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#012 労働保険の年度更新の進め方

◆この記事のポイント

明日は7/10ということで、年1回の"労働保険料の年度更新"の期日となります。

そこで今回は、この"労働保険料の年度更新"について整理していきたいと思います。

この記事を読み終わった後には、

  • 労働保険の年度更新とは何なのか?

  • 年度更新作業の概要

についてわかるようになります。
では、行きましょう!

◆労働保険の年度更新とは

◆◆労働保険とは

労働保険とは、労働者が失業したときや業務上の事故による怪我や病気になったときに給付を行うための保険制度です。

具体的には、雇用保険と労災保険の2つがあります。

雇用保険
:労働者が失業したときの生活を支え、再就職を促進するための制度です。
(正確ではないですが「失業保険」なんて言われたりしますね)

労災保険
:労働者が業務上の事故により怪我や病気になったときに治療費や休業補償を行う制度です。(こちらはいわゆる「労災」というやつです)

まずは、雇用保険と労災保険を併せて”労働保険”であるということを押さえましょう!
これらの保険は、労働者が働くことによるリスクを軽減し、安心して働くことができる環境を提供するために存在します。

◆◆労働保険の年度更新とは

では、続いて労働保険の"年度更新"について押さえていきましょう。

労働保険の年度更新とは、毎年度、労働保険料の算定と納付を行う手続きのことを指します。

具体的には、

  1. 前年度にすでに支払った保険料の精算をするための「確定保険料」の申告・納付

  2. 新年度の見込み保険料の前納付をするための「概算保険料」の申告・納付

1.と2.を同時に行う手続きのことをいいます。
※労働保険料は例年4月1日から翌年3月31日までを1年間として計算します。

つまり、今年度でいくと、
1.前年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)の「確定保険料」の申告納付
2.新年度(令和5年4月1日~令和6年3月31日)の「概算保険料」の申告納付
をすることになります。

この年度更新の目的は、
・労働保険の適用範囲や保険料率が変更される可能性があるため
・労働者の給与や労働時間、労働条件などが変わると、保険料の算定基礎が変わる可能性があるため
毎年1回、確定と精算、概算と見込納付をすることで、適切な保険料の徴収をしていくわけです。

◆書類作成方法

◆◆作成方法概要

労働保険の年度更新には、以下の4つの手続きが必要です。

  1. 申告関係書類の確認

  2. 賃金集計表の作成

  3. 申告書の記入

  4. 申告書の提出・保険料の納付

これらの手続きを順に見ていきましょう。

◆◆申告関係書類の確認

まず、例年5月下旬ごろに労働局から申告関係書類が事業所宛に送られてきます。(緑の封筒です)

これには、

  • 労働保険 概算・増加概算・確定保険料 石綿健康被害救済法 一般拠出金申告書(こちらが申告・納付に必要)

  • 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表

  • 申告書の書き方

  • 保険料率表

などが含まれます。

申告関係書類が手元に届いたら、印字されている会社名などが間違っていないか確認しましょう。

◆◆賃金集計表の作成

次に、賃金集計表を作成していきます。
※この賃金集計表は提出する必要はありませんが、大事な書類であるためしっかり保管しておきましょう。

細かな計算方法については、厚生労働省HPに記載がありますので、ご確認ください。ここでは、意図や流れについてまとめておきます。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-09.pdf

賃金集計表の目的は、
次ステップの労働保険料申告書へ記載する
・労災保険対象者の人数と給与総額
・雇用保険対象者の人数と給与総額 を算出することです。

手順や注意点としては、

①前年度に使用した全労働者(パート・アルバイトなどもすべて含む)の賃金台帳を用意する
☆災保険対象者の人数と給与総額を算出する

②雇用保険の被保険者(社員やパートタイマー等)の資格を確認する
☆雇用保険対象者の人数と給与総額を算出する上で、誰が雇用保険加入者かを把握する必要がある

③労災保険と雇用保険それぞれの対象労働者の人数と賃金を集計する
※令和5年度の申告については、2022年10月に雇用保険率が変更(9.5%⇒13.5%)しています。このため、雇用保険については前期(4月~9月)・後期(10月~3月9を分けて集計する必要があります。

◆◆申告書の記入

賃金集計表を作成し終わったら、申告書に記入していきます。

申告書の計算としては、複雑そうに見えますが、

賃金総額×保険料率=保険料として、
労災保険料・雇用保険料を前年度・今年度を
それぞれ計算していく
 だけです。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-11.pdf

①「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」で算出した確定保険料及び一般拠出金の算定基礎額を転記し、確定保険料と一般拠出金の額を計算する。

② 令和5年度概算保険料についても計算し、確定保険料額と昨年度申告した概算保険料額(申告済概算保険料額)との過不足を計算する

◆◆申告書の提出・保険料の納付

申告書の必要事項にすべて記入したら、申告の提出と保険料を納付しましょう。

原則、保険料の納付は一括ですが、概算保険料が40万円以上であれば3回に分割することができます。

また、申告書の提出と保険料の納付は銀行や郵便局等の金融機関、またはインターネットを利用して行うことができます。
※申告書の控え(押印)が必要な場合は、一度労働基準監督署へ申告書を提出し、押印を受けた後、納付書のみを金融機関等で納付すればOKです。

前職では電子申告を使用していなかったので、金融機関で手続することがほぼでした。

◆まとめ

  1. 労働保険の年度更新とは、毎年度の労働保険料の算定と納付を行う手続きであり、前年度の「確定保険料」の申告・納付と新年度の「概算保険料」の申告・納付を同時に行うものです。この手続きは、労働保険の適用範囲や保険料率が変更される可能性があり、労働者の給与や労働時間、労働条件などが変わると、保険料の算定基礎が変わる可能性があるため行われます。

  2. 労働保険の年度更新手続きには、申告関係書類の確認、賃金集計表の作成、申告書の記入、申告書の提出・保険料の納付という4つの手続きが必要です。賃金集計表では、労災保険対象者と雇用保険対象者の人数と給与総額を算出します。

  3. 申告書の記入は、賃金総額×保険料率で保険料を計算し、労災保険料・雇用保険料を前年度・今年度をそれぞれ計算します。申告書は金融機関や労働基準監督署へ提出し、保険料は一括で納付しますが、概算保険料が40万円以上の場合は3回に分割して納付可能です。

長くなりましたが、"労働保険料の年度更新"について整理してきました。
一度実務をしてしまえば、難しくない手続ですので、一度頑張ってやってみましょう!

今日の記事も、バックオフィス業務で奮闘する"貴方"の実務に、役立つ「リアル」で「すぐ使える」情報であると嬉しいです!

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