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嫌いになったワンピース、叫び続けるO氏

皆さんは国民的アニメ「ワンピース」を見たことが有るだろうか。
私は、まだなかった。
どこから見ればいいか分からないからだ。


私の愛する罪深き時間泥棒、Netflix君によると
・イーストブルー編
・グランドライン突入編
     ~ 
・パンクハザード編
・ドレスローザ編
などが事細かに分けられている。多い。


だがその何とか編の中には、何十話にも面白く感動するであろう話が詰めに詰め込まれている。知っているんだそんなことは。国民的アニメになるべくしてなった理由が、そりゃあるだろう。私が知らないだけで。


友人にふとその話をしたら、
「いやお前、今暇なんだから全部みろよ」と言われた。
私は生きるのに忙しい。失礼である。


しかしワンピースを知らないだけで、ああだこうだ言われるのは居た堪れない。彼等は私がワンピースを見ていないと言うだけで、奇妙な物を見る様な目で私を見るのだ。まるで、初めて都会に出てきてべこを飼うと言っている田舎者を見るかの様な目だ。あれには耐えられない。

しかも、お節介な事に重要なネタバレをしていく。
「ロビン助けるとこは?そこは知らないの?」
「エース死ぬとこも知らないの?それは見た方がいいよ!」

一気に見る気が失せた。

やる気を出してワンピースに挑戦


しかし、決してワンピース自体に罪はない。
知識は有ると言えど、聞くのと実際に見るのとでは大違いだ。
私も国民の一人として見ておくべきだろう。

かくして、在宅待機を余儀なくしている私にミッションが課せられた。
「在宅期間中ワンピースを見よう大作戦(仮)」だ。


Netflixのワンピースの欄を眺めながらどこから見ようか悩んでいると、一緒に住んでいるO氏が頂上決戦のところが絶対いいと言い出した。
マリンフォード編というらしい。よりによって一番長そうなところだ。
58話もあるじゃないか。


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幸い私にはネタバレをしてきた友人たちの知識があるため、時間軸は不明だが何が起きるかは大体理解している。だいぶやんわりとだが。
そのため、O氏から熱烈オファーを一身にもらい受けるマリンフォード編から見始めた。

何でおすすめなのか聞くと、一言。
「俺が見てないから」
どうやらおすすめでも無かったらしい。

それ以降は仲良く動画鑑賞を続けていた。
そこまでは、良かった。

O氏、突然の叫び


マリンフォード編を見続けて、現在午前2時。
飽きた私は早々にリタイアし就寝。O氏はNetflixで動画を見続けた。


そこまでは良かった。
私は突然の叫び声で目が覚めた。

「ああああああーーーー!!!!やめてーーーーーーーー!!
やめてーーー!!!いやーーーーーーーーーーーーー!!!」


リビングから盛大な叫び声がする。これは異常だ。何がなんだか分からないまま、急いで立ち上がりO氏の元へ行く。泥棒なのだろうか?私は急いでキッチンのフライパンを手に取り向かう。O氏は叫び続ける。


そこで、耐えず流れ続けていた動画からルフィの声がした。
「答えを探して 火拳のエース戦場に死す!」


ソファを見ると、O氏が頭を抱えて三角座りをしながらソファに寄りかかりながら地べたに蹲っていた。
「やめてーーーー!!いやーーーー!!!」
ずっと叫び続けている。近所迷惑なのでこちらがやめてほしい。
お前、そんなにワンピースが好きだったのか。


とりあえず開けっぱなしにしている窓を閉める。フライパンも仕舞う。

私物のMACをパタリと閉じると、ルフィの声が止んだ。
O氏の声も止んだ。
私は怒りは止まなかった。

だが寝ぼけている相手に何かすることも有るまい。私はそこまで子供じゃないのだ。とりあえず、寝ぼけながら叫んでいるO氏をソファに転がし布団をかける。O氏の枕をその頭に叩きつけ再度ベッドに入った。
いびきがすぐに聞こえた。





次の日の朝、私はO氏にそのことを伝えた。
「エースが死んで叫び出すほど、そんなに好きだったの?」
「途中で寝たから、エース死んだところ記憶にない」

エースが好きで発狂したのではないらしい。
どうやら勘違いだったようだ。
それはそれでO氏の心理状態が心配になった。


この一件以降、ワンピースは暫く見ないでおこうと心に誓った。
私の安眠のためにも。


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