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邪道で滑り込むPost-CC OSCE 2023

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 コロナでろくな実習もないのに、卒業を人質に取られ、利権団体に2万円を奪われ、「こんなの勉強しても意味ないから笑」と煽られる全国の仲間たちへ。

 人類の敵、Post-CC OSCEが迫ってきました。

 私の大学では同期の優秀な奴が症候の表を全部埋めて、びっちり書き込んだ100ページ近い資料を作ってくれました。また他大でも同様の対策資料があり、いくつか手元に持っています。目を通し、絶望しました。

 なんとか楽ができないか、その一心で短期間ながら必死に情報収集して、ガイドブックを熟読し、可能な限り楽をする方法を模索しました。

 私がたどり着いた、試験の規約と制限を最大限活用する渾身の邪道攻略を共有します。

※何かあれば気軽にDMしてください。
※これは機構課題対策です。大学課題は自力で頑張ってください。
※機構の症候リストにない疾患だったなど、解答の開示がないこともあって情報が錯綜しています。大学課題と機構課題を混合している可能性もあるけど、本番は臨機応変に。(2023年も報告あり)

 症候別対策は全編無料です。作るのは大変だったので「ラーメンを奢ってもいいくらい役に立った!」という方はマッチング貧民のために記事購入してください。

 購入者領域ではささやかなお礼に、目次リンク付きで見やすくまとめたPDFを配布してます。

 さらに4年で受けたOSCEと違い、身体診察も自分で選んだものを6分程度でやる形式になります。冷静に分析すると使う機会のない手技が大量にあるので、実は練習は楽です。必要最低限の勉強で済むように逃げられる手技を削って軽く解説をつけたものを、同じPDFにまとめてあります。

「150%のマッチング対策」のマガジン版を購入した方は、本記事も全文読めます。


更新歴
2022
7/18 ミス修正
7/20 コスパ身体診察追加 購入者用PDF マイナーアップデート
7/21 まとめPDF プレゼンと臨床推論について追加
7/25 まとめPDF ミス修正 
   身体診察の順番を「すぐ終わる→時間がかかる」の順に徹底
8/26 「オスキーを終えて」を追記
9/14 ミス修正

2023
2/20 国試後に大幅アップデート。デザインを一新し、内容も修正
6/26 2023年度ガイドの追加疾患のPDFに追加
7/3 失敗談 2023年度変更点追加



※公開から半年で全医学部6年生の1.5倍のアクセスになりました。反響も大きく、もはや王道かもしれません。





はじめに

 御存知の通りOSCEはCATOという悪の組織が運営していて、学習要項やガイドブックをホームページ上で公開しています。恐らく大学でも配られると思います。これを熟読して得た2つの仮定がこのnoteの根底にあります。


☆第一の仮定「表原理主義」

 「臨床実習後OSCEで機構課題は日常,頻繁に遭遇する症候・病態に適切な対応が出来る能力が習得出来ているかを測定する目的で作られています。-中略-上述の,日常,頻繁に遭遇する症候・病態の課題は『医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年改定)G臨床実習 G-2臨床推論』に掲げられている37症候のうち、G-2-5)ショックとG-2-6)心停止の2項目を除く35症候から作成されています」

  誰もが知っていることですが、OSCEは表で提示された35症候の中から出題されます。これはつまり「通常の鑑別では出来ない、表内部での鑑別が出来る」ということです。発熱を主訴にした患者が来たら、患者は下の表のどれかの疾患です。

 「表の半分の疾患で該当するような症状があれば、候補は半分になる。オスキーの表でのみ通用する効率的な鑑別が可能ではないか?」

これが第一の仮定です。

 注意しないといけないのは、この「表原理主義」が症候を跨いで適応出来るのか不明な点です。例えば「発熱かつ咳」の患者が来た時、表で「発熱」と「咳・痰」の両方に載っているのは肺炎、上気道炎、結核ですが、実際は肺癌でも発熱することがあります。オスキーの世界で肺癌患者が発熱する可能性がゼロなのかは、定かではありません。

一応このnoteでは症候をまたぐことは出来ない想定です。主訴からメインの症候を1つ推定し、オスキーでは症候毎に選択肢が限られていることを生かして、ミニマムな鑑別方法を目指します

 ちなみに実はOSCE自体が、この「表原理主義」を推奨している節があります。1つ前のバージョンの表では「発熱」に上気道炎があるものの、「咳・痰」には上気道炎がありませんでした。上気道炎で咳が出る可能性は明白なので、新しい表ではこの矛盾を解消した形になります。


☆第二の仮定「制限時間的に無理ゲー」

 周囲から聞く限り、OSCEで落ちるパターンは「時間内に終わらない(問診過多)」か、焦って特大ミスを犯す「禁忌落ち」のどちらかです。

 冷静に考えると、12分しか診察時間がないので、問診で8分使ったら4分で診察する羽目になります。何をしようか迷っていたら全く所見が取れずに終わっていまします。

そしてこれは公表されているデータからも明らかです。
※評価スケールは2023年から新しくなっていますが、症例プレゼンテーションと臨床推論以外は大きな変化はありません(詳しくは2023年度からの変更点)

↓は2020年の全体の成績です

 絶対に合格する基準はオール4以上です。ただ実際は3でも標準偏差との兼ね合いで合格出来ます。評価基準を見ると全ての項目が「監督下で実施可能」であれば文句なく合格ですから、確かに完璧は求められていません。禁忌を踏まなければなんとかなりそうです。

 また概略評価で最終的に落ちた(3点以下)のは22.5%ですが、項目別に見ると「身体診察」が最難関で3点以下が45.6%もいます。

 オスキー攻略の鍵は身体診察に違いありません。

 しかしどう頑張っても診察時間なんて6分程度、そんなのでアセスメントに必要な所見が取り切れるとは思えません。

 そう思って色々話を聞くと、どうも「時間内に疾患を絞る必要はないし、有効な身体診察を全てやる必要もない。いくつか所見を取って鑑別に行ければOK」なことが分かってきました。また過程や検査のアセスメントが正しければ、正解とは違う疾患を一番可能性が高いと報告しても合格出来るみたいです。

「つまり無駄とは言えない身体診察で制限時間を潰し、そこで得た所見からその時点では間違いとは断定出来ないアセスメントをすれば、合格ラインに達するのでは?」

この短い時間制限を逆手に取った仮定がこのnoteの肝になります。


勉強の流れ


 【基本戦略】
症候別に身体診察で何をやるか決めておいて、診察した結果ぼんやり思いついた鑑別疾患をアセスメントする。

【勉強する優先順位】

  1. 症候別にどの身体診察(オレンジ背景の部分)をするか

  2. 診察の手技

  3. 細かい鑑別ポイント(分割を参考にして候補を絞る)

 何だかんだ出てくる疾患は国試対策で知っているものが多いので、手が動いて形になれば、最後のアセスメントでそれっぽい病名はいくつか思い浮かぶだろうという発想です。

 私は細かい鑑別は余力があれば頑張る方針で、コスパ優先で厳選したオレンジの身体診察チャートと必要な手技を覚えました。医学的に妥当な時間つぶしになっていると思います。短時間で終わる診察が先に来るようにしています。

 練習していると「この鑑別にはあれが必要」みたいな話が飛び交って不安になります。どこまでサボるかは度胸次第ですが、鑑別が合っていると安心するのは確かです。思い出しにくい自己免疫疾患などは確認してもいいと思います。

 また問診のキーワード1発で予想がつくものもあります。


 一応、余力があればそこそこ鑑別出来るように、スライド1枚に収まる範囲で出来る限り情報は詰め込みました。

おすすめサイト

 心音、呼吸音は聞かされるので勉強したほうがいいです。病見えのサイトはよく出来ていてオススメです。

 アプリでもいろいろありますが、Androidだと「Auscultation - Heart, Lung Sounds, Cardiac Murmurs」ってやつが音質良くていいです。
 Ⅲ音が「Third Heart sound」みたいな感じなので英語なのは苦になりませんが、無料だとCMが爆音で挟まるのが鬱陶しいです。月額500円なので課金してもいいかも。iOS版はなさそう。

 「ポケット心音」は音質がイマイチ、
 youtubeには無限に音源がありますが、動画を漁るのは面倒だしオーバーワークだと思います。


症候別対策

 一応、このnoteを作る上で意識した噂や予想を紹介します。

  1. 「緊急疾患は必ず鑑別してアセスメントしたほうがいい」
    これはうちの大学では定説になってます。評価基準に明記はありませんが“必要な鑑別疾患”と言われたらそれまでなので、アセスメントで触れた方が無難

  2. 「問診と身体診察では除外出来ない病気(不整脈など)は、無条件で鑑別に挙げられる」

  3. 口腔所見、呼吸様式はコロナ対策で「所見を取ります。マスクを外して下さい」と言うだけで手技する前に止められ、所見を貰える可能性が高い。失敗もないし時間対パフォーマンスもめっちゃいい

  4. 冊⼦に載ってない診察は丸損。やらない
    諸説ありますが、まぁ冊子の診察でさえもマスターする気がないので。。。


問診は「OPQRSTかきくけこさしすせそ」から要ることを聞くだけですが、以下のことには注意して下さい。

  1. 薬剤性と妊娠は割りとどの症候でもある。盲点になりがちなので問診で無差別に聞いた方が無難

  2. アレルギー、家族歴、既往歴、酒タバコ、健診異常も一発で決まるようなポイントになりがち

  3. 忘れる前に「それはお辛いですね」


それでは各論です。赤枠はすぐチェックしたほうが良さげな緊急疾患です。「鑑別!1st impression」のDon't miss itとは違い、悪性腫瘍のような時間的に余裕があるものは、身体診察の段階で重要度が低いとして省いています。

発熱

• 不明熱といえば「感染」「自己免疫性疾患」「悪性腫瘍」「薬剤性」
• 緊急疾患は髄膜炎。側頭動脈炎だと項部硬直は偽陽性が出るのでKernigも推奨
• 痛いところがあれば、そこを診察するとだいぶ絞れる
• とくに思い浮かばなければ、口腔所見,リンパ節腫脹,四肢の視診,左右血圧など。血圧はちゃんと左右測ろうとしないと、左右差があっても所見が貰えない
• 薬剤性は問診でしかわからない。必ず聞く!


全身倦怠感

• それぞれの原疾患まで考えたら、何でもありすぎて逆に許容範囲広い。熱中症を疑うなら口腔所見で脱水を確かめてもいい

• 「眼瞼」「聴診」「足の浮腫」を診察してつつ、緊急疾患と「特徴的な身体所見のない」群を混ぜるだけで形にはなる


食思不振

やはり「特徴的な所見あり」の鑑別で時間を潰して、アセスメントが物足りなかったら身体所見なしに言及するだけか。

悪性腫瘍と機能性ディスペプシアは身体診察で除外できない

喫煙歴ありでCOPDとかなら聴診もありだが、時間はかかる


体重減少

表は発熱の有無でちょうど2分割出来る
鑑別疾患の1つは無条件で悪性腫瘍。身体診察では否定できない
結核と悪性腫瘍でリンパ節所見が陽性になりそう。
「器質的疾患の有無→うつor摂食障害」とアセスメントすれば良さそう
当然だが、摂食状況の問診はマスト


体重増加

 摂食障害や妊娠を含めて全ての疾患が浮腫の生じる可能性があります。鑑別の役には立たないけど、診察はマストかも。
 やはり「特徴的な所見あり」の鑑別で時間を潰す流れ
 腎不全で心不全が起きるのがちょっと嫌だ。

意識障害

 意識障害とは言え、問診出来るくらいには意識は保たれているはず。そうでないと”呼吸と循環の確保”みたいな話になっちゃうし。
 赤枠の緊急疾患を含めて「はやく血液検査しろ」みたいな疾患が多い。診察が必要な「脳メイン」の群を早急に除外するのが良さそう。
 逆に早く検査すべきって文脈で、低血糖、電解質異常、脳系は無条件でアセスメントして良さそう。それで4分潰せそう。


失神

 不整脈とてんかんは身体診察で否定するのが難しい。無条件で鑑別に挙げられます。
 心音を聞かされるかも。心筋梗塞であればⅢ音Ⅳ音、ASとHCMなら収縮期駆出性雑音など、問診で疾患が予想出来ればそこから身体所見を予想するのもあり
 緊急疾患と不整脈、てんかんをアセスメントすれば合格点きそう。診察には他に左右の血圧,SpO2測定,頚静脈所見など有用かも。


けいれん

 やはりてんかんは無条件で鑑別に挙げられる。
 ぶっちゃけ筋力低下するヤバい疾患を除外したら、筋力の低下ない群は問診でわかりそう。頭部外傷は外傷次第だけど。

“先行感染”はキーワードになりそうだが、クローズドクエスチョンで「最近熱を出したりしましたか?」と詳しく聞かないと患者からは話さない可能性が高い。


めまい

 めまいの性状(回転性?浮動性?前失神性?)は大切だが、どうせ脳梗塞・出血は問診で否定出来ないからいずれにしても神経診察をするのは確定。
 聴力は耳元で指をこする。
「抹消なら水平,中枢なら垂直」の眼振の基本通りの出題か


脱水

膵炎や消化管疾患が出題される場合、腹痛や貧血など他の症状から出るので「脱水」としてではないはず。熱中症も問診ゲーすぎる。
「飲水量」「尿量」「発熱」はクローズドクエスチョンで聞かないといけない
ここで注意するのは「口渇で糖尿病or尿崩症or小児診察」になる


浮腫

 深部静脈血栓症、蜂窩織炎、薬剤性浮腫はここにしかいない。蜂窩織炎は痛いから自明。片側下肢で色調変化ならDVTだがこれも自明。
 体重増加しない上述の3疾患だけ確認し、あとは体重増加の対策で良さそう
 非圧痕性浮腫は国試的にはQuincke 浮腫や糖尿病の浮腫性硬化症などもあるが、OSCEでは蜂窩織炎か甲状腺機能低下症のみ。


発疹

 疾患が多くげんなりするが、どの疾患であれやることは一緒。国試対策を兼ねてキーワードだけ暗記すれば勝てそう(それでも多い)。
 逆にキーワードが出てきて分からないと、周囲と差が付きそうではある。頑張りどころかもしれない。
 小児の設定のみ川崎病を疑って眼瞼、手足の浮腫、頸部やBCGの発赤をチェックする必要があるかも。


咳・痰

 2週間以上咳、痰が続く場合は結核を疑う。
 聴診はヘッドホンで音源を聞かされる可能性がある。ちょっと怖いから、問診で聴診所見のあたりをつけられると良さそう
 小児なら喘息(アトピー)・急性上気道炎/気管支炎・アレルギー性鼻炎あたりか


血痰・喀血

 2週間以上咳、痰が続く場合は結核を疑う。
 X線とCTを撮らないと始まらない疾患ばかりだし6個しかないので、プレゼンでは思い付いたの全部鑑別にあげる位でいいと思う。
「易出血」「心不全徴候」とかキーワードがなければ、自信を持って鑑別するのは困難かも


呼吸困難

画像勝負の疾患も多く、診察ではとりあえず所見を取って緊急疾患を除外出来れば良さそう。
聴診所見が山になりそうでちょっと怖い
SpO2を測るのは必須

 

胸痛

 心電図も取れない(多分)のに、急性冠症候群と急性心筋梗塞で分ける意味が分からない。逆に安定狭心症は出題しないのか……?
身体診察で異常がない激痛は肺血栓塞栓症かパニック発作なので、パニックにならないように


動悸

 選択肢が少ないから鑑別は容易

  • 眼球と眼瞼を見れば貧血と甲状腺機能亢進を除外でき、聴診で心不全がなければ不整脈か不安障害でよさそう(典型症状と信じて疑わない人)。

  • 甲状腺診察はすぐ終わるから、聴診より先でいいかも。

  • 不整脈は身体診察では除外出来ない。


胸水

 胸水が主訴は想像し難いし、他の疾患で胸水の所見を見つければこの中のどれかという認識で良いと思う。
 普通に胸部診察して救急疾患を除外したら終わりだが、免疫系のキーワードは指にあるかも。


嚥下困難

脳か咽頭・食道系の2択
数も少ないし、絞りやすくはある。



腹痛

 オスキーの山。話を聞く限り、出題頻度も高い
 腹痛で腹部診察をしない訳にもいかないが、腹部診察だけで時間の大部分が消える。つまりどんな患者が来ても同じ対応でいける

 鑑別疾患が多くアセスメントは難しいので、身体診察で点数を稼いだほうが楽そう。頻度最多の虫垂炎は鑑別必須。また婦人科疾患が多く検査でCTがしたいので、生理や妊娠の可能性は聞いた方がいい。

「突然めっちゃ痛い」なら赤枠の緊急疾患を疑うべき。実際には違う疾患でも、過程としてはフローチャート的に正解

 緊急疾患は出血系が多く、眼瞼所見は短時間で済む割にヒントが多そう


https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/acute-abdomen/acute-abdomen-chapter5.pdf


悪心嘔吐

 病態が広すぎるから問診で考えて身体診察を決めないといけない
 妊娠や生理,服薬歴,既往歴,ストレス,酒タバコ,直前の食べ物,便の性状など問診で聞くべきことが多い。駆け足で聴く。

 無理なものは無理。緊急疾患をロールアウトして、痛い場所と合った「特徴的な所見なし」グループを混ぜたアセスメントをすれば良さそう。


下血

これが出たら鑑別ではなく、恐らく直腸診か小児診察がポイントになる
シミュレーターがなければ眼瞼で貧血みたり、腹部所見を取ったりする?


吐血

喫煙と飲酒はどれも関係します

身体診察することは少ないが、眼瞼所見(貧血)とリンパ節所見(癌転移)、腹膜刺激症状(消化管穿孔)や腹壁静脈怒張(肝硬変)を探索するべく、腹部所見を取るといい

上部消化管出血なのでどれも黒色便はありえる。


下痢

下痢や嘔吐の頻度、飲水量などを聞いて、脱水の評価をする
便の性状を改めて聞かないと、血便など言ってくれない
診察は腹部診察と甲状腺とか
小児なら大泉門の診察もあり


便秘

腸閉塞は絞扼性腸閉塞だと激しい嘔吐や腹痛が出て便秘の問題ではなくなるので、ここでは単純性想定

病態の違う4疾患だけなので優しい


黄疸

問診では褐色尿、アルコール多飲、
眼瞼で貧血と黄染を見た後、腹部診察で腹水や肝脾腫、脾腫大などをみる


腹部膨隆・腫瘤

  • 腹部診察で腹水か柔らかいか硬いかである程度絞れる

  • 妊娠で腹部膨隆なんて出ないと思うが、問診は必要

  • 波動は腹水、振水音は腸閉塞なので混同しない



貧血

  • 全然違う病気が並んでいるので、問診の時点である程度絞れるはず

  • 眼瞼や四肢、口腔所見はすぐ終わるが情報が多い

  • スプーン状爪,異食症,舌炎,嚥下障害などあれば鉄欠乏性貧血。

  • 問診で既往や生活歴がなく、身体診察でもそれっぽい所見が教えられなかったら消去法で白血病か骨髄腫になりそう



リンパ節腫脹

  • 頭頸部とリンパ節を見ればいい所見が貰えそう。所見がなくて体重が減っていれば、悪性腫瘍を疑う。発疹あれば必ず視診するべき。問診ではワクチン接種歴もきく

  • 体重減少がなければ、キーワードで分かりそう

  • 圧痛があれば感染、弾性硬で可動性あれば悪性リンパ腫、硬で可動性なければ悪性腫瘍のリンパ節腫脹 


尿量・排尿異常

  • 血尿は次チャプター。前立腺系は男性のみ、逆に膀胱炎は女性に多い。

  • 正直、前立腺肥大とかだと直腸診の手技を見る以外は身体診察することが少なすぎるが、脱水があるかは見ても良さそう。

  • 問診で服薬歴を聞くのを忘れない。


血尿・タンパク尿

  • 血尿の疾患がほとんど。

  • メタ読みすると直腸診のシミュレーターが置いてあれば直腸診するし、なければCVA殴ればいい

  • シミュレーターがなくても、直腸診やろうしたら所見だけ貰えるかも

  • 急性腎障害だけ「急な腎機能低下」という状態であって病名でない=(原因は別にある)。逆に出しにくそう?


月経異常

  • 腟鏡診や内診が出題される可能性がゼロなのか確信が持てない。

  • ほとんど問診で絞れそう


不安・抑うつ

  • 候補が4つしかないから、器質異常を2つ調べればいい。

  • 嫌なことから離れた休日とかはリラックス出来るのが不安障害,常に意欲低下してぼーっとしているのがうつ病


物忘れ

  • キーワードが出れば問診で推測出来るが、分からなくても淡々と器質異常を除外すれば最低限耐えそう。


頭痛

  • 緊急疾患を除外した後、問診から思い浮かんだ疾患を言えばいい

  • (巨細胞性動脈炎)側頭動脈炎だと項部硬直は偽陽性が出るのでKernigも推奨

  • 痛みの性状、場所、寛解増悪因子など問診でほとんど決まる。

  • 鑑別したいなら疾患とキーワードは覚えるしかない


運動麻痺・筋力低下

  • 細かい神経診察で障害部位のアセスメントとか、考えただけで怠い。

  • 神経診察以外の診察を充実させるから許して欲しい。

  • 鑑別にはある程度キーワードを覚える国試的な勉強も必要

  • ギランバレーのカンピロは1-2周間前なので、「最近」の食中毒の既往を聞いても教えてくれない

  • 糖尿病ではアキレス腱反射が減弱する


腰背部痛

  • 筋・筋膜性腰痛はどう考えても急性腰痛症に含まれるので無視

  • 解離と膵炎は問診とバイタルくらいで否定か.ほかで勉強するし、ここでは腰痛メインに勉強したほうがいい


関節痛・関節腫脹

痛いところを見るだけな感じ

急性の3疾患は身体診察で否定しきれないので、結局場所や疫学を頼りにMost probableをアセスメントするしかない


外傷・熱傷

  • この項目は鑑別とかでない分、決め打ちでやることを覚える。とはいえ、受傷部の診察がメイン

  • Primary surveyとかFASTをやらされる説があるが、機構の冊子に言及がない以上ウソだと思う


2023年度からの変更点

 公表されてないけど受験生に配られている資料より

・表の疾患の微修正
 発熱にIgG4関連疾患が加わるなど、表が微修正されています。PDFは対応済み。画像の差し替えも時間が出来たらやります。


・症例プレゼンテーションで高得点を取るのが難化
 実際の合否ラインになる3点までは大きな変化がありませんが、5点以上を取るためには「疾患を想定したプレゼン」が要件として明文化されました。公表された資料が十分になく、どうすればコスパよく高得点が取れるのか分かりません。。。

 胸痛であれば「喫煙歴は~」のように事実を言うだけでなく、「冠危険因子に関しては、糖尿病はなく、喫煙は~」のように緊急疾患と絡めて「鑑別を考えながら情報収集しましたアピール」をすればいいのかな…?


・臨床推論が難化。「必要な鑑別診断」が合格の最低条件、高得点には「緊急性と有病率」を考慮が必要と明記
 予想に過ぎませんが、鑑別できないと不合格は過去の傾向からして難化の域を超えるので、「必要な鑑別」は各症候で緊急疾患と超コモンな疾患を押さえろくらいの意味だとは思います。

 また年齢性別が模擬患者に合わせて適当なOSCEで、有病率とは?という感じですが、恐らく学生が緊急疾患にこだわり過ぎることへのアンチテーゼだと思います。
 例えば胸痛だとつい心筋梗塞が頭をよぎりますが、若い女性が内科外来に胸痛で来たとき、実臨床で心電図をオーダーすることは少ないです。それぞれの疾患が「年寄りの病気か若者の病気か」「コモンか激レアか」くらいの感覚は押さえておくといいかもしれません。
※押さえなくても絶対合格の4点まで到達するので、このnoteのコンセプト的には不要です


2023年度受験者からのアドバイス

 本記事の読者で、すでに2023年度のPCC OSCEを受験した方からアドバイスを頂いたので掲載します。これから受ける方もDMを頂ければ、整理してこちらに掲載します。
 「今年からの変更」だとすれば私には判断できないので、ファクトチェックせずに掲載しています。フィードバックお待ちしています。

・機構のリスト外から出題される
 どう考えてもリストの不備なので、来年以降に修正してから出題するべきだと思うが……。ただ鑑別出来なくても合格するので、そんなに気にしなくてもいい。きりがない。

・丁寧に共感的態度をとるとSPの態度が協力的になる
 昨年はこんな話は聞かなかったです。SPによる差や医療面接の他の質問などによる差かもしれません。

・身体診察は正確に行わないと所見が出てこない
 
これは前からかも? ただ国家試験化で採点基準が厳密になっているのは明らかなので、身体診察もサイレントで厳格化している恐れはあります。

・他の疾患を思わせるようなエピソードをわざと盛り込んでいる
 私の時はそんなに感じませんでした。臨床推論が難化して、鑑別の重要度が増した影響かもしれません。 


OSCE不合格エピソード集

①時間切れ ★★★★★
 これが圧倒的に最多です。問診のし過ぎて身体診察ができず、アセスメントもグダグダになって落ちるというパターンです

②準備不足 大ポカ

 聴診器を忘れて聴診が出来ない
 腕時計をつけたまま試験に臨む(大学毎に持ち込み禁止物が沢山ある)
 診察に使う道具の使い方を根本的に間違える 

・リークを信じすぎる
 他大から貰った出題が被っていたため、間違いないと思いヤマを張って勉強したところ全く違う出題で撃沈

・シンプル落とし穴
 シュミレータの人形を使う課題で、人形だから声かけしなくていいと考え無言で診察

 PPEを装着する時に緊張で手汗をかいており、手袋が入りにくくて破れてしまったが時間に追われてそのまま続ける

※私も手掌多汗症で働いていても手袋の装着は苦労しています。大きめの手袋でもどうにもならない場合、塩化アルミニウムを塗って手袋で密閉して一晩過ごすとマシになります。

↑は安くてネットで買えて愛用中。時間があれば皮膚科に相談もあり。

ちなみに2023年6月1日から保険適応で「アポハイド」という薬もあります。抗コリン薬で塩化アルミニウムに比べると手荒れしにくいですが、個人的には塩化アルミニウムの方が作用が長くて好きです。

 


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