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インテリの階級差別について

人種差別や男女差別は、理不尽でいけないことは広く社会に浸透してきているが、階級差別はなくならなっていない。最後に残された根深い差別。
ということは、今や多くの人が、知識としては知っていることだと思う。
TV番組の『マイケル・サンデルの白熱教室2022「エリートたちよ 君たちの成功は努力の結果?それとも運?」』『100分で名著ブルデュー“ディスタンクシオン”』などを通じて。特に100分で名著では、岸政彦氏が易しく解説してくれたので、深く頷くことができました。もやもやと普段思っていたことを整理してまとめてくれ、学術的なお墨付けをもらったという満足感もある。
経済的なこと、文化的な生育環境、それらの違いが、人の教養の差異を生み、職業はもちろん趣味嗜好、思考を大きく決定づけてしまう。
その残酷を、恵まれていた側にいる人々は気付きにくい。あるいは、それを自力で乗り超え学歴や地位の高い職業を手に入れた人は、“逆境に負けるか負けないかは本人次第”と言いがち。どちらにしろ、教養の差はあくまで個人の努力の差と捉えてしまう。
もちろん、生まれや育ちの不平等は行政や人々の善意で是正されていく部分はあるけれど。でもそれは、不平等を失くすほどの効果はないのだ…それが階級差別。
インテリによる階級差別は、現代社会にはびこる無自覚の差別。そう指摘されるようになり、知識としては多くの人が知るようになった。
でも…
やはり、根深くあるのだと感じる。自分が経験していないことは、想像力で補うしかないわけで…。子供時代に教養を身に着けるのが困難…たとえば静かに勉強できないとか学校に通わせてもらえなかったとか著しい困窮とか…な状況を、真にわかることができないにしても、想像すらしない人たちもいる。そして教養のない大人をばかにする。“大人になってから自分の努力で読書したり考えたりできるでしょ”、と。
その冷酷に、思いをはせなきゃいけないと思う…強い自戒を込めて。
様々な反政府運動は高齢者中心のものが多い。気持ちに余裕がある人が大きな声で発言し、運動をリードするのはいいこと。日本は働いている間はしがらみが多いしね。が同時に、そうした運動に積極的に行っている人々が、「政府を理路整然と反論できる自分は、十分な教養を身に着けられる優位な階級にある」ことを忘れちゃいけない。
無自覚の階級差別が少なくなっていくことで、多くの人の気持ちを動かす活動も増えるはず、と感じています。

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