見出し画像

「いっけなーい!遅刻遅刻選手権」にエントリーしました☆第12話(終)

◯情報バラエティ番組・ハワイ中継
女性キャスターの声「お相手は高校2年生16歳の茂手木宣子さん」
修哉「ハワイに移住しようと思ってまして。もちろんゆくゆくは彼女も一緒に」
女性キャスターの声「修哉さんは先月7月に茂手木さんと出会い、放送作家見習いの彼女を連れてハワイからの配信に挑戦。その後二人は愛を育み、結婚を意識するようになったとのことです」
修哉「今後は日本とハワイを行ったり来たりしながら配信や青年実業家を続けたいと思ってます」

◯京香の家・一階・ダイニングキッチン(朝)
京香「やっぱシュウチン凄いね…」

◯情報バラエティ番組・ハワイ中継
修哉「最近、僕のおばあちゃんが突然、余生は暖かいところで過ごしたいと…」
女性キャスターの声「ハワイへの移住は修哉さんのおばあさまから強い要望があったことが決め手になったとのこと」

◯京香の家・一階・ダイニングキッチン(朝)
希子「ということは…シュウチン、この町に来ないよね。転校も取りやめかな…」
京香「かもね」

◯情報バラエティ番組・ハワイ中継
修哉「あ、噂をすれば…」
修哉と宣子の後ろから、ニコニコしながら相澤トミエ(76)が現れる
修哉「紹介します。おばあちゃんです」
トミエ「こんにちは。修哉の祖母のトミエです」

◯京香の家・一階・ダイニングキッチン(朝)
希子「トミエさんってICCCを開催するキッカケになった…」
京香「食パン少女のモデルと言われている人だよね。凄く綺麗な人…あと…」

◯情報バラエティ番組・ハワイ中継
レポーターからの質問にハキハキ答えるトミエ。
京香(N)「――凄く活き活きしてる。元気そうでよかった」

◯合陣高校・校門前(朝)
生徒たちの登校風景。
渚、香織、京香。
渚「朝のやつ、見た?」
香織「見た見た」
渚「私たちさあ、結局、シュウチンに弄ばれただけじゃね?」
香織「いや、弄ばされてすらいねえし。なんなら弄んでよ」
京香「(笑って)コラコラ」
と、後ろから瑞稀が三人に追いついてきて、
瑞稀「(渚、香織、京香に向かって)おはよう」
渚、香織、京香「瑞稀、おはよう」
瑞稀の後ろに和樹の姿。
和樹「(気まずそうに)…おはよう」
京香「(笑顔で)おはよう!元カレ!」
和樹「ちょ…そんな言い方ある?」
京香、瑞稀、渚、香織、和樹の空気がほぐれ、爆笑になる。

◯同・体育館・内(朝)
「始業式」の看板。
始業式の光景。
壇上で校長が訓辞を述べている。
校長「――暑い日が続きますが、気持ちを切り替えて、二学期も学生らしく勉学に励みましょう」
退屈そうに壇上を見ている京香、瑞稀、渚、香織。
× × ×
校長が頭を下げ、壇上を降りる。
生徒たち、拍手。
アナウンス「以上で合陣高校二学期の始業式を終わります」
先生たちが退場する。
生徒たちも退場しようとした瞬間、
菜緒の声「ちょっと待った!」
壇上に現れる菜緒。
カメラを回す琴李。
マイクを菜緒に向けている麻希。
どよめく生徒たち。
菜緒「どうもー!みんなのアイドル生意気系TikToker菜緒でーす!みんな元気だった?」
渚「出た生意気系TikToker」
香織「始業式早々なんなん?」
瑞稀「京香、なんか聞いてる?」
京香「全然」
菜緒「それでは皆さんに私から発表があります!」
麻希がマイクを置いて、棒の先に小さなくす玉がついた棒を持ってきた。
菜緒に渡すと元の位置に戻りマイクを構える麻希。
菜緒、くす玉付きの棒を持ち、
菜緒「(京香を見て)京香!」 
京香「え、私?!」
菜緒「来て来て!」
京香「もう、なんだよ〜」
京香、渋々、壇上へ。
ざわめく生徒たち。
菜緒「(京香に)これ引いて」
くす玉の紐を引くように促す菜緒。
京香「もうなんなの?引けばいいのね引けば。えい!」
京香、くす玉の紐を引く。
くす玉が割れる。
「第二回いっけなーい!遅刻遅刻選手権開催決定!!」の垂れ幕が降りてくる。
菜緒「『第二回ICCC いっけなーい!遅刻遅刻選手権』開催しちゃいまーす!」
京香「はい?!」
どよめく生徒たち。
瑞稀、渚、香織の驚きのリアクション。
菜緒「だって私、シュウチン主催のICCCで全然カップルになれなかったから…ムカつくじゃん!なので私が勝手に第二回を開催します!」
京香「え?でもシュウチンは…」
菜緒「出ませーん!なので今回の大会は…」
菜緒、琴李が構えるカメラに向き直り、
菜緒「配信を見ている菜緒ちゃんファンのみんな!道端でパンを咥えた私とゴッツンコして、カッブルになりませんか?」
×××
香織と渚。
香織「そのパターンがあったか」
渚「菜緒一人に男子が群がるのか。ヤバい絵面になりそう…」
×××
和樹と瑞稀。
和樹「そう来たか」
瑞稀「興味あるの?!」
和樹「まさか(汗)」
×××
京香と菜緒。
京香「ずるーい!女子も参加出来るようにしてよ」
菜緒「えー、じゃ男女フリー参加制にする?」
菜緒、再びカメラに向いて、
菜緒「ということで細かい募集事項はまた発表します!」
菜緒、琴李のカメラに自分から近づき、
菜緒「以上!めちゃカワ生意気系TikToker菜緒からのお知らせでした!」
カメラにアップでウィンクする菜緒。
菜緒「あんたもせっかくだからウィンクしとき!」
京香「ん?私なんで呼ばれた?」
京香もカメラに向かってウィンク。

◯スタジオのような場所
池田の後ろのスクリーンに映る京香と菜緒のウィンク姿。
池田「ということで、ICCCはまだまだ続くようです。解説は私、池田内蔵がお送りいたしました。また機会があればお会いしましょう。それでは」
池田、スタジオから去っていく。
去り際に池田、ライフマスクを外し、机の上に放り投げる。
後ろ姿の池田、少しだけ右足を引きずっている。
外国人スタッフに話しかけられる池田。
外国人スタッフ「アイザワサン、オツカレサマデシタ」
池田の出迎えに現れる眼鏡をかけた女性のシルエット。
池田「美味しい日本食レストランにでも行こうか」
二人のシルエットが光の中に消えていく。
(終)

※最終話まで読んで頂いた方々、ありがとうございました!
「スキ」も励みになりました。
後日、創作秘話をお送りするかもしれません。
よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?