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子育て講話②「子どもの自己肯定感を育むために」@さわた幼稚園

前回のお話を受けて皆様からたくさんのご質問をいただきました。

時間のある限りお答えしていきたいと思いますが,
まずはタイトルにある通り
子どもの自己肯定感を育むために私たちができることを
お話ししていきます。

複数の方からこのようなご質問をいただきました。

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そう,最近よく聞くこの言葉。

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自己肯定感です。

自己肯定感とは,

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ものすごく幸せな感覚とまではいかなくてもいいし,

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ものすごくテンションが高いという状態でもありません。

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私はこれでいいんだ。

自分の今の状態を,自分でOKにする。
肯定する。

この感覚のことを自己肯定感といいます。

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決して,自信に満ち溢れているとか,

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自信過剰で,勘違いしているとか,
それは自己肯定感とは違います。

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あくまでも,私は私でいいんだ。

他の人と比べることなく,
自分の今の状態,自分の存在を
肯定する感覚・感情のことです。

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ご質問にあるような,自己肯定感が低くなってしまう,
自己肯定感が低いのはどんな原因があるのでしょうか?

その子・その人の育ちの中で,
または,今の置かれている環境の中で,
認められることが少なく,
否定され続けることで,
自己肯定感は下がってしまうと言われています。

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自己肯定感が低いお子さんは,
精神的な土台,本来あるべき心が
揺らぐことなく,しっかりと築けているはずが,
ぐらぐらと不安定になっています。

そのため,常に不満や不安,自信のなさを抱えています。

その子たちの行動や感情は,
見て見て行動や自己否定,
いつもイライラしてトラブルを起こしやすい状態になる子もいます。

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けい君のようなお子さん,時々出会うことがあります。

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この子がそのまま大人になると,
問題は解決せず,ますます深刻になる場合があります。

脅すわけではありませんが,
病院や警察のお世話になるような問題を抱えてしまうことがあります。

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お友達と喧嘩をしたり,
勉強がわからなかったり,
落ち込んだり…,
子どもだって様々なトラブルや辛いことがあります。

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心の土台,自己肯定感が育まれている子は,
自分の力で何とか乗り越えていく力があります。

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では,自己肯定感を高める・育むためには,
私たちは子どもたちにどんなことをしてあげられるでしょうか?

まず1つ目は,
子どもたちが,自分の存在を,自分のありのままを
親に受け入れてもらえたという日々の体験・感覚が必要です。

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そのためには,この5つのポイントで子どもたちと関わるとよいです。

毎日必ず5つでなくても構いません。

忙しい日々の中で,少しでも時間を作ってお子さんと関わること。

そのときに,この5つのポイントを思い出しながら
やっていただけるとよいかと思います。

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2つ目は,
子どもたち自身が,自分の力で何かを成し遂げた,できた
という体験や,その子の中の感覚をもつことができるかどうかです。

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成功体験と言い換えてもよいでしょう。

自分の力で成功できたことは,
またやってみようという気持ちになりますし,
繰り返しやっていけば上手になっていきます。

それが当たり前にできるようになることを「身に付いた」といいます。

逆に失敗してしまったことを糧にして,
悔しいから頑張るという立派な考えもあるとは思いますが,
小さいうちは失敗すると,
もうやりたくないと思ってしまう子もたくさんいます。

やはり成功体験の積み重ねが自己肯定感を育みます。

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成功体験は日々の小さなことで構いません。

自分でトイレに行っておしっこができた。
こんなことでよいのです。

私たち大人だって,
30分運動したといった小さな成功体験が大事なのです。

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これ,我が家の玄関なのですが…。
古い家は,上がるところがやたら高いんですよね。

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そこで,もう一段ステップを作るわけです。

同じように,成功体験を積むためにも,
難しそうなことは,まず小さな目標にするとか,
達成しやすい手助けをするとか,
そうまでしても成功体験を積んだ方がよいのです。

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もう一つ,
自己肯定感を高めるために大切なことは,
お子さんが一生懸命にやったこと,
頑張ったことに対して「ありがとう」と私たちが返すことです。

ここまで自己肯定感を高めるための話をしてきましたが,
全く逆の視点も考えていきたいと思います。

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自己肯定感は高くなくてはいけないのでしょうか?

自己肯定感が低くても
生きる,社会でなんとかやっていくことに
それほど大きなハンデがあるものでしょうか?

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「かまたく」さんの本から、私が共感した名言があります。

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私は,心筋梗塞で命を落としかけました。

カテーテル治療で一命を取り止め,
集中治療室で一晩中,心拍数のモニターを見ているときに,

今,息をしていることが,すべてだなぁ。
それ以外,大事なことなんてこの世にはない。
そう実感しました。

それは,私の人生観を少しだけ変える貴重な体験でした。

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息をすることが全てなんです。
食べる事はついでです。

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息をする。
そのついでに歩く。
これはリハビリ中の私。

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息をしているからこそ,こんなポーズも取れます。

私は私自身が,ただ息をしている,ただ生きている,
それだけを全力で肯定し続けます。

それが私の自己肯定感です。

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自己肯定するということは,他者を肯定することにつながります。

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私は私。
どんな私でも私です。

まぁまぁ,そこそこ。
これでいいなと思うことが,
楽しく幸せに生きるコツなのではないでしょうか。

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へなちょこのままで私は生きていく。

この言葉は不登校の経験のある方の言葉です。

へなちょこでもいいじゃない。生きているんだから。

立派な私だけが生きていていいなんて,
そんな社会は間違っています。

自己肯定感のお話はここで終わりです。

ここからは,その他のご質問にできる限りお答えしていきます。

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まずはこのご質問です。

きょうだいって,親の愛情を奪い合うライバルとも言えますよね。

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特に上の子は,お兄ちゃんだから,お姉ちゃんだから
譲りなさい,我慢をしなさいと言われがちです。

私も3人兄弟の長男なので,
そのくやしい気持ちはよくわかります。

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これはあくまでも理屈ですが,
一番上の子,長子を優先する方がよいのです。

一番上の子は,一人っ子の時期が必ずあります。
その時に親の愛情は100%自分に注がれていました。
そして,それが当たり前だと長子は思っていたわけです。

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弟や妹,自分よりも下の子が生まれると,
親の愛情はどうしても半々になるわけです。

ともすれば下の子は赤ちゃんですから,
100%に近い時間やエネルギーを,
下の子に「お世話で」とられてしまいます。

上の子は今まで100%だったものが
一気に半減するわけです。

下の子は生まれた瞬間から,
お兄ちゃんやお姉ちゃんがいるわけですから,
親の愛情がそれぞれに向けられていることは当たり前なわけです。
悔しいとも,足りないとも思いません。

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3人目が生まれると,
理屈の上では,3分の1に,それぞれなります。

かつて100%愛情を注いでもらっていた一番上の子にしてみれば,
一気にダウンしてしまうわけです。

それにも増して,お兄ちゃんだから,お姉ちゃんだからと
言われてしまうわけですよね。

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物理的には下の子に手がかかるかもしれませんが,
何かにつけて一番上のお子さんを優先してあげてください。

それは,一番上の子の希望を尊重することでもあります。

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下の子のお世話に時間をかけている分,
上の子は時々でいいので,
親御さんと2人きりで楽しい時間を過ごす,
スペシャルタイム,イベント的なことを,
ほんとに時々でいいので,やっていただきたいと思います。

上の子はそれだけでも,今までより救われた気持ちになるでしょう。

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次のご質問です。
これは難しいですね…。

いろいろな考えをお持ちの方がいると思います。
これはあくまでも私個人の意見として聞いていただければと思います。

脳科学者の中野先生の著書によると,
現代の社会で本当に必要とされている能力は,
ここに挙げられているものです。

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またこれは科学的に証明されている法則ですが,
子どもたちがやりたいことができる,
なりたい人になれるためには,
自分の長所を知り,
その強みを生かせる場所や仕事,人間関係に
自分の身を置くことが大切です。

子どもだけで見つけられない場合は,
大人がその手助けしていくことも必要でしょう。

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そう遠くない将来,AIやロボットなど,
人間の仕事を機械が代わりに行う時代が来ると言われています。

子どもたちが大人になったとき,
機械ではできない仕事,人間にしかできない仕事に就くためには,
まずは「読解力」が必要だと言われています。

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今,子どもの読解力の低下が見られます。
教科書の内容が読み取れない子が増えてきています。

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中学校レベルの教科書の文章を読んで理解すること。
その力があれば,自分で学んでAIに負けない仕事ができるのです。

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ちなみに読解力を計るテストを皆さんでやってみませんか?
この文を読んで,1,2,3,4のどれか1つを選んでください。

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正解はこれです。
いかがだったでしょうか?

私たちは様々な文章を日々目にしていますが,
本当に読み取っているか?
読解しているか?
と問われると,私も含めて怪しいなと思うわけです。

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読解力を養うためには,まずは本を読むこと。
読書です。

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Microsoftの創業者,ビルゲイツさんも定期的に山小屋に籠もって,
たくさんの本を読む時間をとっているそうです。

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子どもたちが読書をする習慣を身に付けるためには,
親が読書をしている姿を見せることが一番です。

本がある家庭と,ない家庭の子どもの差は明らかです。

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「勉強ができる子になってほしい」という願いは,
多くの親御さんがおもちのはずです。

ドリルをさせるのもよいと思いますが,
私はドリルよりも読書をお勧めします。

幼稚園段階のお子さんであれば,
まずは絵本等の年齢に合った本を,
楽しく読み聞かせることがその入り口になります。

親に楽しい本を読んでもらったという心地よい経験が,
本を好きになることにつながり,
本を好きになれば自然と本をたくさん読むようになるわけです。

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幼児期には読み聞かせ以外にも
このようなことを意識して子育てをしていただけると,
読解力は伸びていきます。

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どんな本を読み聞かせてあげたらよいのでしょうか?

3歳位までのお子さんには,
音のリズムや言葉の響きが楽しい本がお勧めです。

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この『もこもこもこ』という絵本は,
明確なストーリーがなくても,
なんとなくわかる,楽しい。

絵と音がリンクして,
感覚的に小さい子でも楽しめる内容になっています。

こういった絵本のことをオノマトペ絵本といいます。
お勧めです。

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次の質問です。

性教育について。
私は専門家ではないので,あくまでも個人的な意見です。

いわゆる赤ちゃんがどうやってできるのか?
そこを大人がどうやって伝えるか?
いろいろな伝え方はあるのかもしれませんが,
大人がやきもきする間に,
子どもはどこからかそれを知ってしまうわけです。

我々もそうでしたよね?

ですから,私たちが教えるべきことは,
自分と相手の体や心を大事にしなさいよってことです。

その意識や行動を身に付けることで,
望まない妊娠,性被害,性犯罪を防ぐことができるのではないでしょうか。

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次のご質問です。

お子さんの困った行動に手を焼いている,困っている
ということが伝わってくる質問をいくつもいただきました。

やり方は様々あると思いますが,
第3回目の講演でペアレントトレーニングについてお話をする予定です。

一つの方法として取り入れていただくとよいかなと思います。
ぜひ,次回にご期待ください。

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スケジュール管理,時間の使い方ですね。

確かに毎日毎日がんばっている親御さんは,
少しでも自分の時間をもち,
リラックスしたり,自分磨きしたりできるといいですよね。

これも私が実践したり,様々な本から学んだりしたことを
いくつかあげておきました。

無理せず,できるところからやってみてはいかがでしょうか。

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やる気が出ない…。
私なんて,いつもそうです。

やる気,モチベーションはなくてもとりあえず始めてみる。
嫌ならやめるくらいのつもりで。

そうすると,意外とやってるうちにやる気って出てくるものなんです。
それを作業興奮と言います。

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最後のご質問です。

子どもが喉に何かを詰まらせたときの対応。

これも全く私の専門外ですので,
違う機会に消防署の方から教えていただくのが一番よいのかと思いますが,
調べた限り,このような方法があるそうです。


最後までお読みいただきありがとうございました。
第1回目,第3回目もよろしければこちらからご覧ください。


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