テイラー・スウィフト、突如リリースする『Folklore』で真のチャート復活なるか

寝耳に水。テイラー・スウィフトがニューアルバム『Folklore』を本日リリースするとアナウンスしました。

前作『Lover』(2019)でもみられたフィジカルでのデラックスエディションは今回も用意、一週間入手可能となっています(公式サイトで確認できます)。このフィジカルにはデジタル未収録の「The Lakes」というボーナストラックも収められるため、デジタルで所有もしくは接触しながらフィジカルの到着を待つ形が多いものと思われます。

今回の作品は一切の先行曲がないという点において彼女の新機軸と言えそうです。

自分がテイラー・スウィフトに注目する理由は近年のチャートアクションが芳しいとは言えないこと。たしかにアルバムは2作目以降米ビルボードで連続して首位を記録しながら、大成功を収めた『1989』(2014)以降は数値面で勢いが急落。『1989』が素晴らしすぎたというのもありますが、『1989』が受賞したグラミー賞の最優秀アルバム賞において、『Reputation』(2017)および『Lover』はノミネート自体されていません。

そして米ビルボードソングスチャートでも勢いの問題が顕著に。『1989』後の首位獲得曲は「Look What You Made Me Do」(『Reputation』からの先行曲)のみと、『1989』から3曲を首位に送り込んだ状況とは大きく異なります。それも「Look What You Made Me Do」や、『Lover』の先行曲でブレンドン・ユーリー(パニック・アット・ザ・ディスコ)をフィーチャーした「Me!」等は瞬発力に長けながら、ラジオを中心に持続的なヒットに至りませんでした。『Reputation』からは先鋭的と捉えられる曲が高位置で登場しながら、年間チャート等でみると最も支持されたのは「Delicate」だと言えます。

また「Me!」は今年連発したフィジカル施策(レコードやシングルCD、カセットテープを公式サイトで販売し、これらフィジカルの購入段階でその到着を待たずにダウンロードが可能となり、ダウンロード指標に加点できるというもの)を先んじて行っています。それでも「Me!」はリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」の後塵を拝し、終ぞ首位に至れなかったのみならずトップ10在籍がわずか4週となってしまいました。下記ブログエントリーではフィジカル施策については触れていませんが(今年フィジカル施策が連発されたタイミングで米ビルボードが”「Me!」も…”と紹介したことで、その施策の実施を知った次第)、所有指標にブーストを仕掛けた反動の大きさがロングヒットに至れなかった理由と考えます。

ソングスチャートで好い成績を残せず、アルバムチャートは首位を獲得しても『1989』より大きく落ち込んだ近年のテイラー・スウィフトの作品群。そんな中でアナウンスされた8枚目のオリジナルアルバム『Folklore』は先行曲ゼロ、且つサプライズリリースというこれまでにはない手法を採っています。テイラーには先入観なく内容を直視してほしい、そして「Delicate」のようなロングヒットを作りたいという思いがあるのかなと考えたのです。

しかし一方ではこんな指摘が。ライターで翻訳家の池城美菜子さんによると。

テイラー・スウィフトに無礼な態度をとったカニエ・ウェストが今日、ニューアルバム『Donda: With Child』をリリースすることを数日前にアナウンスしています。

カニエ・ウェストの過去作のリリースタイミングを踏まえるに『Donda: With Child』が実際リリースされるかはわかりません。それでもリリースされれば初週ユニット数を大きく稼ぐことが予想されますが、テイラーは敢えて対抗して首位の座に就き、大半の作品で首位を獲得してきたカニエに1位を獲らせまいと画策したのではという疑問が浮かんできた自分がいます。カニエの無礼は問題にせよ、仮にテイラーのスケジューリングの仮説が事実ならば、さすがになあ…というのが私見です。

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