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金持ちNの思考 #6

生物学では”全か無かの法則”という言葉がある。私はその言葉の響きが好きだ。生物学で用いられている意味とは全く違うが、人生を謳歌する上で”全か無かの法則”という標語を持って生きることをお勧めする。私が”全か無かの法則”をどう言った意味で使っているかというと、”中途半端をやめる”ということだ。具体的な話をしていこう。

私は師匠と出会った頃には年収300万円程度の稼ぎだった。その収入にも関わらず6万円の賃貸に住んでいた。福岡県なので東京の相場から考えれば破格かもしれないが、福岡ではなんとも中途半端な家賃だ。車に関しても軽自動車はなんとなくカッコ悪いというイメージから、250万円程度のローンで購入した普通車に乗っていた。もちろんそんな生活でお金が貯まるはずもなく、貯金どころか消費者金融での借金を抱えていたほどだ。

そこで師匠と出会い、様々なことを教わった中である結論を導き出した。「中途半端をやめよう」ということだ。
自分自身に「何かを選択する時には一切妥協をしない」というルールを設けて生活をするようにした。何度も失敗を重ねながら今では自分なりのルールが染みついたと感じている。

そう聞くと、節約や我慢など辛いことを想像してしまうだろうが実際はその真逆だ。

例えば、私は年収が2000万円をこえる数年前までは3.5万円の賃貸に住んでいた。最も安い賃貸を探した結果3.5万円が最も安かったので即決した。もちろん環境は悪い。夏は暑いし、冬は寒い。隣や上の階の生活音が聞こえてくる。そんな環境で暮らしているからこそ、自分は絶対にここから抜け出すんだという強い意識が芽生えると思っている。
さらに引っ越しをする時にも ”全か無かの法則” で考えた。一切の妥協をしない部屋にしようと思ったのだ。お金を稼げるようになった時には家賃が15万円程度の家に引っ越した。福岡で1人暮らし、15万円の賃貸は1LDK程度の広さならば最高級クラスの家だ。もちろんそれ以上の価格帯の家はあるが、無駄に広いだけだったり、階数が高いということだけなので必要性を感じないため、考え得る中でも最高の家を選んだというわけだ。

つまり私にとって「無=3.5万円の家賃、全=15万円の家賃」と考えた。この差が大きければ大きいほど感動を生む。
新しい家の鍵を受けとって、何もない部屋に入った時に、私はこの世の全てを手に入れたかのような感動に包まれた。汚れ1つないフローリング、二重窓、オートロック、エレベーター、駅まで徒歩圏内、窓からの景色。全てが私にとって感動だった。扉の重み、カチャリと閉まる感覚。そんな小さなことにも喜びを見出した。

ほとんどの人は、収入に合わせて段々といい部屋に住み替えていくものだ。5万円、7万円、10万円、12万円、15万円と段階を経ていく。だから感動が小さい。前の家よりもここが良いよねという程度だ。私は”全か無かの法則”という自分のルールを設けたことで、人生がひっくり返るような感動を何度も味わうことができている。

もう一つ、経験を話したい。師匠に出会ってから、私は車を売却して7万円で買った中古のスクーターに乗り続けた。年収800万円になった時も、年収が1500万円になった時ですらスクーターに乗り続けた。周りの同僚は私を変な目で見ていたが、私は気にしなかった。最後の方にはキックじゃないとエンジンがかからなかったし、アクセルを全開にしても坂道では20kmくらいしか出ないほどにくたびれていた。そして、ついに車を購入することになったが、そこでも私は自分に考え得る中で最高の車を一括購入した。500万円程度の国産車だ。もちろんまだ高い車は存在する。しかし、私にとって”必要”な設備を備えた車での最高級なものは500万円の車だった。鍵を受け取り、車でディーラーを出たときの感動は今でもはっきりと覚えている。

雨でも濡れない、ワイパーが自動で動く、電気も自動、窓もシートも電動で動く。高速道路で100kmで走れる、人を乗せて走ることができる。そんな一般の人から見れば当たり前が私にとっては感動でしかなかった。
しかし、他の人はどうだろう。ほとんどの人が自分の収入に合わせて車を選ぶだろう。きっと私も250万円で買った車から500万円の車に乗り換えていたのであれば、それほど大きな感動は味わえなかっただろう。しかし、最低限の交通手段という中古スクーターに何年も乗っていたからこそ、その差の大きさに比例して感動の大きさが大きくなった。

本当はランドクルーザーが欲しいのに、収入で考えてRAV4を買ったというような妥協で物を選んでいては人生は我慢でしかなくなる。道でランドクルーザーとすれ違うたびに、「良いなぁ」と眺めるだけだ。そうであれば、車を持たないという選択で10年間過ごし、車体価格と維持費を貯金して10年後にランドクルーザーを買った方が幸せだと私は思っている。

家や車に限らず、私の中での”全か無かの法則”というルールは人生を豊かに彩ってくれる。
ぜひ、中途半端な妥協で物事を決定せずに、手に入れるもしくは買わないというような上手な選択をして、差を大きくすることで心からの感動を味わって欲しいと思う。


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