見出し画像

恵文社一乗寺店| 7月の本の話 2020



2020年7月の書籍売上ランキングをご紹介します。

画像1

金工作家・お菓子作家の川地あや香さんが、季節の折々に作ってきたおやつレシピをまとめた『おやつとスプーン』が7月の首位を獲得。

7/4-7/17の二週間、生活館ギャラリーで開催のフェアでは、本書を中心に「カワチ製菓」さんのお菓子や金工作品も展示販売し、多くの方にご来店頂きました。素材本来の味を感じる滋味深いおやつと、シンプルで温かみのある金工作品。その活動を通じて川地さんが伝える、目の前にあるものを活かし手を動かし作ることの喜びは、自らの手で撮影した写真や手書き文字を採用した本書のデザインにも存分に生かされています。

画像2


"生きることも、はたらくことも、じつはほとんどコントロールできないのかもしれない(中略)完全にはコントロールができないなかで、手を動かしつづけること。ここから生まれるものが「つくること」なのだ。(皆川明『生きる はたらく つくる』P.221)”

3位にランクインしたのは、皆川明さんの『生きる はたらく つくる』。今年創業25周年を迎えますます精力的な活動を展開する〈ミナ ペルホネン〉代表が初めて明かす、少年時代から現在までの歩み、そしてこれからのこと。魚市場でアルバイトをしながら、たった一人で始めたブランド。手描きの図案によるオリジナルのテキスタイル。いつまでも大切に着たいデザイン。縫製工場と一体となったものづくりの姿勢。百年つづく会社、よい記憶をつくる服を目指すその生き方と働き方の哲学。


画像3


4位は、小説家・梨木香歩さんによる若い人たちに向けての講演をまとめた『ほんとうのリーダーのみつけかた』。非常時における同調圧力が強くなる時に、個人はどのように理想を失うことなく生きることができるのか。『君たちはどう生きるか』の吉野源三郎、鶴見俊輔、金子みすゞ、石井桃子などの文章や思想をヒントに、正しい批判精神を持つこと、自立すること、ヒューマニストであることの大切さを丁寧に語った一冊です。当店オリジナル特典として、装画や中面イラストを担当されたイラストレーター、ひろせべにさんのポストカードをお付けしています。ぜひこの機会に。


画像4


10位は、奈良在住の詩人、西尾勝彦さんの『のほほんと暮らす』新装ポケット版。自身が好んで読んできた詩や思想に通底するかたよりとして発見された「のほほん」という価値。壮子にソロー、尾形亀之助にジャック・タチ、鈴木大拙に熊谷守一まで、あらゆる作品や場面に「のほほん」の種子とヒントを見出し、その思想を紹介し、実践的に生活する方法を詩的に提案する一冊。本の構成や語り口そのものに読み手を「のほほん」とさせるゆるやかさと穏やかさが感じられる軽やかで優しい本。 



画像5

画像6

画像7


その他、『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』(左右社)、ヤマザキOKコンピュータ『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』(タバブックス)、『山田稔 自選集3』(編集工房ノア)、深澤直人『ふつう』(D&DEPARTMENT)などもよく手に取っていただきました。


それでは8月のランキングもお楽しみに。


2020年7月
書籍売上ランキング

1.『おやつとスプーン』川地あや香(パイインターナショナル)
2.『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』バリー・ユアグロー(ignition gallery)
3.『生きる はたらく つくる』皆川明(つるとはな)
4.『ほんとうのリーダーのみつけかた』梨木香歩(岩波書店)
5.『天文学と印刷』(印刷博物館)
6.『ブックオフ大学ぶらぶら学部』(岬書店)
7.『渡り鳥』岩谷香穂(さりげなく)
8.『NEUTRAL COLORS』(ニュー・カラー)
9.『世界をきちんとあじわうための本』ホモ・サピエンスの道具研究会(ELVIS PRESS)
10.『のほほんと暮らす』西尾勝彦(七月堂)

担当 涌上


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

恵文社一乗寺店

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

Instagram


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?