世にも珍しい河童祭りの話② 〜会場〜
河童祭りに行く約束をしたのは1ヶ月前だったが、
祭りの前日、先輩は夜勤である事が発覚した。
しかし、河童祭りの時間帯は9時〜16時半まで、
夜勤明けで付き合わすのはかなり申し訳ない。
先輩からは、夜勤後の体力次第で行かせて欲しいと前日に連絡があった。
「もし、先輩が疲れて来れなくても、私一人で河童祭りに行って、
世界大会の動画を撮って見せよう」
と一人で行く覚悟も決め、当日先輩の連絡を待った。
「行くよ」
何と良い人何だろう!!
夜通し働いて、行くところが河童祭りなのに、
付き合ってくれるとは、本当に良い人だ。
先輩の優しさと、物好きに感謝しながら、河童祭りの会場へと向かった。
会場に着いたら、「河童祭り」と手作りのアーケードがあった。
これは、思っていたよりも規模が町内会の祭り程のイベントだ!!
世界大会が行われるかもしれない、ステージは小さく、
人がたくさんいて熱気が逃げない。
あっ、暑い!!
残暑厳しい9月の頭、その光景は衝撃的であった。
河童ステージと書かれたステージには、
中央にこれまた絵の具で書かれた河童の大きな絵が飾られていた。
こっこれは!!!
そして、横を見ると河童にちなんだ、きゅうりをそのまま売っている屋台。
それを丸かじりしている3歳くらいの女の子。
すっすごい!!!
初めての光景に、一人でいても笑いがこらえる事ができず、笑っていた。
こんな河童づくしなロックな祭りがある何て知らなかった。
さて、先輩は一体何処へいるんだろう?
河童ステージには人が溢れかえり、フジロックのようにも見える。
一度入るともみくちゃにされてしまう。
そこへ飛び込んでいく勇気がない。
先輩もあの中にいるのであれば、今頃もみくちゃだ。
連絡すると、もみくちゃにされておらず、
河童ステージの先にある平和ステージにいるとのこと。
小走りで向かうと、途中で河童の格好をしている自転車に乗ったおじさん
(黄緑の全身タイツに河童のお皿と、甲羅をのせていた)に、
「車道は走っちゃ駄目よー」と注意された。
どちらかというと、おじさんの格好の方が注意されると思うが、
今日は河童祭り、河童の格好をしている方が正しく偉いのだ。
私は戸惑いながらも小さな声で謝り、早歩きで平和ステージへ向かった。
続く
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