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続・敬語の様々な分類

先週は、敬語を「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」に分ける3分類と、「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」に分ける5分類についてご説明しました。

今週は、新たに2種類の分類の仕方についてご紹介します。

ちょっと聞きなれない分類だと思いますので、なるべく分かりやすくざっくりとご紹介しましょう。

「対者敬語」と「素材敬語」

対者敬語とは、相対する者に用いる敬語という意味で「丁寧語・謙譲語Ⅱ」を指します。

素材敬語とは、話の素材に用いる敬語という意味で、「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」を指します。「話題敬語」とも言います。

料理を作るときに、「料理は器から」とよくいいますね。

この器が「対者敬語」。器に乗せる料理が「素材敬語」と思っていただければ分かりやすいでしょうか。

デパ地下で買ってきた総菜を自分一人で食べるなら、買ってきたパッケージそのままでも構いません。総菜がオマール海老だからといって、常に銀の食器とは限りません。しかし、大切な人をもてなすときにはきれいな皿に盛り付けます。とりあえずクラッカーにチーズを載せただけでも、きれいなお皿なら、なんとかなったりもします。

また、前菜からデザートまで使う皿は違えど、どこか統一感のある食器を使うものではないでしょうか。

言葉をこの料理のように考えることで、お皿(対者敬語)をどうするか、載せる料理(素材敬語)をどうするかを別々に考えられるようになります。

※この分類を、私の講座では「あなたの文章ってよみやすい!と言われる敬語講座」で扱います

「主体尊敬」と「受け手尊敬」と「聞き手尊敬」

これは、誰を立てるために敬語を使うのかという視点から分けた分類です。

主体尊敬とは行為の主体を立てる敬語で、5分類で言えば「尊敬語」。

受け手尊敬とは、行為の主体ではなく受け手を立てる敬語のことで、同じく「謙譲語Ⅰ」。

聞き手尊敬とは、話の聞き手や読みを立てる敬語のことで、同じく「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と「丁寧語」。

そもそも敬語とは誰かを立てるために使うものですが、この分類を使って敬語を考えることで、自分はこの言葉を使うことで誰を立てようとしているのかということが明確になります。

考え方によって分類も変わる

再び料理を例に出せば、料理にもいろいろな分類の仕方があります。

手作り vs. インスタント
「最近インスタントばっかりだから、スローフードも食べたいな」

和 vs. 洋 vs. 中
「きょうはさっぱりと和食にしようかな」

外食 vs. 中食 vs. 内食
「たまには外食したいけど、中食で我慢しよう」

敬語の分類もこのようなものです。

敬語をいろいろな方法で分類するということは、それだけ敬語を多面的、立体的に捉えることができます。

なんとなく使う敬語 vs. 能動的に使いこなす敬語

ここまで説明してきたように状況に応じて分類を変えることで、適切な敬語を選びやすくなります。

特に「主体尊敬」「受け手尊敬」「聞き手尊敬」は、敬語の基本となる考え方です。これが分かると、なんとなく使う敬語を卒業して、能動的に敬語を使いこなせるようになります。

※私の講座では「敬意と人間関係を伝える敬語を理解する敬語講座」で扱います。

それでは、また。

世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。