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有里 馨
2016年2月7日 23:38
彼女と、約束した場所へ向かう。 片手に白い花束。片手に三本の赤い薔薇。 坂道に咲く彼岸花。秋めいた冷たい風が汗ばんだ頬をなでる。まだまだ続く上り坂に、ほんのすこし、気が滅入った。 ひとつため息をついて、また歩みを始める。 上で待つ、最愛の女の子のために。 坂を上りながら思い出すのは、夏のあの日、白いワンピース姿で僕へと微笑んだ彼女の姿。 海を見渡せるオープンカフェ。アイスコー