ハイ!よろこんで!
まん延防止等重点措置の適用に伴い、飲食店の営業時間や酒類の提供が制限されました。
仕事帰りに居酒屋で一杯、という人が、ようやく安心して飲みにいけると思ったのもつかの間、またかとがっかりした人も多いのではないでしょうか。
酒なら家でも飲めます。けれど、居酒屋にみんなで行って、「ハイ!よろこんで!」という声を聞くと、それだけで元気になりますよね。
今や業界スタンダードにもなったこの言葉について、今回は考えたいと思います。
なぜ元気が出るのか
この言葉、元は「庄や」や「やるき茶屋」で有名な大庄グループが使い始めだそうで、「ご来店のお客様に、やるき茶屋ならではのお声がけをしよう。」と考えて決まった言葉なのだそうです。
※この言葉の誕生秘話はこちらをご覧ください。
それにしても、今や居酒屋といえば、この言葉を連想するようにまで定着した言葉ですが、なぜ、「ハイ!よろこんで!」と言われると、人は元気になるのでしょうか。
それは、そこに敬意があるからです。
アメリカの「ハイ!よろこんで!」
外資系企業勤務のサザヱさんは、"I'd be happy to +動詞"を紹介していらっしゃいます。
これは、日本語では、「喜んで~します」という意味だそうです。
このように、会社で部下が上司に使うことを想定されているので、「ます」と丁寧な言葉遣いですが、言葉の持つ意味は全く同じです。
この言葉は、上司の命令を尊重し自発的に指示を承る姿勢を表しています。つまり「敬語」の役割を果たしているということです。
居酒屋、飲食店は必要な場所
働くとは、誰かの役に立つということです。仕事によって、直接的か間接的かの違いはあれど、誰かを支え誰かに奉仕していることに変わりはありません。
しかし、支えっぱなし、奉仕しっぱなしで平気でいられるほど、人間は便利にできていません。支えたら誰かに支えてほしいし、奉仕したらその分誰かに奉仕してほしいと思う生き物です。
そんなとき、注文したビールがただ出てくるのではなく、「ハイ!よろこんで!」と言ってもらえる。これは、敬語ではないかもしれませんが、間違いなく敬意を表す言葉である、敬意表現です。
冷蔵庫から自分で取り出したビールでは満たされないものが満たされるから、みんな居酒屋へ行くのではないでしょうか。
大変な時期が続きますが、居酒屋も飲食店も人にとってなくてはならない場所です。どうぞ頑張ってください。
それでは、また。
世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。