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ITで日本をよくする!Chatwork創業者 山本敏行さん

20万社以上に導入される純国産No.1クラウド型ビジネスチャットツール、Chatworkの創業者で現在はビジネスYouTuberとしても活動されている山本敏行さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地 大阪府寝屋川市
経歴 昭和54年3月21日生まれ、中央大学商学部在学中の2000年に留学先のロサンゼルスで EC studio(2012年にChatWork株式会社に社名変更)を創業。「自分がいなくてもうまくいく仕組み」「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」を出版し、両書ともアマゾン売上総合ランキング1位を獲得。2012年に米国法人をシリコンバレーに設立し、自身も移住して5年間経営した後に帰国。
現在の職業および活動 2018年 Chatwork株式会社を共同創業者の弟に譲り、2019年「My CSO」をスタート。同年、ビジネスYouTubeチャンネル「戦略チャンネル」でこれまでの経験、ノウハウを配信している。
座右の銘 餅は餅屋

「My CSO、戦略チャンネル、戦略サロン」

記者 Chatwork社を退任されて、今はどのようなことをされているんですか?

山本敏行さん(以下、敬称略) 今は、My CSOというサービスで企業の一日コンサルティングをしています。日本で13年、シリコンバレーで5年の経営経験を活かし、会社自体が一日人間ドックを受けるようなイメージで、ボトルネックとなる改善点をその日のうちに診断し、アクションプランまでをつくるサービスです。よくあるコンサルのように継続したサービスではなく、一日で最適な形までもっていくのが僕らしいやり方だと思ったんです。さらに、さまざまな業界の企業をコンサルするので、会社と会社をマッチングさせることでメチャメチャうまくいくこともあって、そういった戦略的マッチングもどんどんやっていこうと思っています。

あとはYouTubeの戦略チャンネルですね。僕がもっているノウハウを毎日一本動画にまとめて投稿しています。普通コンサルって自分のノウハウを囲い込むことが多いと思うんですが、僕はノウハウをいっぱいもってますし、次々とアイデアが湧いてくるので、脳ミソのなかを全部公開しています。それともっとディープなことを発信できる戦略サロンというオンラインサロンも無料でやっています。

あと今後やっていこうと思っているのが、戦略エンジェリストです。エンジェル投資(起業家のスタートアップを助ける個人投資)のことですが、見込みのある若手起業家とそれを支援したい人をマッチングさせて、ただお金を投資してもらうだけではなく、ノウハウも一緒に提供する戦略のエンジェルです。ノウハウと共に支援するので若手起業家の成功確率は上がりますし、そうなったらリターンも返ってきます。変な株式投資をするよりも、僕が間に入るので、戦略エンジェリストとして投資をする方がはるかに有益だということです。

記者 戦略という言葉がよく出てきますが?

山本 日本人は戦略が弱いんです。戦術は得意なんですけどね。戦略とは「目的地に到着するためのシナリオ」です。そのシナリオを描くためには、全体を俯瞰したビジョンが必要になるんですが、日本人は俯瞰してみるのが苦手なんです。「木を見て森を見ず」みたいになりがちなんですね。会社でもCEO(最高経営責任者)やCTO(最高技術責任者)はいますけど、CSO(最高戦略責任者)は殆どいなくて、大体は社長が戦略も一緒に考えていることが多いんです。

My CSOサービスでは、社外CSOという形で僕が社長にアドバイスをしながら戦略の大切さを伝えています。それが日本のためになると思っています。僕が一番やりたいと思ってるのは日本全体を俯瞰してみれる総理大臣のCSOなんです。日本がよくなるためにはどうすればいいのかということを常に考えています。

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「ITで日本をよくする」

記者 これからの夢・ビジョンを聴かせてください。

山本 Chatworkの創業当初から「ITで日本をよくする」というビジョンがあり、そこはずっと変わっていません。僕が今までにやってきた全てはそこがベースになっています。

記者 その背景を聴かせてください。

山本 創業したとき、僕はアメリカに留学していたんですが、さぞかしアメリカ人は凄いんだろうなぁと思っていたら、全然大したことないし、仕事も適当だし、むちゃくちゃやなと思ったんです。その後、シリコンバレーに行って気づいたんですが、アメリカという国は、1%の天才が99%を動かす国なんですね。だから最初はなんでこんな奴らに負けてるんだという怒りから起業したんです。

それでいろんな人に「アメリカ倒す」と言いまくっていたら、ある経営者に「山本くん血気盛んでいいけど、こんな言葉がある」と言われ、色紙に「血気に老少ありて、志気に老少無し」って書いてもらったんです。血気盛んなモチベーションは老いと共に減るけど、志によるモチベーションは老いと共に減りはしないという意味で、当時25歳の僕は、完全に血気盛んなモチベーションやなって思ったんです。それで「志」ってどういうことやろうと考えたときに「アメリカ倒す」ではなく「日本がもっとよくなればいいんだ」ということで「ITで日本をよくする」になったんです。

記者 ”ITで日本をよくする” の ”よい” の定義は?

山本 Chatwork時代の経営理念に「Make Happiness」というのがあって「私たちはITを通して幸せを創り出します」というサブタイトルがつくんですが、じゃあ幸せって何かというと「心のゆとり」のことを指していて、さらに心のゆとりって何かというと、①経済的な豊かさ、②時間的なゆとり、③円満な人間関係 の3つの項目として定義したんです。Make Happiness はいつも意識しているので、もしかしたら、それかもしれませんね。

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「インターネットとの衝撃的な出会い」

記者 ITでビジネスをはじめたのはいつごろなんですか?

山本 高校生のころにインターネットと出会って、そのころから社会人の大人と対等にビジネスをしていました。

記者 なぜ高校生なのにビジネスを?

山本 それには背景があるんです。僕が小学生のときにラジコンがほしくて、お小遣いのなかから毎月数百円づつ、2〜3年間くらい貯めてたんです。ようやくラジコンが買えるようになったので、その財布を持って本屋さんにラジコンの図鑑を見に行ったんですが、そのときに中3くらいの金髪の不良が数人でその財布を覗いてたんですね。それでその不良に財布をカツアゲされたんです。その後、僕はそいつらを探すために徹底的にリサーチをして、家も判明して絶対に取り返しに行くと言ったんですけど、うちの母親にやめときと言われて、そのまま買ってくれるわけでもなく、またお小遣いを貯めないといけなくて、そんなの待ってられへんってなって、そのころからお金は自分で稼がなきゃいけないんだって思うようになったんです。中学生のときには母親がやっていた内職をやらせてくれって言って、線香の箱を毎日150個くらい作っていました(笑)。

記者 インターネットとの出会いは?

山本 高校生のときにオタクだった弟の部屋に初めて入ったことがあったんですが、弟はパソコンのなかで「この飛行機はアメリカ人、これはインド人」といった具合に対戦ゲームをしてたんです。今から20年以上も前のホームページもないような時代に、大阪の寝屋川という田舎から全世界の人にアプローチできるんかと衝撃を受けたんですね。これはモノが売れるかもしれないと思って、家にあった不要品を売りまくったのがはじまりです。その後も親父のアカウントを使ってお小遣い稼ぎをしていました。

記者 どのくらい稼いでたんですか?

山本 月に20万くらいは稼いでました。うちの高校はアルバイトも駄目だったのにそんなに稼いでるので、みんなの理解を超えてたんでしょうね。そのときのあだ名は「犯罪者」でした(苦笑)。こいつなんか危ないことして稼いでるんやって。

記者 完全に変わり者扱いだったんですね。

山本 はい。そのときはセンター試験の間近なのに、学年で僕一人だけがセンター試験を受けないって宣言するもんだから、みんなから「あいつアホや、アホの山本」って言われてました。でもそのときの「センター試験受けろ」みたいな周りからの同調圧力はもの凄かったですね。周りが全員それだから俺がおかしいんかなって錯覚するくらいでした。

おそらく僕と同じような人が、今の日本にはいるはずで、周りから「起業なんかやめとき」とか「地元のあの企業に行け」みたいに言われ、みんな潰されてると思ってるんです。

記者 昔のご自身のような人を救おうとされているんですね。

山本 今だったらそういった若い子にYouTubeで情報を届けられるじゃないですか。ほっとけば潰されるような若手起業家に対して、戦略エンジェリストのような仕組みで軌道に乗るまで支援するのが僕の役割かなって思います。起業家支援にイノベーションを起こしてやろうと思っています。

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「頑張っている人が報われる社会」

記者 大切にしている価値観は?

山本 僕の人生ミッションは「頑張っている人が報われる社会をつくる」なんです。高校生でも頑張っていたら社会人と対等にビジネスが出来たんです。インターネットがあれば、障がい者でも主婦でも中小企業であっても対等に戦うことができるじゃないですか。それが家庭環境とか、地方だからとか、貧困とか、国が違えばカースト制度とか、環境のせいで諦めちゃってる人って凄く多いと思うんです。せっかく生まれてきたんだから諦めるなって思うんです。

記者 今の世の中に対して感じている課題は?

頑張っている人が報われる社会はつくりたいですが、つい最近、世の中には頑張っていない人の方が多いんだなということに改めて気がついたんです。この間、大阪の実家に帰ったとき、地元の友人から「お前みたいに毎日新たな挑戦をしたり、日本をどう変えていくかみたいなこと考えてる人間はレアだ」ということを言われたんです。僕の周りには頑張ってる人しかいないので、世の中の人はみんな頑張ってると錯覚してたんですが、どうやらそうでもないらしい。こりゃまずいなと思ったんです。頑張ってる人たちだけで頑張っても駄目で、頑張っていない人が頑張りたくなるような底上げをしなければいけないと思います。そのために何が出来るのかを今は考えています。

記者 全国民がちょっと前に進むだけで凄いことになりそうですね。どんな人でもチャレンジができる。そんな世の中になればいいなと私も思います。本日はありがとうございました。

山本敏行さんに関する情報はこちら
↓↓
◇My CSO

◇戦略チャンネル(YouTube)

◇戦略サロン

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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、見並、山田、阿久津(カメラ)です。

次々とアイデアを思いつき、それをすぐに実行しないと気が済まないと仰る山本さんの言葉が印象的でした。全体を俯瞰した戦略的な観点をもって、且つ、体育会系のノリで明るく実行力のある山本さんはとても魅力的な方です。起業家支援や日本をよくしていきたい想いと、その背景となるお話も含め、とても充実した時間を過ごすことができました。山本さん貴重なお話をありがとうございました。


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