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インバーターの役割と仕組みをわかりやすく解説

インバーターは家電でも使われている身近な電気機器です。ですがインバーターとは何かを詳しく知っている人は少ないと思います。

そこでインバーターとは何か?なぜ必要なのか?

について構造や仕組みとともにわかりやすく解説します。

インバーターとは何か?

インバーターとは一言でいうと、直流電圧を交流電圧に変える装置のことです。

では直流電圧とは何かというと、ずっと一定の図1のような電圧のことです。

身近なところでいえば電池から出る電圧が直流電圧です。


図1 直流電圧

次に交流電圧は何かというと、一定の周期で向きが変わる電圧のことです。

例えば家庭のコンセントの電圧は100Vの交流電圧で、図2のように波を描きながら一定の周期で方向が変わっています。


図2 交流電圧

この一定の周期でというのがポイントで、きれいな波ではなくても、例えば図3のように角張った波形の電圧も交流電圧といいます。


図3 交流電圧(矩形波)

インバーターはこの直流電圧をどうにかして、一定の周期で方向が変わる交流電圧に変える装置です。

インバーターの構造と仕組みの簡単な解説

直流電圧と交流電圧がわかったところで、直流電圧を交流電圧に変える方法を考えてみます。

結論から言うと、図4のような回路に直流電圧をかけることで、直流電圧を交流電圧に変えることができます。インバーターも図4のような回路をしています。


図4 インバーター内部にある回路

では図4の回路がなぜ直流電圧を交流電圧に変えられるかを説明します。

まず直流電圧は図1のようにずっと一定の電圧とします。そして図4の抵抗の部分にかかる電圧を考えてみます。

図4の回路にはスイッチが4つあります。そのうちスイッチ1とスイッチ4を閉じると、回路は図5のように繋がります。


図5 スイッチ1とスイッチ4を閉じた時の回路

その時抵抗に掛かる電圧は図6のようになります。


図6 スイッチ1とスイッチ4を閉じた時の回路と電圧

そして少し時間が経った後に今度はスイッチ2とスイッチ3を閉じて、スイッチ1とスイッチ4を開きます。

すると抵抗にかかる電圧は図7のようになります。


図7 スイッチ2とスイッチ3を閉じた時の回路と電圧

図6と図7とでは抵抗に掛かる電圧が反対の向きになっています。

少し交流電圧ぽくなってきました。

そこで次は、閉じるスイッチを今の組み合わせにして、一定の周期でスイッチを閉じたり開いたりしてみます。

すると、一定の周期で抵抗にかかる電圧の向きが変わります。その時の電圧は図8のような波形になります。


図8 周期的にスイッチを開閉した時の電圧

これは図3でみた交流電圧(矩形波)と同じです。

インバーターはこのようにスイッチを閉じたり開いたりすることで電圧の向きを変えて、直流電圧を交流電圧に変換しています。

インバーターの構造と仕組みをもう少し詳しく

インバーターの基本的な仕組みは図4のようなスイッチが複数ある回路があり、スイッチを開閉して直流電圧を交流電圧変えることです。

ただし図4では普通のスイッチでしたが、実際はただのスイッチではありません。

なぜなら実際に電気機器で使われる交流電圧はとても速く向きが変わっているからです。例えば家庭のコンセントから出る交流電圧は東日本では50Hz、西日本では60Hzです。

では50Hzの交流電圧がどれくらいの速さで向きが変わっているかというと、図9のように0.02秒で行って帰ってくる電圧になります。


これと同じ周期の交流電圧をつくるには、図4の回路だと0.01秒に1回スイッチを開閉する必要があるので、普通のスイッチではできません。

そこでスイッチの代わりに使われているのが半導体を使った部品です。この部品はパワーデバイスと呼ばれます。

いくつか種類があって、代表的なものでIGBTやサイリスタがあります。

このパワーデバイスは種類にもよりますが、1秒間に数千回から早いものでは数万回以上の速さでスイッチを開閉できます。そのため高い周波数の交流電圧をつくることができます。

インバーターの役割

簡単な仕組みがわかったところで、次はインバーターの役割について説明していきます。

家電ではインバーターが使われているものがたくさんあります。ではなぜインバーターが使われているかというと、主に省エネのために使われています。

またなぜインバーターを使うと省エネになるのかというと、モーターの回転数を変えることができるからです。

このモーターの回転数を変えることがインバーターの主な役割です。

モーターはかけられる電圧の周波数が高いほど速く回転します。逆に周波数が低ければより遅く回転します。

インバーターを使った省エネ

インバーターを使うことで、モーターの回転速度を速くしたり、遅くしたりできることができます。これがなぜ省エネになるかを説明します。

簡単な例として、ファンで風を送る場合を考えてみます。

図10はファンで起こした風をダクトを通して送っている様子です。

図10 ファンを使って風を送っている様子

ダクトの途中には、風の量を調節できるふたがあります。このふたはダンパと呼びます。

ダクトから出てくる風を少なくしたいのであれば、ダンパを閉じればいいですし、多くしたいならダンパを開ければいいです。

しかしダンパを開け閉めしても、ファンは同じ回転速度で周ります。なぜならファンを回しているモーターの回転速度は周波数で決まるからです。

この場合は出口が狭くても、ファンは同じ速度で周って風を送ろうとするため、余計なエネルギーが必要になります。

ではどうすれば余計なエネルギーを減らせるかといえば、ファンの回転速度を落とす、すなわちモーターの回転速度を落とすことが必要です。

回転速度は周波数で決まるので、インバーターでモーターにかかる電圧の周波数を変えれば、回転速度を調節できます。

これにより、ダンパを全開にしていても必要な分だけの風量をファンから出すことができます。

この様な理由でインバーターを使うことで余計なエネルギーを使わず省エネになります。

コンバーターとは?

最後に少し補足で、家庭のコンセントから出る電圧は普通は交流電圧です。

そしてインバーターは直流を交流に変える装置でした。

通常インバーターは交流を交流に変えられるものではないので、コンセントから出る交流を、一度直流に変えて、再度交流に変える必要があります。この直流を作るのがコンバーターと呼ばれる装置です。

コンバーターの詳しい仕組みは省きますが、インバーターとは逆で、交流電圧を直流電圧に変えることができます。

大体インバーターと呼ぶ装置の中にはコンバーターも含まれているので、その2つを合わせてインバーターと呼ぶことが多いです。

エアコンなどの家電に使われているインバーターにも内部にはコンバーターが入っています。

最後に

今回はインバータの構造や役割を直感的に理解できるように難しいことは省いて説明しました。

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