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「おなら」は敬語?

今月、敬語クイズをやってみましたが、そのときに頂戴したコメントが今回のお題です。

いつもありがとうございますm(__)m

「お並びください」が正しいかどうかがご質問の主旨かと思ったところ、どうも少し違うようで……。

重ねてありがとうございますm(__)m

「敬語とかどうとかではなく」と言われましてもこちとら敬語講師なんで(笑)そこはがっつり無視して、今回は「おなら」について文法的に解説してみたいと思います。

他者を立てない敬語【美化語】

敬語とは、誰かを立てる目的で使うものですが、独り言で「明日、お弁当持ってかなきゃ」というときの「お弁当」は誰も立てていません。このように他者を立てる目的を持たないのに「お」が付く言葉が多くあります。これらは、敬語と区別して美化語と呼ばれます。中には、「おにぎり」のように「お」を外すと「にぎり=寿司」の意味になってしまうものもあれば、「ごはん」のように「ご」を外して「はん」だけでは意味をなさなくなってしまうものもあります。

「おなら」の場合

では「おなら」の「お」を外すとどうなるでしょうか。
そう、「なら」ですね。これも、「ごはん」と同じで「お」を外すと意味をなさなくなってしまう一つです。
では、「なら」とはなんでしょうか。漢字で書けば「鳴ら」です。

偉い人が、楽器を奏でるなら「お鳴らし」とも言えますが、失礼なことを敬語にすると嫌味になり、失礼さに輪をかけます。
また、この言葉の成り立ちは室町時代だそうで、言葉の最初に「お」を付けて最後を省くという女房言葉のようです。言ってみれば当時の流行りですから、今でいえば「あけましておめでとうございます」を「あけおめ!」と言う、みたいなものでしょうか。
それにしても、「おなら」が室町時代から変わらずに使われているとは、すごいですね。

あべみょん様、ありがとうございました。

「お並び」と「お鳴ら」

「おならびください」は「お並び」、
「オナラ」は「お鳴ら」、
今後はそのように聞き分けていただけますでしょうか。
(いやいや、耳から聞くんだから無理だってWWW)

それでは、次回こそ、「お並びください」が正しいかどうかをクイズ形式でやりたいと思いますので、皆さま奮ってご参加ください。

それでは、また。

世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。