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インクルーシブ保育士の卵たち⑤【リード文同じ:3分で読めます】

私は佐渡保育専門学校の講師を務めています。
3年次の担当科目「インクルーシブ教育・保育実践」では,障害のある子どもに配慮したユニバーサルデザインの保育が実践できるよう,指導案作成と模擬保育を課題としています。
学生は順番に,メインの保育者として,サブの保育者として,2人でチームを組んで20分間の模擬保育を行います。
他の学生は子ども役です。毎回,子どものキャラクターを決めて「それなりに」演じていきます。
「かしこい子」「ふつうの子」「良い方にも悪い方にも引っ張られやすいニュートラルな子」といった具合です。
障害のある子ども役は,毎回,講師の村田が担当し,学生達を困らせたり,戸惑わせたりします。「ASD(カナーまたはアスペルガータイプ),AD/HD(のび太またはジャイアンタイプ),愛着障害」と,村田が演じる子どものタイプは毎回異なります。
授業最終日には,3年間を通して得られた様々な気づきや考えを学生に書いてもらいました。
それを読むと,「学生はここまで育つのだ」と,親バカかもしれませんが,嬉しくなります。
以下に,そのレポートを掲載します。稚拙な文章表現も散見されますが,お許しください。


障害のある子どもを含めた保育を行うときに大切にしたいことを2つの立場から述べてください。
1.全体での活動の中で
全体の中に障害のある子どもが入っていけることです。クラス全体で受け入れ,障害がある子どもも,ない子どもも安心して過ごすことのできる環境づくりや雰囲気づくりをしていきたいと思います。そのためには,障害のことを理解し,専門知識が必要になります。どの障害には,どのような対応をするのかを見極め,両者が受け入れ合えることが大切だと思っています。
そして,障害のある子どもにかかりきりになるのではなく,クラスになじんでいけるよう,障害のない子どもへもアプローチしていきたいです。
また,子ども同士の関わりを大切にしつつ,上手にできない,入っていけない部分は援助し,色々な人がいることを子どもと共にわかり合い,共存していくことが大切だと考えています。
2.個別の対応の中で
個別対応では,障害のある子どもが保育園生活の中になじんでいけるようにすることが大切だと思います。
できることは,その先へのステップアップを目指し,できない・苦手なことは,援助して,できることを一つずつ増やしていくことも大切だと思います。
また,保育園での対応となるので,障害のある子どもが孤立してしまわないことも大切だと思います。活動等,やりたくない場合は見守り,入れるときは障害のない子ども達と一緒に過ごし,活動ができるよう,個々のペースに合わせた対応が大切だと思っています。
障害のある子の言いなりになるのではなく,今必要な援助は何かを見極めて対応していくことが大切だと考えています。

いかがだったでしょう。
これを書き,卒業していった学生たちは,現在,保育士として保育所や施設で働いています。
障害や困難なことのある子ども達と出会ったとき,このレポートを書いた自分の志を思い出し,インクルーシブな保育実践を積み上げていってほしいと願っています。

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