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観たい人が観たいタイミングで観てくれる

私はかなり好きな作品なので、見たい人も結構いるかと思ったんだけど、私の勝手な勘違いだったのかもしれない。

今週観る作品は『ファインディング・ニモ』だったのだけれども、開始の5分前の19時10分になっても誰も来ない。
なにしろ、毎週観る作品を家の前のボードに書いて出しているだけなので、私の家の前を通る車しか目にしないではある。それでも私の家はちょうど街に出る国道の手前の踏切のまん前なので、山の方の集落から街に出る人は、必ずここを通るのではある。ここは限界集落という言葉が生まれた(らしい)高知県の大豊町である。
誰でも見にきていいし、無料なので、そういうことも大きめのホワイトボードに書いて掲げている。でも逆にそういうのが怪しく感じる人もいるのかもしれない。「きっと観た後に、何か売りつけるのよ」とか言われてるのかもしれない。

ピクサー作品は敵をやっつけるだけみたいな内容ではないので、大人も子供も楽しめる。そういう作品をしばらく観るようにしてみようと思ってはいる。
土曜日の夜の19時なので、高齢者の人とかはなかなか来れる時間ではないし、小さなお子さんのいる方が親子で見に来くるのを想定して作品を選んでいる。

「私がスゴく観たかったから見るんですよ」とか自分に言い聞かせるように言いつつ再生をはじめた。プロジェクターから100インチくらいあるスクリーンに海の珊瑚礁の映像が青く映し出される。
この作品が20年以上も前とは思えない。動きも心地いいが、色もスゴく綺麗である。

すると入り口のドアがゆっくり開いたような音がした。遮光カーテンで見えないが、小さい頭が低い位置で動いているように見える。駆け寄ってカーテンを開けると小学生高学年くらいの女の子であった。
以前に『ソウルフル・ワールド』をお母さんと見に来てくれた女の子であった。
「お母さん後から来るって」と言った。


『ファインディング・ニモ』は一旦ストップした。部屋の電気をつけて、お母さんを待つことにした。「えーっ誰もいないのーっ」と言うので、「何をやったらお客さん来るかねー」と聞くと、「鬼滅の刃っ」だそうである。
「でも、ああいうのちょっと怖い感じでしょう」と言うと。「首とか切られたりするけど、そういうのも意味があるから」と言うことであった。
そうしているとお母さんが到着。

思いがけなく3人で『ファインディング・ニモ』を観た。
忘れっぽいドリーとお父さんクマノミのマーリンとのとぼけたやり取りでは、女の子が笑うので、つられて私も笑ってしまった。
楽しく観る人がいると、やはり何倍にも映画が楽しく感じる。

”たくさん人が観に来る”ってのを望んでるんではないような気がする。”観たい人が観たいタイミングで観てくれる”ってことでいいと思う。
お母さんも娘さんもはじめて『ファインディング・ニモ』を観たとのことで、観てもらえて本当によかったと思った。

人がどれくらい来たかで一喜一憂していたら、続けるのがしんどくなるかもしれない。だからあえて「私がスゴく観たかったから見るんですよ」で続けていこうとか思っている。

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