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【シルクロードS2024】京都芝1200mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)

シルクロードSの好走傾向=外差し有利

シルクロードS(京都芝1200m) 過去5年好走馬直線進路

直線平均進路:7.3頭目÷大外平均:12.0頭目=馬群内直線位置:61%
4角平均位置:12.5番手÷出走平均数:18.0頭=馬群内道中位置:69%
好走馬上がり3F平均タイム=33.73秒

京都の重賞であるため例に倣って4年ぶりであり、当レースも恒例の「近年は中京代替開催だった」ためにサンプルは2020年以前からになる。手元にあるデータでは2020年と2019年の2年分だけにはなるが、数値は直線進路は外、4角位置は後方で明らかな「外差し有利」のレースになっている。
それでは深掘りしていこう。

コース“は”先行有利

京都内回りコース

芝1200mのスタートは向正面途中からで、320mほど進むと3角を迎える。スタートから100m強を過ぎるとすぐに急激な上り坂になるためテンのスピードに乗り切る前に加速点を失い序盤のペースアップがしづらいコースレイアウトである。
また、山を登り切ってから4角に向けて急激に降り、直線は平坦なためにG直前での減速箇所がなく終いの脚が発揮されやすいコースだ。

芝1200m競馬場別前後半3Fラップ  (過去10年混合戦)

芝1200mの競馬場別前後半3Fラップを比較してみると、京都は前傾0.2秒とJRAの競馬場で最もフラットに近い。たった6Fしかない1200m戦は基本として前半から加速してそのスピードをいかに維持できるか、最後までバテずにスピード持続できるかが勝負である。しかし、京都は①S→3角までの距離②スタート直後の急激な上り坂③直線平坦といった特殊な特徴から、短距離戦なのに「前半に脚を溜めて終盤で末脚を発揮する」という特集なレースが展開されやすい。

芝1200m競馬場別逃げ馬成績 (過去10年混合戦)

特集なレース展開になりやすいが故に脚質の有利不利が明確である。芝1200mの競馬場別逃げ馬成績を見ると京都の成績は圧倒的で、複勝に限っては約2回に1回が馬券内に入っている事になる。
コースレイアウトを考えると何も考えずに内先行馬、もっと言えば逃げ馬を買い続ける事で馬券を獲る確率が高まるはずなのだ。

本当に「外差し有利」なのか?

逃げ先行が有利である事は数字の裏付けがあって、それはコース形態からも読み取れる。しかし20年以前のシルクロードSの過去成績を見ると「外差し」の馬が好走している。一覧には記載されていないが、2020年は前年のスプリンターズS②着、直後の高松宮記念は先着馬降着もあって優勝した強豪のモズスーパーフレアが直線で差し馬にまとめて差されている。
実際は先行有利なのか、差し有利なのか、はっきりさせるために馬場状態をもとに検証をしてみよう。

京都芝 19-20年1月末~2月頭 馬場傾向

表が細かくわかりづらいかもしれないが、これは2020年と2019年のシルクロードS開催から2週間前まで遡った1月末~2月頭の好走馬一覧である。それぞれのレースの上がり最速馬がわかるようになっていて、19年は馬名の右に●、20年は馬名に二重下線されているものが上がり最速馬だ。
それぞれの年がこの3週間に限ると19年が61.5%、20年が65.4%のレースで上がり最速馬が馬券に絡んでいた事がわかった。とにかく冬の京都開催で2~3週間競馬が行われると毎年差しが好く利く馬場になっている事がわかった。
元々馬場が弱りやすい、回復しにくい時期な上に競馬開催が集中して馬場の重たくなっているからこそ先行馬の脚が止まり差し馬が届いてしまうと言う構図が考えられるのだ。
ただしかし、これはあくまで差し馬を数えただけの統計学的な話であって本当に馬場が重たいかどうかの数字的な裏付けがない。近年は競馬開催前日と当日の馬場の柔らかさが専用観測装置と馬場造園課の職員によって数値化された「クッション値」が発表されるが、京都の改修工事まではこの発表がなかったため私の手元には馬場の柔らかさ、傷み具合を証明できるデータがない。

2024年の馬場を見てみよう

京都改修後開催別平均クッション値

クッション値が発表されるようになってから開催された改修工事以後の京都芝のクッション値を開催毎まとめみた。昨年の開催は全部で全3回開催29日間あってそれぞれのクッション値は第1回9.1、第2回9.5、第3回9.6と標準から少し高い数字。しかし、今冬の第1回開催は現在7日間が経過して8.8と標準でも低い数字で昨年の3回開催と比べると明らかに低い数値である。よって現状は馬場が柔らかいことが数字上でもわかる。

トラックバイアス-2024年京都1回目一覧

2024年第1回開催を見ると、馬名下二重下線になっている上がり最速馬が馬券に絡んでいるレースは全32R(新馬戦を除く)の内、20Rが該当して、割合は62.5%と2020年、2019年に匹敵する数字である。
今年も4年前以前と同じような馬場状態/馬場傾向であるし、おそらく2020年以前も今年と同じように馬場のクッション値が低く柔らかく重たい馬場だったからこそ差し馬の好走が見られていたのではないかと言う仮説が成り立つであろう。

当週の馬場傾向

<トラックバイアス>
2019年 土曜:5.1/日曜:5.6
2020年 土曜:9.8/日曜:8.5

※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値

改めて数字上で内外の有利不利を確認すると、毎年のように全体に対する数値が高く、ラチから離れた馬の好走が目立つ。毎年この週からBコースに替わって仮柵が最内3m外に設置されるため、馬場の一番傷んでいる箇所は走ることがないのだが、それでも好走馬の進路は外目を走っているため内を走ると致命的なのだろう。
今年は先週よりBコースに変更となったものの雨の開催が大きく影響したのか、数値が2日間で急激に増加して「外有利」が強まったため仮柵の効果はあまり期待できない。

注目馬

◎バースクライ
チューリップ賞後、自条件で中々勝ち切れなかったものの、舞台を1200m移してから一気に3連勝でOPに昇格してここに挑戦。距離を短縮して初戦の9/2 小倉芝1200mの1勝Cは開催後半&前日までの雨の影響で馬場が柔らかかった中で上がり最速で勝利で今の馬場に近しい条件での好走だった。
傷んだ馬場によって末脚に長けた馬に有利なこの舞台には脚が合いそうだ。

★最終予想はX(旧Twitter)で公開予定です。

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