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おかしな敬語の代表選手「ご遊技される」~気になる敬語#8

今回は、ある店頭で見つけたポスターです。

カット済み_ご遊技される

「遊戯」ではなく「遊技」ということは、麻雀、パチンコなど一部業種に限られるわけですが、この間違いは業種を超えて非常に多く見られます。

以前の記事で、なぜ間違いかということを詳説しました。

簡単にいえば、「ご~される」と客に向かって言うということは
「俺様の大切な客」と言われるようなものです。

そこで、今回は別の角度から説明をしましょう。

「ご~される」という敬語の型はない

遊技をするその人を立てたい(=その動詞の行為主体者を立てたい)という目的で使える型は基本的に以下の3つです。
※「~」には動詞が入ります(ここを詳しく説明すると、ややこしくなるので、いったん「動詞」とざっくりまとめておきます)

受身形 「~れる」「~される」 
 例:座られる、確認される など

付加形 「ご~になる」「お~になる」
 例:ご確認になる お座りになる など

特定形 その動詞ごとに特定の形があるもの
 例:召し上がる いらっしゃる など

この3つの型のどれにも当てはまっていないので、こんな使い方はないということになるのです。

3つの型から適切なものを選ぶ

それでは、この3つの型がどんなときでも使えるのか、どれを使ってもいいのかというと、そういうわけではありません。

この動詞にはどの型が使えるのか、複数の型が使える場合には表現したい敬度に合わせて選ぶということになります。

さて、ここで「敬度」という言葉が出てきましたので補足しておきます。

敬度とは

「敬度」とは、立てたい対象に払う敬意の度合いという意味です。お辞儀に置き換えれば、軽い会釈でいいのか、きちんとお辞儀をする必要があるのかということです。

同じ動詞に対して、受身形・付加形・特定形の3つが使えるなら、この順番で敬度が高くなります。

そこで、ビジネス敬語の基本としては、受身形は使わず、付加形か特定形を使うということになります。

しかし、ここで、もう一つ問題があります。

今回の例でいうともう一つ問題があります。それは、そもそも「遊技」がスル動詞にならないということです。

スル動詞とは

スル動詞とは、「勉強する」「返信する」のように「名詞+スル」の形をとって動詞になった言葉です。

ただし、名詞であればなんでもスル動詞になるわけではありません。

例えば「お茶する?」はスル動詞ではなく、仲間内という関係性でのみ使える省略された言い回しであり、ビジネスであれば「お茶でもいかがですか」と言わなければなりません。

「遊技」も「スル」が付かない名詞なので、①②③が使えません。

「お茶する?」のように、フランクな口語として使うということなら構いません、正しい文章としては使えないということです。

正しい敬語で書いたポスターの例

遊技をなさる
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快適な空間をお届けします。

いかがでしょうか。
不適切な敬語は、文法を知らないで使っていることが原因です。知らないことには正しい敬語を使いようがありません。そして、誰かに聞こうにも教えてくれる人が周りにいないのが、多くの人が置かれている現状です。私も周りに聞ける人がいなくて敬語を身につけるのに苦労しました。そこで、こんな記事を書いております。ご自身の敬語が気になる方は、どうぞ参考になさってください。

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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。