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不景気の日本しか記憶にない世代

知人のバーの経営者から、家族と共に中国・深圳で数年働くという話を聞き、それは素晴らしい挑戦ということで常連客はお祝いムード。その彼曰く「自分は就職氷河期の世代で一度も好景気の世を見たことがない。それを見てみたいというのもある」。重く響きました。
私がよく見るYoutube番組「おまけの夜」の“もののけ姫”の回でも、柿沼キヨシさんとジャガモンド齊藤さんが、自分たちは景気が悪い世しか知らず未来は暗いものとしか思わずにきた…というような会話があって、とても、感じ入った。
60歳前後とそれ以上の世代、40歳前後とそれ以下の世代では、相当違う。知らず知らずのうちに世の中から感じていた空気感の違いが、かなり大きい。
どの時代も、様々な格差があり残酷なほどくっきりしている。けれども、この世代による感覚の違いは、それ以上に、きっととんでもなく差がある。
いつの世も夢を追いかける若者はたくさんいる。けれど、「若いうちは貧乏して思い切り夢を追いかけて、それで挫折したら途中でどこかへ就職することも可能」と楽天的に捉えているかどうか、という差はとても大きい。
大学1年のとき…当時就職活動は4年生の10月からでした…早々に故郷での就職を決めた4年生の男性がいた。が、卒業式のときに平服で来てる…就職は決まったのに単位を落として留年したんだと…でも、それをネタ話的にみんなにこやかに話してた。その先輩は、1年後同じ会社に就職していった模様。
当時は、どこかで働いて生活していくというのが、それほど大変なこととは捉えられていなかった。とは言え、それは、男に限る話ではあったけど。
女はどんな有名大の高学歴者であっても、稼ぎのある男を捕まえて結婚出産することこそが真っ当な道、という考えが社会に根強くあって、そのことに疑問を投げかける風潮は学生自身にも少なかった。つくづく女にとっては、今の世は昔よりはるかにまし、と思います。かつては、経済力をもぎとられて生きる不安の大きさを、大きな問題とされていなかったから。それは、しーっ!黙って!っていうか。
それでも女性にとっても、世の中の景気がいいことは、気持ちをかなり楽にしていたのは間違いないと思います。子供の頃の漫画も、未来=明るいと捉えていたものがほとんどだったしね。それは、精神の強さに大きな礎をもたらしてくれていた。
不景気の日本しか知らない…そうした世代に、これ以上何かを要求する年寄りがいたら、それ悪魔、って感じます。

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