10. 出し切れる能力
2019. 7. 14
確か僕が3年生だった頃、当時の大学のTOPチームがゲーム形式でのコンディショニングトレーニング(いわゆるゲーム形式での持久力トレーニング)を行なっている時に監督が話してくれた。
「こういうトレーニングで出し切れる選手と出しきれない選手がいて、それはその選手の特性によるものもある」
ここでいう特性とは、気持ちが強い弱い、走れる走れないということではない。
大きな出力ができるか、できないか、という話であった。
「4本」と決まっている中で、ぶっ倒れるまで出し切れる人と、余力を残して悠々としている人もいる。
決まられた量の中で、疲労困憊まで出し切るには、限られた量の中での出力を高めるしかない。
ただし出力できるかどうかというのは、出力できるだけのパワーや技術・戦術を備えているかというところにもよるし、80%の出力が習慣づいてしまっていれば、いざ100%を出す時にかかるリミッターも大きくなる。
習慣的なリミッターを外すことと同様に、その時の心理的なリミッターもできるだけ取っておきたい。
例えば、「どれくらい続くかわからない」という状況や、「ここで出し切ったらそのあとに不都合がある」といった状況では、心理的なためらいがリミッターとなる。
また、そもそも疲労で最大値が出せないという状況も避けたい。
疲労した状態で主観的に最大値を出そうと思っても、その時にコンディションが80%なら、80%以上を出力することはできない。
「出し切れる能力」というのは様々な要因を受けるものだが、おそらくスポーツでは、レベルが上がれば上がるほどこれが必要になってきて、もちろんスポーツ以外でも、出すべき時に出力し切れるというのは大きな武器になると思う。
「10本やらせてくれれば出し切れる」なんてのは誰でもできることで、また「4本なんて余裕だよ」というのもちょっと違う。
「4本で出し切る必要がある」中で、出力できるかどうか。
これ超大切だなと思ってる。
選手の基準の置き所が問題かもしれないし、コーチのトレーニング設定の問題かもしれない。
フィジカル、技術レベルの不足が原因かもしれない。
いろんな原因が考えられるけれど、出力すべき時に出力できる、出し切る時に出し切れる。
そういう能力の重要性に比重が置かれるようになると、何か変わる...かも。
*「全力」「出し切る」の定義に注意!
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