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買い求めやすくなりました~気になる敬語#19

「お求めやすくなりました」「お求めやすい価格です」
このあたりの言葉については、私がnoteを始める前、別のブログで書いた。

そして私の記事を見るまでもなく、ネットで検索すれば、その誤りを説明する記事が多く見つかる。

しかし、今回取り上げる言葉「買い求めやすくなりました」は初めて耳にした気がする。
また、敬語ではないので、私が取り上げる言葉ではないのかもしれない。

それでも、やはり気になる。


どこで使われていた言葉か

私は、この言葉をニュースで聞いた。

野菜が豊作で値が下がったということを、そのニュースキャスターは「買い求めやすくなりました」と言っていたのだ。

聞き間違いかと思ったが、それを受けて別のキャスターも同じ言葉を使っている。

これは、意図的にこの言葉を選んだとしか思えない。

これは想像だが

私の想像だが、おそらくは「お求めやすくなりました」は誤用だと知っていた番組は、それに代わる言葉を探したのではあるまいか。
そして「買い求めやすくなりました」を使おうと事前に打ち合わせたのではなかろうか。

それであれば、少々残念な結果になってしまったようだ。

文法上間違っていなければいいというものではない

「やすい」は動詞の連用形について形容詞を作る接尾辞(語の後ろにくっついて、意味を加えたり品詞を変えたりする言葉)である。
「買い求め」は動詞の連用形である。ならば「やすい」を使って形容詞にすることに文法上の問題はないではないかなどと言ってはいけない。
もしその言葉が文法上間違っていなかったとしても、だからといって何を言ってもよいということにはならない。

例えば☟の言葉を見てほしい。

「このポンコツどもめ・・・。」

という言葉は、どこにも文法上の間違いのない正しい日本語だが、こんなことを言っていい相手はそうそういない。

まかり間違ってもあなたの上司になど言ってはいけない。それがどれだけ事実であろうと。

食べ残しやすい食事

「食べ残す」という動詞はある。連用形は「食べ残し」である。「やすい」をつなげれば「食べ残しやすい」になる。

では、クリームシチューにパイナップルを入れて出したところ、回収した食器には、どれを見てもパイナップルがあったとしよう。
皿に残っているパイナップルは、「食べ残し」である。
このように多くの食べ残しがでるクリームシチューを「食べ残しやすい食事」と言うだろうか。

「パイナップルばっかり残ってるね」
「みんなパイナップル残してるね」
「パイナップル食べないね」

そんな言葉を使うのではないか。

普通が大事

今回のニュースも、「野菜が安くなりました」「野菜の価格が下がりました」など、普通の日本語を使えば、それで十分であろう。

言葉にはルールがある。
ルールを知らないために、何か特別なことをしなければと過剰敬語になる人が多い。
今回は、敬語ではないが、何かかしこまった言葉を使わなければと力んでしまったのかもしれない。

私の想像どおり、スタートが「お求めやすい」の代わりになる正しい言葉を探す、ということだったとすると、灯台下暗しで普通の言葉でない言葉を探してしまったのかもしれない。

複合語は扱いが異なる

そんなとき、「複合語は扱いが異なる」ということを覚えておくとよいかもしれない。

複合語とは、二つ以上の言葉がくっついて一つの言葉になったもののことである。

「お電話」はよくても「お携帯電話」とは言わない。
「お泣きになる」は正しくても「お泣き叫びになる」はおかしい。
同様に、「買いやすい」は避けられなくても、「買い求めやすい」とは言わずに済んだかもしれない。

※今回の場合、客として話しているわけでもないニュースキャスターが「買いやすくなりました」というのは立場上おかしいが、コメントとして「これぐらいの価格になると、いち主婦としても買いやすくなりますね」と言うなら問題ない。

それでは、また。

不適切な敬語は、文法を知らないで使っていることが原因です。知らなくては、正しい敬語を使いようがありません。そして、誰かに聞こうにも教えてくれる人が周りにいないのが、多くの人が置かれている現状です。
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のどか
世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。

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