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セレクトセール2024レポート ~新たなトレンドを紐解く~

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  セレクトセール2024
 史上最高売り上げを記録
~新たなトレンドを紐解く~
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2024年7月8日(月)9日(火)の2日間。
ノーザンホースパークで今年も行われたセレクトセール2024。

写真の取り扱いについて、より一層厳しくなり、SNSへの投稿も禁止となった。
※某競馬サイトが取り上げたところで、日本競走馬協会より【厳重注意の連絡】も入っているだけに、当コンテンツでの写真掲載は自粛させていただくことにした。

セリの話をするにあたっては、実際に馬体を見ての感想もあるだけに、写真を添えて解説したかったところではあるが、決まりには従いたい。

様々な生産牧場がセレクトセールに生産馬を上場させていたが、やはり≪セレクトセール≫は特に“ノーザンファームの生産馬”が中心となり、人気が集まりやすい。

今年は春のGIシーズンにおける【社台ファーム生産馬の活躍】も際立ったが、当歳馬については、これからの社台ファームでの育成によっても差が出始めるため、“1歳馬セール”で良く見せた馬の方が、“好走の計算”はしやすい。

“1歳馬セール”における【社台ファームの生産馬】に注目していたが、やはり10年前よりも、ここ数年の方が[馬体の良さ]がはっきりとわかる。

間違いなく、社台ファームは若駒の段階での完成度もあがっている。

“昼夜放牧”での自然強化もあるのだろうが、そりゃー強くなっているわけだ。

今年の社台ファーム生産馬の活躍は、たまたま良い馬が重なったわけではなく、間違いなく全体的にレベルアップが図られている。

また[グランド牧場]の生産馬についても、非常に注目が集まっていた。
購入価格にも反映されているが、そのあたりも触れていきたい。

■無敗の三冠馬“コントレイル”の仔

1歳馬セール   取引8頭
当歳馬セール   取引25頭(欠場1頭)

合計33頭が取引されたコントレイル産駒。
父ディープインパクトと同じ“無敗の三冠馬”であり、古馬になってからはジャパンカップも制していることから、“ディープインパクトの後継種牡馬”としての活躍に期待が高まる。黒光りする馬体とシャープな顔つきも見映えが良い。
[父ディープインパクト×母父Unbridled's Song]という日米の配合から、日本の馬場にもフィット。“種牡馬コントレイル時代到来”の予感がある。


コントレイル産駒
1歳馬セールの注目馬

★★★★★母ラビットランの2023(牡馬)
購入者 :窪田芳郎
販売者 :社台ファーム
購入価格:2億5000万円
【ポイント】母ラビットランは2017年ローズステークス優勝。

★★★母カルティカの2023(牡馬)
購入者 :TNレーシング
販売者 :社台ファーム
購入価格:2億5000万円
【ポイント】半兄アスクビクターモアは2022年菊花賞馬。ダービー3着馬。

1歳馬のコントレイル産駒は延べ8頭が取引されたが、ノーザンファームからは3頭が上場。社台ファームの3頭上場。ノーザンファームの生産馬は2頭が約1億円での高額取引にはなったが、その倍の価格2億5000万円の取引となった2頭はいずれも社台ファームの生産馬であったことは特筆すべきであろう。

ラビットランの父はTapit。Tapitはダートで圧倒的な強さを誇ったフライトラインなどを輩出しており、【父ディープインパクト×母父Tapit】の配合では、GI6勝馬のグランアレグリアが誕生している。
マイルGIを5勝した歴史的な名馬だが、【父コントレイル×母父Tapit】の配合も[新たなトレンド]となりそうだ。

ディープインパクト系×米国牝馬の配合は、間違いなく“トレンド”が巻き起こるる。

【父ディープインパクト×母父Storm Cat】
このトレンド配合でGIタイトルを獲得した馬一覧
・キズナ
・リアルスティール
・ラキシス
・サトノアラジン
・ダノンキングリー
・ラヴズオンリーユー
・エイシンヒカリ
・アユサン

ダービー馬キズナだけでなく、海外GI馬も輩出した【父ディープインパクト×母父Storm Cat】の配合。ディープインパクトの瞬発力を引き出すだけでなく、持続力も備える馬が多かった印象だ。


コントレイル産駒
当歳馬セールの注目馬

☆☆☆母カレドニアロードの2024(牡馬)
購入者 :ダノックス
販売者 :グランド牧場
購入価格:3億円

☆母バイバイベイビーの2024(牝馬)
購入者 :横井良明
販売者 :グランド牧場
購入価格:1億6500万円

★★★母ジョイニキータの2024(牡馬)
購入者 :小笹芳央
販売者 :社台ファーム
購入価格:2億2000万円

★★母ブリリアントカットの2024(牡馬)
購入者 :藤田晋
販売者 :ノーザンレーシング
購入価格:2億5000万円

★★母ジョイカネラの2024(牡馬)
購入者 :藤田晋
販売者 :ノーザンファーム
購入価格:1億9000万円

25頭の取引が行われたコントレイル産駒の当歳馬。そのうち9頭が億越えの高額取引となったが、特に際立ったのは“グランド牧場のコントレイル産駒”であった。

BCジュヴェナイルフィリーズ優勝馬カレドニアロードの2024を[冠名ダノン]のダノックスが3億円で購入。今年ダービーオーナーとなったこともあり、やはり“予算”に天井のない購入劇であった。

また英オークス3着馬でGalileo産駒のバイバイベイビーの仔も高額で取引された。
Galileoの血が日本でフィットするかはどうか。エイダンオブライエン厩舎の管理馬として英国の牝馬クラシックで注目を集めた馬の仔だけに、素質は間違いなさそうだ。

外国で評価の高い繁殖馬を購入して全体強化を図っているグランド牧場。生産馬にはセンスのある馬が増えており、歩様からも「素質の高さ」がはっきりとわかる馬が少なくない。高額取引馬が増えていることは、スズカマンボやサンビスタといったGI馬以来の大物が近々誕生する予感がある。繁殖へと惜しみない投資は、牧場の発展へと繋がっていくはずだ。

■今春GI馬4頭輩出“エピファネイア産駒”

桜花賞:ステレンボッシュ
ヴィクトリアマイル:テンハッピーローズ
日本ダービー:ダノンデサイル
宝塚記念:ブローザホーン

2024年春GIにおいて、芝のGIで4勝したエピファネイア産駒。
無敗の三冠牝馬デアリングハートや、皐月賞・天皇賞秋・有馬記念と年間GI3勝馬になったエフフォーリアを輩出。一時は「種付け料」1800万円まで跳ね上がり国内最高峰種牡馬まで登り詰めたが、再びニーズが高まっている。

2016年~2019年 250万円
2020年 500万円
2021年 1000万円
2022年 1800万円
2023年 1800万円
2024年 1500万円

今年取引された2世代は、ともに種付け料1800万円の世代にあたる。
2022年種付け⇒2023年生まれ[1歳馬セール]
2023年種付け⇒2024年生まれ[当歳馬セール]

エピファネイア史上、もっとも良質な繁殖が集められたといっても過言ではない。
種付け料が跳ね上がったことで全体の種付け頭数は減ったが、量よりも質が重視された世代といえる。


エピファネイア産駒
セール取引の注目馬

★★★母イーヴンソーの2023(牡馬)
購入者 :藤田晋
販売者 :ノーザンレーシング
購入価格:3億4000万円
【ポイント】母イーヴンソーは英オークス馬。その父Camelotは英愛ダービー馬。

★★★母コーステッドの2023(牡馬)
購入者 :ダノックス
販売者 :ノーザンファーム
購入価格:3億9000万円
【ポイント】半兄ダノンベルーガ(父ハーツクライ)はドバイターフ2着。

★★★★カレンブーケドールの2023(牡馬)
購入者 :TNレーシング
販売者 :社台ファーム
購入価格:3億1000万円
【ポイント】母カレンブーケドールは、オークス・秋華賞・ジャパンカップで2着。

★★★★コンペティションオブアイデアズの2023(牡馬)
購入者 :ダノックス
販売者 :社台ファーム
購入価格:3億3000万円
【ポイント】母コンペティションオブアイデアズはアメリカンオークス馬。

※当歳馬※
★★カリーナミアの2024(牡馬)
購入者 :廣崎利洋HD
販売者 :社台ファーム
購入価格:3億9000万円

この他にも、今年から種付け料が2000万円に跳ね上がった“キタサンブラック産駒”も高額取引が相次いでいたが、全体的に[相場が跳ね上がった印象]が強い。

相場よりも[走りそう]という馬が多かったのは、【サートゥルナーリア産駒】だ。

母シーザリオの血を受け継ぎ、父はロードカナロア。
半兄がエピファネイアでもあり、牝系の血は日本競馬史上最高級ともいえる。
やや硬さもみられる仔もいたが、全体的には「走りそうな気配」のある馬が多い。

【サートゥルナーリア産駒】からGI馬が輩出されるまで、そう長い時間はかからないのではないだろう。

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