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23年ホープフルSを振り返る~名伯楽の厳しいコメントと真意~

美浦に数々の伝説を残した故・境勝太郎元調教師は、現役トレーナー時代によく小島太元調教師、当時は騎手のことを批判していた。

太のおかげで何億損したか分からない」は有名な話だが、それでも小島太元調教師を乗せ続けた。お互い通じ合うというか、信頼関係があるからこそ為せる話だと思う。

近年、マスコミを通じて調教師が騎乗ミスと語る例はだいぶ少なくなった。たまに「ジョッキーが何を考えているか分かりません」などというコメントが載る場合があるが、かなり珍しい例と言っていい。

実際のところキレた調教師がハードなことを言っていても、俺たちコメントを取る側がマイルドにするというか、表現を柔らかくすることが多い。

文字というのは感情を読み取りにくいもので、どうしてもやり取りに齟齬が生まれてしまう。先の事情を考慮しなければならない。ファンの皆さんからすれば本音が知りたいと思うかもしれないが、現実は難しい。

5着 ミスタージーティー 矢作芳人調教師
完全に騎手のミスです。それは騎乗した本人もよく分かっていると思いますが、勝ちまであったと思います

久々に強いコメントを見たね。外部に、はっきりと騎乗ミスですと断言する例は最近ほぼなかった。常に競馬界全体を考えてファンの存在を念頭に置いている矢作師だから出せたコメントとも言える。

このコメントを見て、師匠の愛と取る人間も多いと思う。マスクもそうなのだが、たぶんそこまで言わなくてもいいじゃん、と思う人間もいると思う。これはもうその人の考え方によるものだから別にどっちでもいいと思うのだけれど、矢作師がそこまで言う理由は考えたいレースだと思うのだ。

なんでここまで師が言及したかって、直線、桃ミスタージーティーが詰まったからだ。見て分かるくらい詰まっている。

ただし競馬において詰まるという行為はある程度仕方ないところがある。もちろん中には避けられる詰まり方もあるわけで、矢作師が怒っているのは、これは避けられた可能性がある詰まりだから。

矢作師が、ジョッキーが一回一回詰まったことに怒ったコメントを見たことはないだろう。もちろん弟子の瑠星に対してあえて厳しく言った部分はあるが、『詰まる以前の部分』に対してのコメントだと考えられる。


詰まる前の布石

ホープフルS
1着レガレイラ 14-14-11-10
5着ミスタージーティー 12-13-13-12

まず見てほしいのは向正面入り口のポジショニングだ。桃ミスタージーティーが、橙レガレイラの前にいることが分かる。

これはレース結果のポジション取りから見ても分かる。2コーナー、つまり左から2番目まではレガレイラが14番手に対して、ミスタージーティーが12~13番手だ。

桃ミスタージーティー瑠星の最初のターゲットは、左前を走っていた黒センチュリボンドだった。騎乗しているのは武豊さん。

もう親の顔より見たと思うが、回顧のたびに書いているように強い馬の後ろ、上手い人の後ろはベストポジションになりやすい

武さんの後ろというポジションは新幹線のグリーン車のようなもので、非常に快適なのだ。左右に余計に動いたりしないし、体内時計も正確だからペースが遅いと動いてくれる。ブレながら下がってこないから進路対策が取りやすい

武さんの後ろと新幹線のグリーン車に大きな違いがあるとすれば、おしぼりが出てくるかどうか、それくらいの違いだろう。

だからここで瑠星が武さんをターゲットにするのは別に不思議な話でもない。センチュリボンドはここまで2連勝、正直能力は疑わしい割に武豊人気気していたが、上位人気でもあるだけに、真後ろという選択肢は納得できる。

ところが向正面でレースが動く。瑠星が隙を見せたつもりはないだろうが、武さんの後ろで待った桃ミスタージーティーの内から橙レガレイラが動いていったんだよな。

これは瑠星に聞いてみたいね。たぶん最初から外意識があったろうから内に入られるのは仕方ないと見ていたのか、そもそも内から上がられたのが想定外だったか。

開けていた内にあっさり入られてしまったことで、レガレイラとミスタージーティーのポジションが逆になってしまったのだ。

ホープフルS
1着レガレイラ 14-14-11-10←ここ
5着ミスタージーティー 12-13-13-12←ここ

ポジションが逆になり前に入った橙レガレイラのルメールは、3コーナーで外前にいる3頭である赤サンライズジパング、白ウインマクシマム、黒センチュリボンドの動きを考える。

ルメールは基本直線は外目に出したがる。この場合外に出すにはこの3頭が壁になっている分、どこかを突破しなければいけない。

橙レガレイラのルメールからすると、選択肢は2つだ。赤サンライズジパングと白ウインマクシマムの間を通るか、ウインの後ろを通るか。

前者の場合、距離ロスは抑えられる。ただウインマクシマムの正海が簡単にどうぞと開けてくれるわけがない。後者の場合ロスはあるが、正海に締められることはない。

レガレイラがどう動くかを、桃ミスタージーティーの瑠星はここで見る形になる。さっきまで後ろにいた馬の後ろでね。ここですでに後手に回っているんだよな。

確かにレガレイラルメールという強い馬、上手い騎手の後ろはベストポジションではあるが、この場合はレガレイラの進路選択に自分の運命をゆだねることにもなる

結果的に橙レガレイラのルメールが選んだのは、白ウインマクシマムの後ろから外に出す手だった。まー、ルメールらしいっちゃらしい。

仮に桃ミスタージーティー瑠星がレガレイラについていく場合、この橙線の上か、更に外を回すことになる。

今日の中山は内がまだ持っていた。瑠星からすると更に外を回すのはリスクでしかない。そのため進路を外ではなく、内に切り換えたんだ。

内に進路を切り換えた桃ミスタージーティー瑠星に課題が生まれる。前に黄シリウスコルトがいたのだ。この馬をどう交わすか考えないといけない。

2択だ。黒アンモシエラ側に行くか、赤シンエンペラーの真後ろ、つまりシリウスコルトと紫アドミラルシップの間か。

瑠星が選んだのは小さい紫丸をつけた部分、黄シリウスコルトと紫アドミラルシップの間だった。

ところがこちらの進路がすぐに狭くなってしまい、しっかり空いたのは黒アンモシエラとの間のスペース、黄丸のほうだったんだ。

気持ちは分かる。アンモシエラの鞍上は菜七子。アドミラルシップの鞍上はドイルちゃん。菜七子が下手とは言わないが、どちらが上手いかというとそれはさすがにドイルちゃんであって、確率論、ドイルちゃんのほうがヨレる確率が低い

低いほうに行ったら逆が空いてしまったというパターンで、こればかりはもう運の世界でもあるから仕方ないと思う。

黄丸のほうが空いてしまったものだから、瑠星はすぐに切り返して外に動こうとした。

この時点で桃ミスタージーティーの瑠星はまだ捌けると踏んでいたんじゃないかな。

前を走るシリウスコルトの皇成が黄矢印をつけたように左ムチを叩いている。基本馬はムチを叩いたほうとは逆のほうに行く。左ムチを叩けば馬は右、つまり内に行く可能性のほうが高い。

青インザモーメントの佐々木大輔くんが、こちらも矢印をつけているように右ムチを叩いている。普通に考えたらインザモーメントは左、つまり外に行く。結果、黄丸は黒アンモシエラが入らなければ開いたままだ。

アンモシエラという馬はそもそもダート馬で、当初は地方交流を予定していたが枠に入らず、結果こちらに回ってきた馬。能力以前に適性で劣る分、そんなところに入る脚がない。普通ならミスタージーティーがまだ捌ける範囲内だ

ところが佐々木大輔くんの技術不足か定かではないが、青インザモーメントが右ムチを叩かれているのに内に寄ってきてしまった

そして皇成に技術がある分、黄シリウスコルトが左ムチを叩いているのにまっすぐ走ったんだよね。これにより、桃ミスタージーティー瑠星が突こうしていた黄丸のスペースがどんどん狭くなってしまったのだ。

もちろん皇成はただ馬をまっすぐ走らせただけでなんの責任もないし、佐々木は内にヨレ過ぎだが、まー、初GIの直線で2歳馬に乗っていれば起こりえる範囲内のことだろう。

これにより桃ミスタージーティー瑠星の進路は完全になくなってしまった。思い切り詰まってしまう。

確かにムチの向きを考えると不幸な出来事に思えるが、そもそもこんなところを突かないといけなくなったのは、向正面で後ろにいたレガレイラに3コーナーで前に出られ、進路選択権を取られたからでもある。

そういう過程の部分で後手に回ったことを踏まえると、矢作師が厳しいコメントを出すのは非常に納得できるのだ。

桃ミスタージーティーの瑠星はもう黄シリウスコルトの外、つまり紫丸の部分に行くしかないのだが、紫アドミラルシップのドイルちゃんは自分にも脚があるのに簡単に後ろに進路を譲ったりしない。

この画像を見てなんとなく分かるように、ドイルちゃんはチラっと斜め後ろを見ているんだよな。瑠星の動きを確認して右ムチで黄シリウスコルトとの間を詰めて、スペースを消している。

当然の判断。脚のない馬でこれをやるのは単なる迷惑行為で、若手がたまにやってベテランに怒られるシーンだが、アドミラルシップ自体4着だったようにドイルちゃんに脚があった。世界のトップクラスはこのスペースを空けない

もうスペースが消えた桃ミスタージーティーは、白ヴェロキラプトルのほうの空いたスペースに行くしかない。

詰まってより脚が溜まった側面もあるが、脚色、手応えから推測するに、勝っていたかはともかく3着以内は十分あった局面だと思う。

まー、矢作師も言うように、これは回顧以前に瑠星が詰まった理由、どこが分岐点だったかももう分かっている話。今回詰まったことに関して先々まで繰り返し書くつもりはない。

ただ本当に上の皆さんは直線詰まらないように道中からポジションを作ってくる。ルメールしかり、川田しかり。過去の回顧に書いてきたことだから割愛。

デビュー2戦目の馬に多くを求めてはいけないことも分かっているし、動かなかったところも仕方ないと思うところはあるけどね。経験値として蓄積されただろうし、いつか似たような局面が訪れた時にこの経験を生かしてくれることを祈るばかりだ。

瑠星は本当にいい師匠を持ったと思う。矢作師が弟子に厳しいことは業界内ではよく知られた話だが、このように厳しく言う代わりにチャンスも与える。海外遠征に積極的に帯同させて視野を広げさせて、技術習得の機会を増やす。

もちろん現在の瑠星の地位は自身の努力によるものであることは当然として、師の弟子になったからこそ瑠星の努力がより実ったとも言える。今後のチャンスの与え方が興味深い。

しかしミスタージーティーはいい馬だな。新馬の内容からいい馬だということは分かっていたが、初めて生でパドックを見て思わず声が出てしまったもの。

この馬、凄く前脚が出るんだよ。柔らかい。Twitter、あ、もうXか、そちらでもレース前に絶賛したが、前がよく出て、体が連動して動く。

今まで色々なGI馬を見てきたが、それに近いものを感じた。改めてパドック映像を確認したが、言い過ぎではないと思う。この先が本当に楽しみだね。

まー、ここで5着だった分、賞金加算できずにまだ1勝クラスだ。今までのリッスンで一番いい可能性がある。大事に使いつつ、クラシックに間に合ってほしい。もう取りこぼしは許されない。やや晩成だろうし、先々どんな馬になるだろうね。期待している。

ショウナンラプンタのお行儀が良くない

まー、2歳馬、キャリアの浅い馬に多くを求めることはないが、それにしても今回のショウナンラプンタには参った。

これは2コーナーだが、緑ショウナンラプンタが口を割っているのがお分かりだろうか。

騎乗している鮫島克駿くんのお尻が他のジョッキーより下に落ちている。つまり後ろに重心が掛かっているのが分かる。制御に苦しんでいる。

7着ショウナンラプンタ 鮫島駿騎手「うまく流れに乗れましたが、左に張りっぱなしで、4コーナーでは曲がり切れないほどでした

克駿が言っているように、ずーっと左、つまり外に張っているのだ。向正面のパトロールを見ても、克駿がバランスを崩しているのが分かる。

完全に想定外だよ。新馬戦の映像を見ていて気難しそうな馬だとは思っていたが、右回りの新馬でこんなに外に張っていなかった。こんなに外に張る面があるなんて知らない。変な癖隠していたな。

これ、克駿が制御することをやめた瞬間、馬が外に飛んでいって、いつぞやのランドオブリバティのようになる。克駿は必死に抑えているが、相手は一馬力。相当大変なやつだよ、これは。

4コーナーではもう我慢できなくなって、緑ショウナンラプンタが外に吹き飛びかけている。その外にいる赤サンライズジパング、白ウインマクシマムが、更に外に弾かれてしまった。

2歳馬で仕方ない部分を差し引いても、レースを壊しかけている。困った気性だなあ…。

恐ろしいのは橙レガレイラのジョッキー。ルメールはショウナンがずっと外に張っているのを後ろで観察していて、あえて動き出しを待っている。外に吹き飛ばされているシーンも真後ろでゆっくり見ている状態。

4コーナーを回り切って、緑ショウナンラプンタがコーナーで外に飛ばない状況になるまで、橙レガレイラのルメールは待っているんだよ。

いやいや、いくらホープフルSとはいえGIだからね。普通だったら焦る局面だが、一切焦らず前の動きを見ている。ここまで余計に脚を使わなかったことで、ここからの脚が違った。

ルメールは前が詰まろうが焦らない。いつかは開くものだと思って乗っているし、そもそも完全に詰まらないところへ道中誘導している。だから普段、ルメールが詰まるシーンは珍しい。この手の先読み力に関しては世界一じゃないかと思うほどだ。

これでショウナンラプンタが外に飛んでいくなどしたのは克駿の責任でもあるのだけれど、マスクはレース後「ショウナンラプンタ勘弁してくれ」と克駿ではなく馬に対してポストしているように、どちらかといえばこれは張っている馬の問題。相手は一馬力、ジョッキーにも限界はもちろんある

確かにより技術があるトップジョッキーたちは張る馬をもっと膨らまずに回るが、当然簡単にできる話ではない。だからマスクは決して克駿だけの責任とは思わないし、克駿に制御しろよと強く言っているご意見に対して疑問を持つ。

ショウナンラプンタ号は,競走中終始外側に逃避しようとしたことについて平地調教注意

これはレース後の裁決。裁決も克駿の過怠金ではなく馬側の責任を問うている。誤解を招かないよう書いておくが、克駿にまったく責任がないとは言わない。

ラプンタ、もう少し競馬を勉強しような。馬はなかなか能力があるんだけどねえ…。

ムルザバエフの危ないシーン

しかし今回のホープフルは危ないシーンがいくつかあったな。ラプンタの外への逃避もそうだが、直線のムルザバエフも危なかった

先に抜け出した赤シンエンペラーの動きが危ない。直線最初は内ラチ沿いにいたのだが、次第に外に、外に寄ってきたのだ。

外に寄っているなら普通修正動作を図る。つまり内目に戻すために左ムチを叩く。しかしムルザバエフは画像で見て分かるように右ムチを叩いている。ムルザバエフがあえて外、橙レガレイラたちに併せに行っている。

当たり前の話、そのまま外に生き続けた赤シンエンペラーのムルザバエフは、橙レガレイラとの間で紫サンライズジパングをサンドしてしまう形になってしまった。

ムルザバエフからすると、サンライズジパングの存在を視認していたのかも怪しい。仮にレガレイラも内に動いてサンライズをサンドしたなら制裁基準が甘くなるのだが、出た裁決はムルザバエフが決勝線手前で外側に斜行したことについて過怠金50000円だった。

つまりJRAはムルザバエフの斜行だけを取った。まー、修正動作もほとんどなかったからなあ。左ムチでも叩いていればもう少しお安くなったんだろうけどね。

これを画像で説明するのは非常に困難だから、VTRを見てほしい。早め先頭に立ったシンエンペラーが思い切りソラを使っている

どこでそんなこと分かるんだと思われるかもしれないが、残り200m付近からちょっと分かりやすい。早め先頭に立っているシンエンペラーの重心が上に上がっているのだ

上に上に、フワフワ飛ぶように走っている。これがソラを使っている状態。まー、まだレース経験の足りない馬だし、早め先頭に慣れていないから仕方ないんだけどね。

レースに集中せず遊んでいることもあって、ムルザバエフも早急に誰かと併せたかった、お、タイミング良く外から併走相手来たで、併せたろ…というところで、思い切りサンライズを挟んでしまったというところだろう。

ムルザバエフは左右確認が甘いんだよな。他のレースでもそういうシーンがある。日本で運転免許を取得するつもりなら気を付けてほしい。第1段階ではねられる。

今回のレースはこのように過怠金や調教注意が目立つ。マスクはJRAのレースのページの下に表記されている競走中の出来事欄が多いレースをいいレースにはカウントしないことにしている。

そういう意味では、いいレースだったか、と聞かれるとレベルは置いておいて、いいえと答えるだろう。

遊びながら2着、しかもレガレイラと併せてから重心が沈んだように、今回はまだ余力がある。

正直今回はパドックの見た目が良くなかった。前走京都2歳Sのパドックと見比べてもらえればよく分かるはずだ。

そもそもこのレースは使う予定がなく、急な参戦だった影響がありあり。その状況で2着なんだから、評価は全く下がらない。来年、海外でも見たい馬だ。

ヴェロキラプトルが早めに下がり過ぎた件

シンエンペラーがこうなってしまったのも、結局早めに先頭に立ってしまった影響が大きい。

仮にだが、前に目標がある場合ならもしかするとシンエンペラーが逆転していた可能性はある

ホープフルS
12.5-10.8-12.1-12.5-12.1-12.2-12.1-12.4-12.0-11.5
1000m通過 60.0
勝ち時計 2:00.2

ホープフルSが重賞化されてから今年で10回目なのだが、1000m通過60.0というペースは2番目に速い。今年のホープフルはそれくらいペースが流れていた。1000m通過タイムが出たのを見て、マスクは差しだなと思ったほど。

ホープフルS
1着レガレイラ 14-14-11-10
2着シンエンペラー 3-4-3-2
3着サンライズジパング 3-4-5-5
4着アドミラルシップ 12-12-13-12
5着ミスタージーティー 12-13-13-12

当然逃げていたヴェロキラプトルは最後捕まる。そんなペースで3番手から早め先頭、遊びながら最後接戦に持ち込んだシンエンペラーも強い

そしてこの速いラップを追走して、最後12.4-12.0-11.5の上がり加速ラップで差し切ったレガレイラはなかなかのもの。

ペースが流れて、なおかつ終いも速かったことで今年のホープフルSはレースレコードだった。素直に地力が問われる流れと考えて良さそうで、この数字を踏めたレガレイラは来年の牡馬クラシックが楽しみだよね。

牡馬』って書いてるのに、マスクがレガレイラを牡馬と勘違いしていると思った層が結構いて驚いた。皐月賞ルートと聞いていたからそう書いているわけで、実際皐月賞の方向に進むことが発表されている。

上がり勝負になるとダノンエアズロックに封じられたように現状苦しい感じはあるが、中山の皐月賞は楽しみ。まだこれからの馬。この一族らしく少し細めでそこまで大きくないだけに、より成長した姿を見せてほしい。

このラップを外目3、4番手を追走し、不利を2度受けながら粘ったサンライズジパングは相当いい内容だった。不利がなくても上位2頭を逆転できたかというと疑問だが、普通に重賞級。

賞金が中途半端だから1勝クラスも使えず、ダートの交流重賞も使えない難しい状況だっただけに、芝でこれだけやれるのが確認できたのは大きな収穫。弥生賞かな、とりあえずは。共同通信杯で上がり勝負になると疑問が残る。

4着以下でこの先楽しみな馬

4着のアドミラルシップは予想以上にいいね。調教の時からいい馬で、馬体は上のブラックホールより好みな馬。

ただ今回に関してはデビュー2戦目ということもあって、経験不足の面が出る可能性があると見ていたんだ。確かに1000m通過60.0というペースも向いたが、スタートが速くない中で、しかも前走1000m通過64.2だから初戦とは4.2秒も違うペースに対応して馬群を割れた。走るな。

一番の狙いどころは京成杯だと思う。皐月賞だとややスピード不足が不安。いずれうまく成長すればブラックホールは超えるのでは。

姉ライラックとは違う馬で比較しがたいが、道悪になっても良さそうなのもいい。雨の七夕賞なんか買いたいね。ヴィーヴァブーケは本当に優秀な繁殖だね。


5着ミスタージーティーはクラシック級だと思う。経験が浅い状態でここまで走れて、なおかつあの筋肉の質はこの先十分期待感を持たせてくれる馬。

7着ショウナンラプンタはGI級とは言わないが、気性がまともになればもっと走っていい。新馬の後半の数字がいい。

10着ヴェラロキプトルはペースが速い逃げを打ってしまったことも敗因だが、そもそも今日のテンションを見る限り簡単に抑えられない状況だったようにも思う。

線の細さもまだ少しあるし、心身ともにもう少し成長してきてほしいな。そうでないと単騎で楽に逃げられるレース以外で買いにくい。

あと12着ウインマクシマム。こちらも精神面がまだ子どもで遊ぶところがあり成長待ちだが、能力的にもっとやれそうな馬。

今回は外追走で苦しい流れになり、しかも4コーナーでショウナンラプンタにやられて弾かれてしまったからノーカウント。まだ現状すぐにいいという馬ではないが、成長していけば先々オープン馬になれるモノを感じる

取消してしまったが、ゴンバデカーブースは右回りの一周でどこまで走るのか見たかったな。マスクは懐疑的に見ていたが、このまま右回り一周の適性を見せずにクラシックに入ることになりそうで、それはそれで厄介。

せめて弥生賞あたりを使ってほしいが、熱発の影響次第でも共同通信杯になる可能性のほうが高そう。

まー、熱発は仕方ない。こればかりは気を付けていても起きる。生き物だしね。早く元気になってほしい。

最後にこれだけは言いたいこと

マスクが信じられないことが1つある。競走を中止したタリフラインについてだ。

直線手前で競走を中止、両腸骨々折により予後不良になってしまった。腸骨は難しい。まだ2戦目、スタッフさんの悲しみを察すると心がより痛くなる。

これに関して唯一理解できないのは、マーカンドが悪いという論調が存在することだ

これが、マーカンドが強引な動きを見せたとか、それに関連して骨折したならまだ分かるが、『追ったから故障した』とか、『無理させたから骨折した』とか、理解に苦しむ。

競馬である以上どうしても故障は存在する。しないための努力を関係各所で行っているが、競馬である以上どうしても避けては通れない。

そもそもあのレベルのジョッキーで故障を察しながら無理することはありえん。その状態で追ったら自分が前に放り投げられて大ケガするわけで、違和感があればすぐ止める

ゲートで立ち上がったりして暴れていたのに走らせたのが悪い』というご意見も見られたが、100歩譲ってその時点で異常があったとして、その状態で発走にゴーサインを出したのは胴元。ジョッキーの責任になるところがない。

凄いのは『暴れて立ち上がった馬をレースに出すな』。駐立不良の馬を全部即時除外していったら走る馬が足りなくなることに気が付かないのか…

シュトラウスからディープボンドに繋がる流れでマーカンドの責任になる論調のようだが、事案がまるで違う。一緒くたにしてマーカンドの責任とされていることを、マスクは非常に残念に思う。

日本の競走馬のレベルの平均、そしてハード面は世界で一番高いと思っているし、それは日本にやってきた外国人ジョッキーがみんな口にすることだが、ファンの層も世界一まで上げていきたいと思うところだ。

もちろんこれはマスクにも言える。マスクが品行方正な競馬ファンかというとこれはどう考えてもそうでもない。そんな中でせめて、ジョッキーと馬の命に敬意を払いながら取り組むことは常日頃考えていることだ。

タリフラインの冥福を心から祈る。いい馬だった。


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