月)。 中村圭吾(2024)民間資金を活用した治水と環境の両立した川づくり~英国・ワイヤ川の自然洪水マネジメント~、リバーフロント研究所報告第35号、pp.27-34. 英国初の民間資金を利用する自然洪水対策英国のランカシャー州にあるワイヤ川では、過去20年間に4度も洪水みまわれ、その対策として「ワイヤ川流域自然洪水管理プロジェクト」が立てられました。この自然洪水管理は2010年ころから英国

        • 河川マイスターについて その1 概要

          ドイツのマイスター制度は日本でも比較的よく知られていますが、ドイツ・バイエルン州のみに存在する河川マイスター制度に関する日本語の資料は多くありません。 ここでは、日本ではあまり知られていない河川マイスター(Flussmeister)について紹介し、現地の優れた川づくりを支える技術について考えてみたいと思います。 ドイツの河川マイスターを学ぶことで、日本での川づくりの技術のあり方、技術者育成を再考するきっかけになればと思います。 以下の文章は一部、河川マイスターについて説

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        はじめまして

          法定生物多様性クレジットの価格(案)に関するガイダンスについて

          英国の生物多様性ネットゲイン(※1)政策では開発事業にともなう生物多様性の10%純増が現場やオフサイト(自分で創出、あるいは民間のオフセットバンクで購入)で実現できない場合は、最後の手段として法定生物多様性クレジットを政府から購入することによって純増を実現することができます。排出権取引におけるカーボンクレジットの生物多様性版です。今回その法定生物多様性クレジット(※2)価格案が公表されましたので、速報的に解説してみたいと思います(公表2023年7月27日、最終更新2023年8

          法定生物多様性クレジットの価格(案)に関するガイダンスについて

          環境DNAの社会実装に向けた障壁とその解決策(簡易日本語版)

          土居秀幸、京都大学大学院情報学研究科 生物圏情報学講座 教授 中村圭吾、 (公財)リバーフロント研究所 主席研究員 ※本稿は、以下の英文原稿を機械翻訳(DeepL)を中心に日本語にしたものです。日本語の原稿としては多少不自然なところがあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。筆者らにおいて適宜意訳したり、分かりやすい日本語になるように解説、コメントしている部分も含みます。環境DNAの最新の研究や活用の状況の理解、社会実装に向けた課題やその解決の方向性の参考になれば幸いです

          環境DNAの社会実装に向けた障壁とその解決策(簡易日本語版)

          資料室(プロフィール・成果・講演動画など)(※作成途中です…)

          講演の経歴や研究・検討成果の参考になるようにまとめてみました。 プロフィール社会環境工学者 技術系公務員 公益財団法人 リバーフロント研究所 主席研究員。 河川環境に関する研究を実践的な立場から仲間と幅広く実施し、優れた成果の社会実装を目指す。1971年三重県紀北町(奇跡の川 銚子川の町)生まれ。1994年大阪大学工学部土木工学科卒、同年建設省入省。ノルウェー道路公団(1992年IAESTE研修員)、土木研究所河川環境研究室、スイス連邦工科大学(EAWAG/ETH)客員研究

          資料室(プロフィール・成果・講演動画など)(※作成途中です…)

          生物多様性ネットゲインとは何か~開発事業の新たな潮流~

          英国のイングランドにおいて生物多様性ネットゲイン(Biodiversity Net Gain: BNG)政策が推し進められています。生物多様性ネットゲインとは、開発事業において、生物多様性を保全するだけでなく、純増(ネットゲイン)しようとする野心的なものです。イングランドでは、事業ごとに生物多様性を10%純増させる定量目標が新たに成立した環境法(2021年11月)により明文化され、移行期間を経たのち、2024年2月12日(※23年秋から延長されました)から多くの開発事業におい

          生物多様性ネットゲインとは何か~開発事業の新たな潮流~

          流域治水とグリーンインフラ

          気候変動による災害の激甚化に対応して、国土交通省(以下、国交省)では2020年7月の答申「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」を受けて「流域治水への転換」をはかっています。この流域治水への転換にあたり、答申では「グリーンインフラの活用」をうたっていますが、具体にはグリーンインフラを流域治水にどう生かすのでしょうか?ここでは、グリーンインフラが流域治水の推進に果たす役割を考えてみます。 グリーンインフラとは何か?気候変動をきっかけにサステナビリティ(持続可能性)が時

          流域治水とグリーンインフラ

          ポジティブインパクトアセスメントについて思う

          環境影響評価(Environmental impact assessment)というものがある。河川の分野では、ダムの環境影響評価が最も数が多い。 一般に環境影響評価といったとき、それはnegative impact assessment、つまり悪い影響(negative impact)が深刻でないかを評価することを意味する。 つまり、ダムを作ることにより、その場所にいる生物、あるいは下流の生物に深刻な影響を与えないか、などを評価する。 環境目標という観点からみると環境影

          ポジティブインパクトアセスメントについて思う