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「57577」のゲームデザイン(2)

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『しょんぼり百人一首~それでも愛おしい歌人たち』が2020年末に無事に出版されてしばらくしたころ、担当の編集さんになべとびすこちゃんのオリジナルカードゲームを紹介しました。いくつかお渡ししたなかで企画が通ったのが「ミソヒトサジ<定食>」!!! (短歌がテーマなんて、どうだろう……?)と不安というか、未知数だったので、この第一関門クリアーがなによりうれしかったです。

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         『しょんぼり百人一首』もよろしくね!

さてさて、せっかくなので、私も「ミソヒトサジ」改め、幻冬舎版短歌カードゲーム、がっつり関わらせていただくことにしました。「はじめての百人一首」制作時からの夢の「短歌のゲーム」ですし!! 

何より大事なのはどんな「5音の言葉」と「7音の言葉」を選ぶかだよね……と、良さそうな言葉をなべとびすこちゃんとExcelで入力していったのですが……。まー難しい!! 思いつくまま挙げていって、それをカードにして組み合わせてみても、てんでばらばら! ぜんぜんだめ!!

そこでちょうど別件(薔薇を運ぶ)でお会いした佐々木あららさんにSOSを。あららさんといえばバーチャル歌人「星野しずるの生みの親! あの短歌自動生成装置「犬猿」のシステムについてや「ミソヒトサジ」の改良点など、たくさんアドバイスをいただきました。

それから、息子(14歳)がつぶやいた「てきとうにカードを並べても、短歌になる仕組みになったらいいね」の一言も、まさにそれはベストだなあ! と目標として採用。まず「初句」「2句」「3句」「4句」「結句」に入りそうな言葉を整理。イメージとしては「いつどこでだれがなにをした」ゲームのように、それぞれ細かく役割が分かれていれば、齟齬が少なくなるのでは? という作戦です。「初句の5音」+「2句の7音」+……と組み合わせると短歌になる言葉を、またなべとびすこちゃんとExcelに入力しあう日々。ここで修飾語と主語と述語のバランスが取れてきたのですが、やはりなんだかばらばら、しっくりこない……。原点回帰でゲームに使えそうな単語をたくさん使った短歌を一度作り、それをばらす、という作業をすると、だんだん「短歌っぽい」言葉の並びになってきました。

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アナログに組み合わせをずらしながら試してました。「てにをは」を何度も修正したり……。

短歌っぽくなった時点で試作品で遊んでもらったのですが、「短歌っぽい」と「面白い」がうまくかみ合わないことが発覚。まあ、短歌っぽければ面白いわけではないのは当然のことでした。なので、より短歌っぽくしつつ、おもしろく、よい感じに乱れさせる作業を!

より短歌っぽく、については、書庫にある歌集をひたすら読み直しました。義理の母も歌人だったので、書庫と屋根裏と和室にびっしり歌集があるのです。さらに私が買った歌集もたっぷり。短歌によく出てくるフレーズのほかに、好きな歌人の好きな短歌の、素敵なフレーズ、アレンジしてひたすら候補として打ち込みました。

それから、「今」の言葉も入れたいので、短歌ではないほうの歌の「歌詞」も、最近のヒットソングを中心にサーベイ。あまり詳しくないボカロの曲などは子どもたちによく聞いている歌を教えてもらったり、歌ってもらったりして、お、使えそう、というものをメモ。

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とにかくカードにして、試作試作!

そして「笑い」の部分……。これは「言葉」と「言葉」を合わせる遊びとして松本人志さん考案の「OMOJYAN」を参考にしました。データとして残っているものを見て、どんな言葉でどんな組み合わせになっているか、その流れで「IPPONグランプリ」も「笑いの言葉」の参考に。それからせきしろさんの「言語遊戯王」も! やっぱり、「近い物」をぶつけても面白くなくて、「できるだけ遠い、意外なものがぶつかったときに生まれるおもしろさ」(二物衝突)が狙えたら……と、整えすぎず、幅広く、でも短歌にしたときガチャガチャしない! という大変高い目標ができました。

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ひたすらにカードを作っていた、そんな日々もあったねと……

「57577」のゲームデザイン(3)に続く。


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