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インクルーシブ保育士の卵たち④【リード文同じ:3分で読めます】


私は佐渡保育専門学校の講師を務めています。
3年次の担当科目「インクルーシブ教育・保育実践」では,障害のある子どもに配慮したユニバーサルデザインの保育が実践できるよう,指導案作成と模擬保育を課題としています。
学生は順番に,メインの保育者として,サブの保育者として,2人でチームを組んで20分間の模擬保育を行います。
他の学生は子ども役です。毎回,子どものキャラクターを決めて「それなりに」演じていきます。
「かしこい子」「ふつうの子」「良い方にも悪い方にも引っ張られやすいニュートラルな子」といった具合です。
障害のある子ども役は,毎回,講師の村田が担当し,学生達を困らせたり,戸惑わせたりします。「ASD(カナーまたはアスペルガータイプ),AD/HD(のび太またはジャイアンタイプ),愛着障害」と,村田が演じる子どものタイプは毎回異なります。
授業最終日には,3年間を通して得られた様々な気づきや考えを学生に書いてもらいました。
それを読むと,「学生はここまで育つのだ」と,親バカかもしれませんが,嬉しくなります。
以下に,そのレポートを掲載します。稚拙な文章表現も散見されますが,お許しください。

障害のある子どもを含めた保育を行うときに大切にしたいことを2つの立場から述べてください。
1.全体での活動の中で
常に目を向け,その子が視界に入るようにし,行動や様子を見られるようにすることである。怪我やトラブル,他の子に危険がないようにするためや,すぐに対応できるようにするために大切だと考える。
また,その子を理解し,その子にとって良い支援ができるように,子どもと関わったり勉強したりすることも大切にしたいと思う。なぜなら,子どもに安心して毎日を過ごしてほしいことと,発達やその子のために良いことをし,伸ばしてあげたいと考えるからである。
集団行動だと,なかなか難しい子や,置いて行かれてしまう子も多いため,これらのことを含めて支援することで全体を見ながらその子にも対応できるのではと思う。
さらに,周りの子への配慮や理解も必要であり,全体と同じことをさせることも大切だが,支援の内容については差別感やずるいと思えることもあると思うので,周りの子へ分かりやすく話したり,他の子と差が出ないよう配慮することも大切にしていきたいと考える。
2.個別の対応の中で
まず,その子の特徴を理解・把握することだと考える。その中で,どの対応・支援が適切かを考えながら関わることが大切なのではと思う。
障害の度合いや傾向など,子どもの様子を見ながら,その子にとって良い支援をすると良いと考えているため,できること・できないことを明確にしたり,嫌なこと・してはいけないことなど,負担やストレスになることは少なくなるよう配慮したりし,信頼を築いていきながら対応していきたいと考える。
次に,支援に使う道具を手作りしたり,素材にこだわったりして,やる気を引き出すと良いと考える。保育の中で,見て分かりやすく,その子に合った道具を作っていくことが良い支援に繋がっていくと思う。例えば絵カード。1日の流れや順番を書いたり用意したりなどしたいと思う。
最後に,周りの先生に引き継ぎ,常にその子の様子や特徴,対応の仕方を共有することである。個別の対応だからこそ,同じ対応をし,混乱しないようにすることも大切にしていきたいと考える。

いかがだったでしょう。
これを書き,卒業していった学生たちは,現在,保育士として保育所や施設で働いています。
障害や困難なことのある子ども達と出会ったとき,このレポートを書いた自分の志を思い出し,インクルーシブな保育実践を積み上げていってほしいと願っています。

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