天皇賞(秋)コース形態・レース傾向
1.コース形態
秋の天皇賞では東京芝2000mを使用する。第2コーナー手前のポケットからのスタートで、向正面中程まで緩やか(高低差1.9m)に下りながら126.2m先で約90°旋回して第2コーナーに進入する。その後向正面中程で1.5mの上り坂を登り切り、下りながら第3コーナーへ進入。第3コーナー中程から第4コーナー明けまで緩やかに登り、直線入って残り460mから300m間で2mの登坂後、ラスト300mは平坦直線になっている。
2.人気別傾向
データを見ると一目瞭然で、ほぼ5番人気以内の決着と固い傾向である。
恐らくコース形態から、スタート位置による外枠の不利+ラストの直線の長さによる差し脚質の有利(後述)が割と明確ではあるので、有利あるいは強い馬に人気が集中するためと考えられる。
2.馬番・脚質
初めになぜ枠番ではなく馬番での検証かというと、出走頭数にばらつきがあると、例えば同じ8枠でも実際の最内からの距離は変わってしまうので、より正確にデータ検証を行うために馬番での検証をしている。
5番人気までの馬が内~中枠に集中している(表3)せいもあると思われるが、全体を通して10番より外が不振傾向で、特に前方脚質別成績(表2)を参照すると、10番より外枠は連対無しと外枠不利の傾向が見てとれる。さらに、12番の勝ち馬はシルポートが大逃げを打った年にエイシンフラッシュ内からすり抜けて差し切ったものなので、外れ値としても良さそうである。と考えると、勝ち馬は1~9番からしか出ていないので10番から外は割り引いても良さそう。
これは前述のコース形態から、スタートしてから初角までの距離が126.2mとかなり短く、さらに急旋回して向こう正面の長い直線に進入する関係上、外枠は初角で外を回されやすく、ポジション取り及びスタミナ面で不利を被るためだと考えられる。
コースが全体的にアップダウンしていること、初角の位置取りが難易度高いこと、ラストの直線が長く坂があることなどの理由から逃げ馬の連対は無い。また、表を見ると先行勢が優勢に見えるが、馬券になった先行勢は全頭3番人気以内。(表7)さらに勝ち馬4頭は全て1番人気と、強い馬が順当に勝ったように見える。対して、中団からは4番人気以下でも馬券内に絡んでいることから、人気薄の中穴は差し馬から選ぶと良さそう。(表8)ただし、上り4位以下だと連対していないため、過去に切れる脚を披露した馬を探すといいだろう。(表9)
ちなみに、上り3位以内の先行勢は連対率100%だが、その内訳は不良馬場の2017年キタサンブラック・サトノクラウン、それ以外はアーモンドアイ、ジェンティルドンナとこれも外れ値で良さそう。
これまでの話から、上りの速い差し馬が優勢なことがわかった。しかし、あまりにも後方からはさすがの末脚も間に合わないようで、勝ち馬はラスト3F時に先頭からの差が1秒以内である。(表13)これは秋の天皇賞に限らず直線が長いコースで行われる他のレースにも共通して見られる傾向なので、覚えておきたい。
位置順で見ると馬券になった馬は、10番手以内で8,9割がた、2/3頭以内でほぼ全頭収まっている。(表10)さらに言うと、上り3以内かつ7番手以内だと複勝率100%。上り4位以下の場合はこの目安は、連対馬は3,4番手に限られる。(表12)
前述の馬番の章と絡めると、後方脚質にしても4角時には前目にポジションを取らないと間に合わない傾向があるので、通常はどちらかというと外枠が適している差し馬でも不利となるのだろう。