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「57577」のゲームデザイン(5)


「メタファー問題」をくよくよ悩んでいる間に、もうひとつ進めていたのは遊ぶための「ルール」を決めること

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ざっくり言えば

「5音の言葉カード」2枚と「7音の言葉カード」3枚を持ち、順番に札を捨てたり拾ったりして言葉を選ぶ。最終的に手札を並び替えて、短歌を完成させる。短歌を発表して勝敗を決める。

なのですが、

「5音の言葉カード」2枚と「7音の言葉カード」3枚を持ち、(どうやって)順番に(何枚の)場の札と手札を(どうやって)交換して、最終的に手札を並び替えて、短歌を完成させて、(どうやって)発表して勝敗を決める。

この太字部分を決める作業が「ルール」を作ることになります。

どうやって順番、つまりスタートプレーヤーをどうやって決めるか(次の人は自動的に時計回りでよさそうなので、それは触らないとして)。いろんなカードゲームの説明書を読んで、まず初めに提案したのは<誕生日に5or7が入っている人がスタートプレーヤーです>でした。ほら、タイトルをね、しつこく意識してもらおうとね! 

でもまあ、誕生日ってひとりに一日しかなくて、絶対に変わらないから、何度やっても同じ人からスタートしちゃう問題。いない時に結局じゃんけんとかするんでしょ? じゃあもう「じゃんけんでスタートプレーヤーを決めます」でいいじゃないのよ! となったのですが、最終的には2文字加えて「じゃんけんなどで」にしました。ボードゲームやり慣れてる人は、なにか素敵な方法持っていそうですし、子どもたちと遊ぶときは、小さい子からスタートにしたりするので。

そして最大の、どうやってカードを交換するか。言葉を試すのも兼ねて、カードに文字を書いてはテストプレイをしていたのですが(我が家には高校3年生・中学3年生・小学6年生の子がいるので、いつでも気軽に4人でゲームができました。突然の「ゲームやるよー」に付き合ってくれてありがとう、子どもたちよ!)、山札から3枚づつオープンして、計6枚を並べて遊んでみました。ルールを説明すると、子どもたちが「これ、トランプの51みたいだね!」と!! 

なるほど! 確かに! ポーカーに似ている、と思っていたのですが、51の方が似ている! <手元の数字を合計51にするために、5枚のカードを5枚の場札から交換する>というのを<手元の短歌をベストにするために、5枚のカードを5枚づつの場札から交換する>にすれば「言葉版の51です。ルールはほとんど同じです。」とも言えて、説明も簡単!!

交換する枚数が少ないと、場札があまり変わらなくてつまらない、という問題も、51のルールにのっとれば、札を「流す」という作業が入るので、心機一転! 札が一掃! さらに、常に場札が10枚で固定されて、山札もしっかり使える。「ミソヒトサジ」では後の順番になるほど場札が増えるルールだったので、場札の数が10枚に固定されると、先手後手の不平等さも解決です。

山札から直接手札に加える、ということもないので、常に「言葉を選んだ」末の作品になるのもよいところ。(山札から思いがけない札が出て、納得いかない歌を発表しなくてはならない)というのもなくなります。

51では「パスは2巡目から」「流すのも2巡目から」というルールですが、ここはもう2順のうち、どちらかで1回、それぞれ使える、とよりシンプルにしました(51のルールとあまり変えないほうが混乱はないかな? と思いつつ、51を遊んだことのない人には1巡目は何でダメなの? となりかねないので)。

最後に発表の仕方! ゲームなので、公平に、匿名に……と思ったのですが、やはり「はぁって言うゲーム」は、「あなた」が「そんなはぁって言うんだ!」というのがおもしろい、のでやはり「57577」も「あなた」が「そんな短歌を作るんだ!」という瞬間が、勝敗が決まる瞬間よりも、面白さはピークなのでは? と自分で発表、ということにしました。より勝敗を公正に決めたい! というときは、札を裏向きにしてまとめて、シャッフルして、代表が読み上げる、というのがおすすめです!

そして、自分で作品を読み上げるの、歌人の短歌朗読イベント「マラソンリーディング」を過去何度か拝見して、やっぱり詠んだ歌人本人の息遣いで読むのって、情報量多い! 素敵! と思った記憶も後押しになりました。

ここまで大枠が決まったら、あとはひたすら計算です。プレーヤーの人数によって配るカードと、山札の枚数はそれぞれ何枚になるのか? 交換をしたときの枚数によって、どのくらいのペースで場札が交換されるのか、? 山札の減り方は? と札の移動をひたすらに計算……!!

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プレイヤー人数のパターンと、交換を何枚したか、パスや流したかによっての札の流れを、組み合わせを変えてひたすらに手作業で計算する歌人・天野慶

あとはそれを「説明書」に書くのですが、わかりやすく丁寧に書くと長くなりすぎる、短くすると伝わらないのせめぎ合い。そのほか、出来た短歌、縦に並べるか? 横に並べるか? 横なら右からか左からか? など調整は校正の時まで続きました。(並び方はどうしたのか、工夫も含めてぜひ説明書で確認してみてくださいね)

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「WIN!」を入れたらどうだろう? と試しに文字を入れてみたもの。編集さんとなべとびすこちゃんに投げる前に、とにかく作ってみて、イメージ伝わりやすく! というのが今回の作業のコンセプトでもありました。

「57577」のゲームデザイン(6)へつづく





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