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【天皇賞・春2024】京都芝3200mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)

天皇賞・春の好走傾向=(内)先行有利

天皇賞・春(京都芝3200m) 過去5年好走馬直線進路

直線平均進路:7.5頭目÷大外平均:12.4頭目=馬群内直線位置:61%
4角平均位置:4.1番手÷出走平均数:15.6頭=馬群内道中位置:26%
(1角平均位置:6.5番手÷出走平均数:15.6頭=馬群内道中位置:42%)
好走馬上がり3F平均タイム=35.12秒

歴史ある春の古馬大一番。近年は京都競馬場の大改修によって阪神競馬場に代替えされていた期間があったが、昨年から京都に戻ってきた。「3~4角のアップダウンとそれ以外が平坦」という特徴的なコースが故に、その傾向が毎年注目される。
内外は直線平均進路は7.5頭目で数字上は真ん中から外。しかしこれは2020年の極端な数字が大きな影響を及ぼしており、これを除くと馬群に対して約50%の数字になるため実質バイアスがないとして解釈していいだろう。
脚質は4角平均4.1番手で馬群の中では1/4前と明確な「先行有利」。しかしながら、1角平均が6.5番手(42%)と少し数字が増えるため、中盤から入りながらも道中でポジションを押し上げて勢いをつけられる機動力などが功を奏しているのだろうか。
上がり3Fは長距離戦らしく35.12秒で少しかかっている。3角終わりの下り坂からスパートが始まるため、ロングスパートに近い末脚が求められる。


①簡単の外差しが決まらない

京都外周りのコース形態

京都芝3200mは直線が広く長い外回りを使用する。向正面~3角で上り坂があって中盤にペースの緩みやすく終盤の末脚も重要となりそうなコース形態ではあるため、直線の加速力で外を走る馬が台頭しそうなイメージを抱く。しかし、実際は内を立ち回った馬の好走もあり、年によってはそこを走っていないと勝利できないようなレースもある。

これに大きな影響を及ぼしているのは、4角の窮屈な角度にあるだろう。3角終わりから4角に向けての下り坂で勢いがついた上に窮屈な4角に差し掛かると、外を走る馬には強い遠心力が働いてしまい、相対的に内を走る馬には距離ロスが少なくなって利が生まれる。
これまでにこの現象について懸念があったために2023年までの改修工事で改善された(改修の大義名分は有利不利が目的ではなく、窮屈なコーナーリングになるために内のコースを奪おうとする人馬の危険性を軽減するため)が、傾向は多少マイルドになったものの劇的な変化はなく、根本的なものは変わらない。

②3→4角の下り坂

先述にもある通り、京都コースの特徴の一つは3角にあるアップダウン。
東京中山阪神の他の主場やローカルでもいくつかのコースでゴール前に急坂を登坂しなければならない。道中でスタミナを消耗してから最後の直線は全力スパートを出している状態ですからそこで100~200mもの間で坂を登らなければならないというのは、レースを引っ張る前の馬にとっては苦しい形態。
しかし、京都はゴール前に坂がないだけでなく、終盤のスパートは3角終わりの下り坂を降りる惰性で着火ができるため、先行馬にとっては苦しみを感じにくいコース形態と言える。直線で着火しづらい馬は3角の下り坂の惰性で直線に侵入し、直線でも止まらずに雪崩れ込むシーンは過去に何度もあったため、このコース形態が大きく変わらない限りは先行馬と差し馬の有利不利が入れ替わることはないだろう。

③開催時期の芝/馬場状態

JRAの競馬場は函館札幌を除く8会場で野芝を中心とした芝のマネジメントをしている。日本由来の野芝は年間の中で30℃以上の気温の中で生育されていくため、寒い地域や日差しの弱い地域では育ちが悪くなる。暖かければ生育が進むという傾向があるため、冬場では芝が元気を失い、春からは気温上昇に合わせてどんどん元気になっていくような形。
天皇賞・春が例年行われる第3回開催2週目4日目の時期の京都芝はかなり元気な状態な上に冬場の開催で傷んだ内側は一旦仮柵で隠されていて養生期間があるため、内側がとても綺麗であるということもうちから好走馬が生まれている要因の一つなのではないだろうか。

④近年の京都の馬場

天皇賞・春時計比較(2014~2018/2019~2021,2023)

京都芝コースが改修工事に入る数年前あたりから見られていたのは、それまでの極軽で好時計が連発する高速馬場から逸脱していること。これまでの京都芝の印象はとにかく馬場が軽くて時計が速かった。しかし、改修工事直前頃から京都芝コースでは速い時計が見られなくなっている。
実際に、京都芝で最後にレコードタイムが出たのは2020年5月芝1600m(内)のチュウワノキセキで、それ以外の条件は更に遡る。芝3200mは2017年キタサンブラックが勝利した天皇賞・春の 3:12.5 レコードで、それ以降最も速いのが2021年ワールドプレミアが勝利した 3:14.7 で2秒以上遅い。
個人的に時計が遅くなったように感じる2019年以降の4年間と、それ以前で平均時計を出してみると、1秒以上遅いことがわかった。(上記表を参照)

高速馬場、高速決着になるレースは展開次第で持ち時計がなければ好走するチャンスすら得られないこともあるわけだが、走破時計が落ち着いた近年だと、持ち時計のない「少し脚の遅い馬」にもチャンスが広がる。


当週の馬場傾向

<トラックバイアス>
2017年 土曜:5.2/日曜:3.4
2018年 土曜:4.3/日曜:6.0
2019年 土曜:6.5/日曜:5.0
2020年 土曜:6.2/日曜:10.1
2023年 土曜:5.6/日曜:5.4

※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値

昨年の天皇賞・春実施週から京都競馬場がリニューアルオープンされ、路盤/馬場改修とコース形態の微量な改修を経て傾向の変化を期待したが、実際はそれほど大きな変化はなく、内外に関してはこれまで通りに近い京都らしい傾向が続いている。今年は昨年と違い、1週コースを使用した上で天皇賞・春を迎えるが、大幅な傾向の変化はなさそう。

注目馬

◎テーオーロイヤル
2勝クラスを勝った2021年秋以降、4角平均は3.81番手で終盤に前につけられる脚質、機動力のある馬。一昨年の天皇賞・春を好走していこう不調が続いていが、昨年末から②①①着と結果自体は復活したように感じる。京都実績がないためコース適性は未知数だが、これは世代的に京都を走るチャンスがなかっただけで、早めの開始&長いスパートになる阪神内回りの長距離でも成績を残しているため、独特なアップダウンのある京都でも構想する能力を秘めている可能性がある。
前走は格の高い上にタフなコースレイアウトなどからスタミナと底力が必要な阪神大賞典(阪神外3000m)で強い競馬を見せ、長距離戦戦ではトップであることを証明した。
今回ライバルとなるだろう4歳馬たちは決して長距離適性、長距離能力が高いわけではなく、あくまで世代間の長距離戦を好走しただけであり、そちらと人気を分け合うようであれば馬券的な妙味も高いだろう。

○後日発表
★後日発表

★最終予想はX(旧Twitter)で公開予定です。

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