伏見彗

弱小文芸部の高校生 文字書き 創作うまくなりたい

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散文『本を読む少女』

 たった一目で、奪われた。  活字が並んだページに向ける眼差し、重厚な表紙に添えられた白い手、背中に流れる長い髪、そのどれもがこの上なく美しく——最早「美しい」なんていう言葉が野暮ったく感じられるぐらいに——、僕は目を、そして心を、完全に彼女に奪われたのだった。  これほどまでに美しい人がこの世にいるのかと感銘を受けたと同時に、長年ここを訪れておきながらなぜ今まで出会えなかったのだろうと口惜しささえ覚えた。そして心臓が大きく脈打って首の辺りがかっと熱くなるのを知覚し、ごく自然

    • 散文『ハロー、ニューフレンド』

       20XX年、太陽系で最も太陽から遠いとされていた天体「V774104」の更に遠くに、新たな天体が発見された。米国の天文学チームが発見したというそれは、ハワイ州に設置されている日本の超大型光赤外望遠鏡「きらめき」で観測したところ、太陽と冥王星の距離の約五倍のところに位置していた。その距離、なんと二五十億キロメートル。  今まで観測されたものとは一線を介していたため、各国の天文学チームが研究を開始した。特に先進国の競争は激しく、おかげで数年後には、この天体が地球型惑星であること

      • 自分が嫌いで、自分が大好き

        自分が嫌いだ。 自分の性別、性格、思考回路、挙げても挙げきれないほど、とにかく全てが嫌いだ。 これから書くことは全て愚痴である。 ただ誰かに認めてほしいだけの愚痴である。 初投稿がこれなのはどうなんだかとは思うが、どうか書かせてほしい。 2つ、私について話をしようと思う。 まず1つ目。 私は女だ。 脚の間に女性器があるし、上半身に胸の膨らみもある。喉仏は無いし、声は誰が聞いても女の声だと分かる声をしている。 幼い頃、それこそ幼稚園生ぐらいの頃はジェンダーなんて概念は

      散文『本を読む少女』