見出し画像

ジャパンC 振り返り

コントレイルは有終の美を飾りターフに別れを告げた。こんなに思いを強く寄せた馬は初めてであり、まだコントレイルがターフで飛び回る姿を見たいと思う。しかし、強い馬はレースで1番になって終わりではない。種牡馬としても1番にならなくてはならない。そういう宿命なのである。関係者を含め、調教師、厩舎スタッフ、福永騎手の思いも背負って名種牡馬になってほしい。

レース展開 振り返り

キセキが後方からとなり、意外にもアリストテレスが逃げる形に。「行けるなら行こうと思っていました」逃げた経験がないのにも関わらず逃げるあたりさすが横山一家である。ただ逃げた事自体は悲観する内容ではなく、持ち味を活かすという点では好騎乗であったと思う。キセキが道中捲っていったが、後ろの馬は動かなかったのでペース的にはスローペースで、瞬発力が問われたレースとなった。

各馬の振り返り

コントレイル

 福永騎手は今年1番活躍している騎手の1人と言っても過言ではない。その理由を私は、単純に強い馬に乗っているからではなく、頭が良くポジショニングをとるのがうますぎるからであると考えている。福永騎手は馬本来の力を出し切るエスコートのプロだ。もちろんそれが騎手のやるべき事であり、最低限の仕事だと思う。しかし、それをやれる騎手は何人いるだろうか。福永騎手はしっかりこなせる騎手の中の騎手なのだ。今回もその姿を見ることができ、改めて凄さを感じた。
 ここからコントレイルの話に入る。スタートに若干の不安がありプール調教やゲートの練習などをやっていたが、本番はすんなり出ることができた。スタート後福永騎手はシャフリヤールがどう動くかしか見てなかったと思う。やっぱり負けるなら自身が乗ってダービーを制したシャフリヤールであり、彼の力は福永騎手が1番良くわかっている。結果的にシャフリヤールの後ろを取ることができ、理想的なポジションを取ることができた。シャフリヤールの後ろならばすぐにたれることもなく安心して直線を向かえられるからだ。道中はキセキが捲っていった事でラップは11秒台が続いているが、後ろの馬たちは動かなかったためスローペースで瞬発力勝負となった。スピードの持続力という点においては、シャフリヤールの方が上だと私は考えており、瞬発力勝負になったことはコントレイルにとって良かったはずだ。
正直1番不安だったのは、直線だ。昨年のジャパンC、今年の天皇賞・秋と直線で左にもたれる面を見せた。私がシャフリヤールを◎としたのも、ここが1番の理由。距離がもつか不安だった。しかし、しっかり足をためることができたからか、直線で左にもたれることはなく、しっかりまっすぐ走れていた。コントレイルにはいつも驚かせられるが彼は頭のいい馬だ。引退レースと分かっていたかのような強い内容で完璧なレース運び。負けるわけにはいかなかったんだと思う。(独自の感想です。)
 コントレイルは私が1番好きな馬で、初めて無敗の3冠馬というものの凄さを見せつけられた。私が生きている間にもう見ることができないかもしれない。そんな経験をさせてもらった。後世に残る歴史的名馬の仲間入りをしたと言ってもいい。コントレイルの子供達がターフで駆け抜ける姿を楽しみにしている。ありがとうコントレイル。

オーソリティ

 さすがは東京巧者でさすがはルメール騎手。全て完璧に乗っての2着だから相手が悪かった。

上から順に
オーソリティの青葉賞
コントレイルのダービー
2017年シュヴァルグランのジャパンC

 どのラップが凄いかは一目瞭然で、オーソリティの青葉賞だろう。ラスト5Fから11秒代のラップが続いており、2400なのにも関わらず最後まで止まることなくゴールインしている。またこの時のタイムは昨年のジャパンCアーモンドアイと同じであり、ここを好走する下地はあったのだ。しかし上位2頭とは歴然の差があり厳しいと判断し▲までに。
 昨年のアーモンドアイのように勝ちに行く競馬をしての2着でこの馬のベストパフォーマンスだったと思う。今回このメンバーでも力を証明できたことはこれからに繋がるだろう。これからのG 1戦線での活躍に期待したい。

シャフリヤール

 ここは力負けではなく、道中の不利がデカすぎた。それほど大型馬ではないこの馬にとってあれはかなりのストレスだったと思う。あとスローペースになりスピードの持続力より瞬発力を問われたのも敗因だろう。正直状態面、舞台設定は完璧で今回コントレイルに勝てるのはこの馬しかいないと思っていた(今でも思っている)。ただ、今回でしっかり課題が見つかったことは経験や収穫としては大きい。
 個人的にはスピードの持続力が求められやすい安田記念とかを使ってほしい。3歳で毎日杯の破格ラップを出せるのだから力は相当のモノを持っている。まだ底を見せておらず、これからこの馬の力をさらに知ることになるだろう。

サンレイポケット

 前走の天皇賞・秋に続いての4着。結果は4着だが、やっとここにきて本格化してきた印象を受ける。ジャングルポケット産駒の成長力は凄いものがある。トーセンジョーダンやジャガーメイルが7歳でジャパンC3着となった様に彼も来年楽しみになるような走りだった。スタート後4番手あたりにつけれて、上位馬より前に行けた事はかなり良いと思っていたが、だんだん下がり結果上位馬の後ろからになった。これが勝負の分かれ目だったのではないかと思う。
 この馬の注目したい点はレースの内容ではなく、調教だ。

調教でこれほど本番を想定した走りを見せてくる馬は例が少ないはず。私はサンレイポケットが初めてであり、陣営の本気度が伝わってきた。こういう馬は積極的に狙っていくべきだと今回を通して学べたので、感謝したい。とにかく来年もジャパンCに出てほしい。

ユーバーレーベン

想定した位置よりも前で競馬する事ができ、彼女お得意の瞬発力戦になったまでは良かった。しかし、直線の進路どりが上手くいかず内を狙う事に。上がり2位の足で6着と悔いが残る結果となった。私が考えていたよりも善戦してくれたので、次瞬発力が問われる舞台で狙いたい。今の3歳世代はかなりハイレベルだが、その世代で見ても上位の力があると思ったそんなレースだった。

最後に

 様々な思いがある中で行われたジャパンC。コントレイルが主役のレースだったが、他の馬もこれからが楽しみになるレース内容だった。
 これから競馬界を引っ張っていく3歳勢と意地でも世代交代はさせられない古馬勢。コントレイルが引退しても来週からまた競馬は始まります。それぞれの思いを乗せた優駿達を私はこれからも見ていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?