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精読アレント『全体主義の起源』~読書感想文#30

ゴールデンウイーク、皆さんはいかがお過ごしだろうか。
せっかくの制限解除で旅行に行かれた方も多いだろう。

私は、精読アレント『全体主義の起源』(講談社選書メチエ 牧野雅彦)を読んでいた。いや、ゴールデンウィーク前から読んでいたのだが、解説本であってもなかなか難しく読み進められなかったのだ。

実はこの本は、noteの良心、哲学や政治に明るい庵忠名人から勧められて読んだ本だ。

名人はいつも私の思考を鍛え、世界を広げてくださる。

下記のつぶやきに投稿してくださったコメントです

さて、記事の題名には「読書感想文」と書いたものの、これは、その読書感想文と言えるのだろうか。

私はこの本を読みながら、これが庵忠名人の言う「答え」だろうか、そんなことを思いながら感じたこと考えたことを書いた。

そうしたら、8,000文字をゆうに越えてしまった…。

えー、そこで、この記事は有料とします。
ん~。内容に自信があるからというわけではありません。
どちらかというと自信がないから。
自信がないから有料というのも変な話ですが、安易に読み始めても8,000文字読めないと思いますし、ホロコーストの話でもあり中にはこの文章を読んでショックを受ける人もいるのではないかという心配もあります。
(アレント自身がほとんどの友人を失ったそうですし)
なので、それでも読んでみようという人だけ読んでくださればいいかなぁという意図での有料です。

ただ、私の意見に賛成してくれる人だけが読んでくださいという意味では決してありません。私は、いつでも反対意見は大歓迎です。賛同は私を力づけてくれますし、反対意見は私を成長させてくれます。
どうぞ、読んでくださった奇特な方は、コメントもお寄せくださいませ。

それでは、本文です。
どうぞ。

全体主義とは

アレントのいう「全体主義」とは、ファシズムと共産主義を包括する概念ではなく、それぞれの中から出てくる独特かつ深刻な支配の現象形態を指している。

p.16

要するに、ファシズムや共産主義が全体主義であるわけではなく、ファシズムも全体主義になりうるし、共産主義も全体主義になりうる。
では、全体主義の何が問題なのかというと、

ナチス支配下の絶滅収容所におけるユダヤ人の「最終解決」のような、人間そのものの破壊にまで行きつく異例の事態

p.17

だと著者は言うのだが。
私はここで少し、ひっかかる。
いや、これは「異例」なんだろうか。みんなが「異例」という言葉で見て見ぬふりをしているだけで実は頻繁に起きていないか。
家庭で、学校で、職場で、ネット上で、その他集団が成立するあらゆる場所で。

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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。