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マイルCSレース回顧(今後の予想に向けた重要な要素を紹介・解説)

今年のマイルCSは戦前の予想通り混戦模様。群雄割拠の争いを制したのは3歳馬セリフォスでした。大きな出遅れもなく、各馬思い通りの位置取りで競馬ができ、ファンの皆様も大いに楽しめた一戦だったと思います。
それではレースを振り返りながら、セリフォスの勝因・ダノンザキッドの激走・次走の狙い目等含めて回顧していきたいと思います。

~レース前~
マイルCS当日の朝は雨模様、夕方まで断続的に降りそうな予報から、先週のエリザベス女王杯同様、道悪での競馬も想定されていました。午前中こそ稍重でのレースでしたが、思ったより雨が降らなかったため午後には良馬場に回復。平場のレースから上がり33秒台が出るほどコース状態も回復しました。やや差し馬有利の馬場でしたが、内からも外からも差せる内外均等な条件でレースを迎えることができました。馬場が回復したことで、ソダシやサリオス陣営はほっと胸を撫でおろしたことでしょう

~レース発走~
大方の予想ではベステンダンクとホウオウアマゾンのハナ争いでしたが、ベステンダンクは行きっぷりが悪く、ホウオウアマゾンもスピードがイマイチで行ききれず。好スタートを切ったピースオブエイト・ロータスランドの2頭が無理なく先頭に押し出される展開に。ペースは落ち着き、最初の600mも35.1秒とGⅠにしては遅い入りになりました。そのため道中かかり気味な馬が結構いました。レース中盤に差し掛かるあたりでは、外からファルコニアがややかかり気味に進出した関係でペースアップ。馬群がやや縦長になりながらも、各馬マイペースで進み、余力を残した状態で直線に向く。先行していたロータスランドが内から抜け出しを計る中、外から有力馬が一斉に襲い掛かる。混戦の中からソダシやソウルラッシュが先頭を伺う中、1頭次元の違う差し脚で大外からごぼう抜きを見せたセリフォスが圧勝し悲願のGⅠ制覇。2着は馬群の狭い所を割ってきたダノンザキッド。残り100mまで何が来てもおかしくない実力伯仲の好レースだった。


~セリフォスの勝因は?~
各世代のトップマイラーが集った一戦で完勝した要因は果たして何だろうか? 3つの点で推測します。
1、能力
2、状態
3、コース取り

まずは能力。今年の春、NHKマイルCを1番人気で迎えた実力は折り紙付きで、3歳春の時点で安田記念に参戦させるぐらい将来を嘱望されていた逸材。
安田記念は古馬初対決・GⅠと簡単ではない条件で4着に好走。この時点で秋には差が更に縮まることも期待されていた。そんな中での前走、富士S古馬撃破の完勝。スペースがなく追い出しが遅れた中で強豪相手に差し切り、飛躍の秋を感じさせていた。不利な状況を克服して勝ち切る能力は類まれなる勝負根性を持っているということの証明です。そしてマイルCSへと繋がるのだが、6番人気止まりだったのは、力のあるGⅠ馬が揃っていたことに他ならない。上位人気のダノンスコーピオンやソウルラッシュにも前走先着しているのだから、上位に食い込む力は当然持っていたと言えます。また、3歳馬ということで春からの更なる成長も見込めました。

次に状態ですが、最終追い切りの映像を見たのですが、終始手ごたえが楽。余力十分な追い切りな上ラストも11秒3とこれ以上ない動き。前走は休み明けもあってか、追い切りも強めに追ったり一杯に追ったりで仕上げ途上といった印象の中あの勝ち方でしたから、今回はかなりの上積みを持ってレースを迎えることが出来ていました。追い切りは馬なり好時計は好調のサイン最終追い切りの一杯追いは仕上げ途上の可能性が高い。もちろん調教駆けする馬もいますので過去の調教時計と比較できたら尚良しです。

最後にコース取りですが、まずまずのスタートから無理せず馬の行く気に任せて後方から、終始ペースを乱すことなく直線で大外に回す選択をしました。追い込み勢に有力馬が多かったこともあり、直線の追い比べで各馬びっしり馬体を合わせての競馬に。その影響で進路が開かず脚を余した馬や、挟まれて不利を受けた馬が複数見られました。ソダシやソウルラッシュ・ダノンスコーピオンにシュネルマイスターなどは、他馬と体をぶつけながらの競馬になったのに対して、大外に持ち出したことにより、不利を受けず(距離ロスはあるが)ストライドを思う存分に伸ばせたのが好結果を生んだと思われます。そしてあの位置まで追い出しを我慢出来たのも、調教でも跨りレーン騎手が自信を持っていた証拠だろうと思う。

以上セリフォスのプラス要素をまとめてみました。
コース取りは事前に読み取るのは難しいですが、能力の上積みや調教の動きは情報により収集出来る部分なので、しっかりと調べましょう。
また、余談ですが、レース後のコメントで、馬場は柔らかめだったとの証言がありました。速い上がりが出る馬場ではありましたが、雨の影響で地盤は少しクッションの効いた状態だったようです。こういう柔らかめの良馬場では、ダイワメジャー産駒やハービンジャー産駒が良く来るイメージがありますので、開催前に雨が降っていた場合は、良馬場でも上記の産駒に注目して下さい。


~ダノンザキッドの激走の要因~

他馬とぶつかりながらも馬群の狭い間を割って2着。想像以上に強い内容。人気の盲点になっていた?? 2つの点で推測します。
1、能力
2、状態

まずは能力。2歳時にホープフルSを勝ち世代トップクラスの実力を持っていた同馬。しかしそのホープフルS以降勝ち星がない。2歳時以降勝てないという部分は気がかりに映る。しかしレース内容を見てみると、昨年のマイルCSでは名牝グランアレグリアと小差の3着、今年の安田記念では先行馬で唯一上位に残ってコンマ2秒差の6着、前走では、ゲート突進のアクシデントで外枠発走になりながらも、今回人気のサリオスとコンマ2秒差と能力が落ちている兆候は見られず、実力の片りんは十分見せていた。また、3着が多い等相手なりに走れる馬は、格上挑戦でも勝負になるケースが多いので、人気がなければ積極的に狙うのも手です。また、前残りで差し届かずの馬や追い込み決着で先行して上位に粘っていた馬は次走展開によってはパフォーマンスを上げるので、該当しそうな馬がいる時は記憶しておくと良いです。

次に状態面。調教の動きは正直特筆するほど素晴らしくは映らなかったのだが、驚いたのはパドックでの馬体の良さ。とても体を大きく見せていた。見た目の感覚というのはなかなか説明が難しいが、全体に丸みを帯びていて、皮膚に張りがあると馬体が大きく見える。また馬がカッコよく見えるのも上記が伴っている証拠なので好調と判断して良い。直前まで検討できる方は、ぜひパドックやキャンターで馬体をチェックする癖を付けて下さい。
この馬カッコ良い!とか毛ヅヤがピカピカ!とか感覚で判断しても大丈夫です。元気がなさそう、、とか、皮膚に張りがなさそう、、とか逆に体調に疑問を持てるケースもあるので、初心者の方もこの感性を大事にしましょう。


~次走狙い目はこの馬!~

★ジャスティンカフェ~直線でファルコニア他2頭が壁になり減速、馬体も 
           接触、スムーズに間を抜け出せていれば脚色から考  
           えて2着はあった。GⅠで勝負になる実力は示し 
           た。

★ファルコニア   ~直線を見てもらうとわかるが、舌を出して走ってい 
           る。実は調教でも舌を出して走っていた。実際過去  
           数戦のレースを見返したが舌は出していない。昨年 
           の小倉記念出走前の調教でも舌を出していたようだ
           が、1番人気で6着と人気を裏切っている。舌を出
           すには理由があり、「遊んでいる」「息が苦しい」 
           等であり、マイナス要因だ。
次走出走時の調教映像
           を注視し、舌を出していたら馬券対象から外した
           い。逆に舌を出していなく人気がなければ、積極的
           に買いたい1頭。

結果を振り返ることで、次の予想に繋げていくことが重要です。もちろん勝因や敗因は一つではありませんし、色々な要素が組み合わさっています。多くの知識やパターンを知りそれらを組み合わせて考えることで、より競馬予想が面白くなります。
この分析によって得た知識によって、あなたの競馬脳が少しでも進化したのであれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。


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