見出し画像

「される」って受身形なんですか?それとも敬語なんですか?

先日のアンケートで頂戴したご質問にお答えしたいと思います。

今回は、「される」が受身なのか敬語なのかというご質問です。

結論から言うと、受身形であり、敬語でもあります。
……。
しかし、これでは分かったような分からないような状態のままかと思います。少々ややこしいかもしれませんが、ご説明にお付き合いくださいませ。

まず受身形について説明します。

受身形とは

受身形とは、動詞の語幹にareruを付けた形のことです。

例)
書く  kak+areru = 書かれる
起きる okir+areru = 起きられる
出る  der+areru = 出られる
する  s+areru  = される

「来られる」などの例外はありますが、上記のように理解しておくと、ら抜き言葉(「起きれる」など)や、れ足す言葉(「書けれる」など)を避けやすくなります。

叱られる、ほめられる、笑われる、愛される、見られる、認められる、などは全て受身形です。

受身形の4つの意味

そして、この受身形には、4つの意味があります。

それが、受身、可能、自発、尊敬です。

①受身=他者から何かをされる
例)誰かに財布を盗まれた。

②可能=何かができる
例)苦手なピーマンが食べられた

③自発=勝手にそうなる
例)秋になると、あの人のことが思い出される

④尊敬=その行為をする人を立てて表現する
例)先生も行かれるそうだ

この4つの根底には、「自分がやったのではない」という意味があります。

受身はもちろん他者から何かをされているのですから分かりやすいのですが、「可能」も本当なら自分にはできないはずのことができたわけですし、「自発」は自分でやろうとしたわけでもないのに勝手にそうなるということです。

そして、それが、尊敬表現にもつながります。

敬意は、立てたい人の行為をあたかもその人の行為でないかのように表現する

敬語とは婉曲表現です。行為者を立てるときには、あたかもその人の行為でないかのように表現します。

本当は先生が、先生みずからの意志で行くと宣言したにもかかわらず、「行かれる」とまるで他者からされたかのように、もしくは勝手にそうなったかのように表現することで、敬意を表すのです。

「される」で完成した敬語

「それは先生がされるから、そのままにしておいてください」

「出来上がったものは、1つ1つ先生が確認されます」

これらの例のように「される」「確認される」は正しい敬語です。

「それは先生がおされるから」とは決して言わないように、

「1つ1つ先生が確認される」などと余計なものを付けないようにしてください。

これでは、まさしく不要な足を描いてヘビではなくなってしまった蛇足と同じで、敬語としての意味をなさなくなってしまいます。

くれぐれも、(!)注意されてください。

さて、いかがでしたか?
質問してくださった疑問は解消されましたか?

もっと敬語を知りたいと思われた方は、下記の講座を受講してみてください。

下のURLからのお申し込みで、本当にささやかですが100円OFFになります。

「街で見かけたおかしな敬語から、敬語の間違いTOP3を知る講座」by 遠入 のどか|ストアカ
3年間、巷の間違った敬語を集めてきた中から、Top3をお伝えします。これを知っておくだけで敬語の間違いの8割は防げます!

それでは、また。

世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。