ミニダイアローグ
オープンダイアローグの研修で、ミニダイアローグ体験が盛り込まれていることがある。
これまでにわたしが、参加者として経験したミニダイアローグは、15分(話し手5分 リフレクティング7分 話し手3分)が多い。やはり話し手にもリフレクティングメンバーにも物足りない感じはあるが、「ミニ体験だからな」と許容できる範囲に思う。なかには、9分(話し手3分、リフレクティング4分 話し手2分)という高速ダイアローグもあった。これはかなり気がせく感じだ。「とりあえず話しました」「とりあえず返しました」と型を追うだけになってしまい、語りに没入できない。わたし個人の印象としては、あまりいい体験にはならないような気がしている。ただし、短時間で、聴く話すのモードを切り替える練習にはなるかもしれない。陸上競技にたとえるなら、中距離走での味わいの体験をするのか、短距離走の瞬発力を感じるか、の違いだろうか。
先日、対面の勉強会で、ミニダイアローグを取り入れた。
OD初勉強という方もいたので、当初は座学を、と考えていた。
しかし、チェックインで「相手の話を聴けるようになりたいと思って参加した」「自分も誰かに話を聞いてもらいたいとずっと思っている」という声が語られた。
それならばと、ミニダイアローグを急きょ行うことにした。せっかく集まったのに、座学ではつまらないだろう。
50分という限られた時間。
チェックインも含めて、ODの資料をもとにダイアローグのやり方、グランドルールの説明。
残り20分というところでダイアローグを開始した。
話し手は立候補により一人。わたしがファシリ(唯一ODの経験があったゆえ)、残りふたりが聴き手(リフレクティングメンバー)である。
話し手5分 リフレクティング5分 話し手5分 しめくくり5分(チェックアウト)。
本来、わたしはあまり時間をスパンスパンと区切るのは好きではない。話し手が話し切るまで、充分に待ちたいと思うからだ。そうはいっても、やみくもにダラダラと過ごすのも良いことではない。この塩梅にはいつも悩まされる。
さて、結果として、それぞれ1分程度の短縮、延長はあったが、全部で20分でおさまった。メンバーがみな心持ちが安定しており、気遣いあいながら協力してくれたおかげだったと、感謝している。
しめくくりの感想を聴くと、それぞれが満足のいく体験になったようだった。
理由のひとつは、話し手が、これまでも対話の場によく参加していて、対話に慣れていたことであろう。いわば、話し手が灯台のように、不慣れな聴き手を導いてくれた。ありがたいことだった。
だからといって、話し手にとって、リフレクティングが無意味だったわけではなさそうである。わたしは、リフレクティング後の話に広がりを感じた。
いっぽう、聴き手側は、より好反応だった。
「話を聴く とはこういうことなのか。これまで自分はひとの話を聴いたことがなかった」
「とても居心地のいい場だった」
そして、異口同音に
「自分も、この場で、このように話を聞いてもらいたい」
次回は、話し手を交代して同じ練習をしようと話し合い、お開きとなった。
味わう体験を求めるのであれば、ミニダイアローグは、やはり15分以上はほしい。全員が話し手、聴き手にならなくても、各々の立場で得られる感触は結構大きそうである。
学びをいただき、ありがたい感謝の時間だった。
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