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『一家に一台"脳波計"』の時代がやってくる? PGVの小型脳波計EEG

BrainMedia第3弾!
(脳科学のビジネス応用可能性をお届けするメディア)

大阪大学発のスタートアップ企業であるPGVが、小型の脳波計を開発しているようです。同社は、既にOUVC(大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社)等から6億円ほどの資金調達を行っている注目のベンチャー企業です。

1. 小型脳波計EEGとは

ひとえに 脳波計と言っても、様々なものがあります。例えば、

・fMRI(磁気共鳴機能画像法)
・NIRS(近赤外線分光法)
・MEG(脳磁計)

非侵襲式測定(頭蓋骨の外から間接的に測定する方法)の中でもこのようないくつかの方法があり、どれも大きな設備が必要なものとなっています。

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一方で、EEGはより簡易的な形で脳波を測定することができます。
例えばmuseのように、小さくて簡単に頭に装着する測定器が沢山登場してきています。


その中でもPGVでは、伸縮が可能で、"冷えぴたシート"のようにピタッとおでこに簡単に貼り付けることができるEEGを開発しています。そして、大阪大学の関谷教授が開発したこの小型のEEGを実用化するために創設されたのがPGV社なのです。


2. 脳波で変わる三つの領域

PGVでは、三つの領域で脳波測定を活用したビジネスを行おうとしています。1つ目がニューロマーケティング、2つ目が医療、3つ目が睡眠です。

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2-1. ニューロマーケティング

PGVは脳波モデルの総合図書館としての位置付けを目指し、多くの企業と連携しながら脳波データを集めています。

脳波データを集めるには、ただ測定器があれば良いだけではなく、①ノイズ処理、②周波数解析、③アノテーションなどの前処理能力が必要であり、アカデミア領域との連携をとってこれらを進めています。

将来的に、様々な商品開発・マーケティングのために脳波データを活用することを見据えています。

2-2. 睡眠

こちらの記事でも紹介したように、脳波と睡眠の質には深い関係があります。PGVがユニークなのは、生活習慣データを解析することで、生活習慣と睡眠の関係性について解析を行っている点です。

脳波に限らず、機械学習・データ分析も取り入れることによって、より幅広い実証実験を行っていることが分かります。

2-3. 医療・ヘルスケア

脳疾患の簡易診断デバイスとしての使用を想定し、疾患と脳波の因果関係の検証を行っています。認知症と脳波には関係があり、脳波測定を行うことによって認知症予防ができる可能性があるようです。

特に面白いと思ったのが、胎児の状態計測。

母親のお腹の中にいる胎児の心電は当然小さく、母体側の様々な生体信号のほうが大きい。データを取得した時点では目的のデータ(胎児の心電)よりも、ノイズ(母親の信号)の方が大きい状態。
このデータを4つの信号に分離し、逆計算をすると高確率で胎児心電データのみを抜き出すことが出来る。これにより胎児の健康状態をチェックできると考えています。
(引用:https://astavision.com/contents/interview/4368)

これがさらに進めば、母親がどんな行動や生活をしていると、胎児に良い影響が出るのか分かるといった未来が見えてきそうでワクワクします!

3. 一家に一台脳波計の未来!?

PGVがユニークで面白いのは、やはり特許も取得しているバッチ式の脳波測定器です。現在は販売を行っていませんが、さらなる小型軽量化や使いやすさの向上を目指しています。

将来的には体温計や体重計のように一家に1台置いてもらう未来を構想しているそうです。

そんなバカな!?と思ってしまいますが、コンピュータですら、1950年代には大型で使いづらく、家庭や個人で利用する時代が来るなんて想像もできない時代があったのです。

10年、20年後、一家に一台脳波計を所有して、自分の健康状態やパフォーマンスを維持管理・向上させることができる時代がやってくるかもしれません。


<引用>

https://www.sekitani-lab.com/



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