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恵文社一乗寺店 10月の本の話 2023

こんにちは。恵文社一乗寺店の韓です。

先月の書籍売上ランキングと、おまけのお話。
今回もどうぞお付き合いください。

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1位 トナカイ『物語は変わる』
相馬充『月のこよみ 2024』(誠文堂新光社)

夜空を見上げれば当たり前にそこにあるお月さま。しかし満ち欠けや地平線から昇る時刻は、日毎に異なります。365日、細かに変化する月の様子がひと目でわかるのが、誠文堂新光社より毎年刊行されている『月のこよみ』。
ローライフレックスという古いドイツ製カメラで撮影された、近所の河原の草木たち。ただまっすぐ命いっぱいに生きる草木を穏やかな目線で写真に収めた写真家・トナカイさんによる待望の新作写真集『物語は変わる』。
こちらの2冊が首位にランクイン。

書籍フロアでは、『月のこよみ』の刊行を記念し小さなフェアを開催中。
私たちの暮らしと密接に関わりながら、祈りや畏怖、観測の対象として、古今東西人々の想像力をかき立ててきた月。夜空に広がるそのロマンに思いを馳せるきっかけになれば嬉しいです。

月・星・天文フェア

先月に開催されたトナカイさんの4年ぶりとなる写真展も大変好評いただきました。近所の河原で撮影された草木たち。そっと芽吹いて、陽光や時に強い雨風にも耐えながら、ただただ命をめいっぱいに生きて死んでいく、その美しさ。静かな目線から深い慈しみが伝わってくる作品群が印象的でした。

10月17日-23日|トナカイ個展「物語は変わる」

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2位 西尾勝彦『のほほんと暮らす 新装ポケット版』(七月堂)

当店のロングセラー、詩人・西尾勝彦さんがかねてから標榜・推奨する「のほほん」を主題に据えた『のほほんと暮らす』の新装ポケット版がこのたび2位にランクイン。おだやか、ゆっくり、少し上機嫌。自転車なら走る、ではなく漕ぐ。身近なコミュニティを大事にする。朝の光、木漏れ日、珈琲の匂いに幸せを感じる、スマホは「のほほん吸い取り機」…。そもそも、のほほんとは何か。それは人それぞれ異なるものでしょうが、この本では、ほんの少し自分を楽にし、暮らしをたのしくする小さな秘訣があちらこちらに散りばめられています。

ただいま数量限定で、店頭・オンライン共にサイン本をご用意しております。この機会にぜひ。

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3位 土井善晴『味つけはせんでええんです』(ミシマ社)

つたなくっても、自信がなくっても、私はいいと思います。
「味つけせんでええ」というのは、それを大切にすることだと思っているのです。一生懸命お料理をすればそこにあなたがいる。お料理するあなたが、あなたを守ってくれるのです。
(中略)
おいしさってなんだ。基準ってなんだ。生きるってなんだ。料理から人間は考えることができるのです。料理にはなんかあるんですね。
それをみなさんも一緒に考えてくれたらうれしいです。

「まえがき」より

今日は何を食べようか、味つけはどうしようか、果たしておいしくできるのだろうか…。
最も人間らしい営みのひとつでもある「料理」という行為。台所に立たなくとも料理が食べられるようになり、調理工程を限りなく省いたレシピが世に溢れ、気がつけば「料理する」ことへのプレッシャーが大きくなっていませんか。そんな忙しない時代を生きる我々に捧ぐ、料理研究家・土井善晴さんによる文集『味つけはせんでええんです』。今月3位にランクインしました。

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4位 吉田篤弘『神様のいる街』(夏葉社)

ビートルズのシングル盤を売り、そのお金で神戸へ。鞄には着替えと澁澤龍彦の文庫本。小説家、吉田篤弘がデビュー前に繰り返し訪れた神戸。そして、もうひとりの神様がいる街、神保町。音楽、古本、結婚。エッセイとも物語ともとれるような、瑞々しく、おぼろげな文章で青春時代を描いた『神様のいる街』が久々に重版いたしました。刊行は夏葉社より。
ハードカバーながらこじんまりとした、ぜひ鞄に忍ばせて読みたい一冊。

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5位 大竹昭子『迷走写真館へようこそ』(赤々舎)

フィリップ・ワイズベッカーの表紙が目を引くこちらの一冊。
独自の視点で、写真についての著作も話題を呼ぶ大竹昭子さんの最新刊『迷走写真館へようこそ』。こちらが5位にランクイン。作家名が伏された写真を眺め、視覚と思索の探検へと誘います。

先日COTTAGEでも開催されましたトークイベントも無事に終了いたしました。「写真を見て、言葉にする」何気なくシンプルなことですが、ご来場の方々と一緒によく見ること、すみずみまで見ることで発見し想像する楽しい会となりました。


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いまの時期になると増えてくる話題ではありますが、今年もあとすこしですね。時の流れが年々早くなってきている…って毎年思っている気がします。

本といえば本、な話ですが、来年度の手帳はお決まりでしょうか。わたしは日記とスケジュール帳を分けて使っているので、スケジュール帳のほうをぼちぼち買わなきゃな、何色にしようかな、という考えがじんわり頭の中を占めてきています。手帳を新調するときの喜びは格別ですよね。

日記は去年買った、花森安治さんの5年日記の2行目をこまごま書き進めています。驚くのほどの飽き性なので趣味といえるものが何もないのですが、ふしぎにも日記だけは10年くらい続けてこられているので「来年はもう3行目か〜」と思いながら臨みたいところです。全行埋められますように…。

去年も今年も祗園祭に行っていなかった…


日記もスケジュール帳も多様多種で決めきれない!そんな方におすすめの手帳をいくつかご紹介します。

COUPGUT スケジュールノート 2024

かなりシンプルで真っ白なビジュアルが目を引くこちら。実はとても実用的なスケジュール帳なんです。名古屋のデザインカンパニー・COUPGUT(クーグート)が毎年制作しており、カレンダーページはもちろんのこと、5mm方眼ページ、罫線便箋ページ、原稿用紙ページ、さらには五線譜(!)のページまでおさめられています。

カレンダーページ以外の紙は切り離せるので、ちょっとしたメモやスケッチを書いたり、写真を貼ったり、ときには手紙を書いたり…。
どんな業種の方でものびのびお使いいただける手帳です。

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のほほん手帖 2024

縦開きという斬新なデザインが目を引くこちらの手帳。詩人・西尾勝彦さん監修の「のほほん手帖」です。
「ひさしぶりに、凧あげをする」「長い小説を、ぼんやり読む」…と、月ごとに記された西尾さん書き下ろしの「のほほん二十四節気」も楽しく、何よりボディカラーそれぞれについている名前がいとおしい。あかるい黄色は「喫茶店のオムライス」、シックなベージュは「コロッケ」、スモーキーな青は「銭湯」と、なんだか愛着がわきますよね。

見開き2ページ、フリーページが4ページというゆったりとした構成なので、気を張らずゆるやかな気持ちでお使いいただけます。


日記、つづけるのがむずかしい…という方を周りでよく見かけます。もちろん無理に続けるものでもないですし(わたしもうっかり数日分ためては焦って書くこと、よくあります。小学校の夏休みみたいですよね)、書くことを毎日探しだすのも大変なので、何もなかった日は「なにもなかった」と書くだけでも良いし、いざというときはその日買ったもののレシートを貼るだけでも立派な日記になりうると思っています。いずれ忘れてしまうことをわざわざ綴ったり残しておくのが日記の楽しさですよね。

どうぞみなさん良い年末とあらたな一年のはじまりを(気が早い…)。


それでは、来月のお話もお楽しみに。


(担当:韓)

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