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【映画のパンフ 全部見せ】No.17,18,19,20 北野武監督作品4本立て『HANA-BI(1998)』『菊次郎の夏(1999)』『BROTHER(2001)』『Dolls(2002)』

6年ぶりの北野武監督映画『首』がまもなく公開です。今作に出演する西島秀俊さんがはじめて北野作品に出演したのが『Dolls(2002)』になります。

今回載せる映画パンフレットは、べネチア国際映画祭 金獅子賞を受賞した北野武監督7作目の『HANA-BI(1998)』からの4作品です。
1994年のバイク事故後のブランクを経て撮影した復帰作が『キッズ・リターン(1996)』で、その次の作品が『HANA-BI(1998)』になります。
(ちなみに私が特に何度も観てしまう北野作品は『ソナチネ(1993)』と『3-4X10月(1990)』です)


▼『HANA-BI(1998)』

北野 武×Tony Rayns
北野:
自分としては、西は何かから逃げるような人間ではなく、死にたち向かって行った人間だと思いたい。多分死に立ち向かって行った人間というのはオレの映画では初めてなんじゃないかな。

北野:
ただその二人(西と堀部)を通して日本人の一般的な家族観というのを問いただしたかったというのはあるね。日本人は、夫婦がいて子供がいて末長く幸せに暮らすというような理想を持っているわけだけど、現実には必ずしもそうではないから。家族が本質的に強い絆で結ばれていて、感情も安定した関係であるというような日本的な家族観というのは、あくまでも幻想であって、そこを問いただしたかった。

(パンフの9ページより)


▼『菊次郎の夏(1999)』

北野 武インタビュー
Q. この「菊次郎の夏』はどうして撮ってみたかったのですか?
A. この間(「HABA-BI」の時)持ち上げられたから、このまま行くとまた「生と死」とか「暴力」 とかになっちゃうから、別なことをしたかったってのはあるよね。それと、親子というよくある話は、まだやったことがないから、それを自分が撮るとどうなるかを見てみたかった。古典落語のテストみたいにね。だからね、今回はかなり遊んだよ。期待を裏切ってやるって言うかね。

(パンフの12ページより)


▼『BROTHER(2001)』

イントロダクション
このプロジェクトは、作家性を重視する北野監督の映画作りと、ハリウッドの撮影システムを融合させるという、かつてない映画製作法にチャレンジしている。
また、日本の監督作品としては異例の【完成保証制度】(註)が導入されるなど、このプロジェクトの実現は、監督・北野 武の今後の映画作りに大きな影響をもたらすことは言うまでもなく、二十一世紀からの日本映画製作に、新たな可能性を広げる記念碑となるであろう。

(註)
インディペンデント映画を健全な環境で作るためにできた制度。現在はメジャー映画にも対応されるようになってきている。ジョン・フォード監督らが中心となり、ハリウッドのシステムの中にある<資金も出すが、作品の内容に関しても意見する>といった、メジャー映画製作会社=資金の出資者というシステムのスタイルを打破し、自由な作品作りを目指し発足させた制度で、撮影のシステム、日程、予算など、すべてにおいて整合性をもっているチームの作品に対して、<撮影されれば完成する>ということを出資者に対して保険会社が保証する、信用保証のこと。

(パンフの15ページより)


▼『Dolls(2002)』

北野 武監督 インタビュー

つながり乞食
 大学辞めて、浅草でエレベーターボ—イをやってた頃によく見たんだよ。毎日決まったコースを歩くへンな乞食。つながり乞食って呼ばれてた。男と女の乞食なんだけど、昔大恋愛したらしいんだけど、女の人の方がおかしくなっちゃったらしくて、目を離すとどっかいっちゃうんで紐でつないでたの。他人が女の乞食を見ると、男が睨むんだよ、俺の女だ、見るな、って感じで。それが印象的だった。
 きれいな景色の前に何を置いたらいちばん引き立つか。それ考えたときに、あ、あの乞食だ、と。乞食が「行進」していけば、どんどん景色が変わっていくじゃない。じゃあ、乞食の「道行き」だと。

  ただ、それだけじゃ一本の映画としてもたないかな、っていうのがあって。やくざを何十年も待ち続ける女の話、アイドルの追っかけの男の話、谷崎潤一郎の「春琴抄」になっちゃったけど、このふたつのプロットはまったく別々に持ってはいたんだ。アイデアとして。『菊次郎の夏』撮り終わった頃かな、この三つのストーリーでひとつの映画にしてみたいんだけど、ってスタッフに言い始めた。
 ただ、オ厶二バスじゃあ面白くないんで、 いくつか「仕掛け」をしてそれぞれの話をつなげていく、という物語間の <つながり> があるんだけどね。

(パンフの11、12ページより)


べネチア国際映画祭 金獅子賞の受賞からは、「今までやってないけど、やってみたかったものを作る」みたいな時期だったのか、この頃次々と公開される作品はまったく違うタイプで興味深いです。

『Dolls(2002)』は「ロシアでは大ヒットしおよそ2年に及ぶロングランとなった(wikiより)」とのこと。今作をひさびさに観てみましたが、映像の美しさと、奇妙なお話の流れが他では見れない作品ですし、きっと北野武監督にしか作れない作品でしょう。

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