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合成燃料の商用化目標を前倒し・・・低コストな合成燃料生成を日本の強みにできないか

1)合成燃料とは?
今日の日経新聞に合成燃料の商用化目標の前倒しの記事が出ていました。
この合成燃料とは、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造される
燃料のことです。この記事を見ると、いかに合成燃料を低コストで作るかという点がポイントになると思われます。

経済産業省は二酸化炭素(CO2)と水素でつくる「合成燃料」の商用化の目標を2030年代前半に前倒しする。これまで40年をメドにしていた。主要7カ国(G7)の閣僚会合で35年までに保有車からのCO2排出を半減する方向が示されたほか、欧州連合(EU)が合成燃料を認める方針に変えたことなどを受けた。
経産省が官民協議会で近く新たな目標を示す。脱炭素事業を支援する「グリーンイノベーション基金」から石油事業者などに補助金を支給し、開発を支援する。
4月のG7気候・エネルギー・環境相会合で、G7各国の保有車から出るCO2を「35年までに少なくとも00年比で半減する可能性に留意する」とした。政府は同年までに新車販売をすべて電動車にする計画で、個人が保有するガソリン車の置き換えには時間がかかる。
合成燃料は保有車からのCO2排出を減らすことにつながる。CO2を水素と反応させて製造する。走行時にCO2を出すが、製造時に使った分と相殺して排出を実質ゼロにできる。ガソリンや軽油、航空機の燃料となる。
世界で活用の動きは広がる。EUは35年以降の新車販売についてCO2を排出しない車のみにする方針だったのを転換した。ドイツなどの意向を反映し、合成燃料の利用に限ってガソリン車の販売を認める。
課題はコストの高さだ。経産省によると、合成燃料の製造コストは1リットルあたり300~700円と、ガソリン価格の2~5倍に相当する。経産省は商用化の後、日量1万バレル(159万リットル)を目標に量産させて価格の引き下げにつなげる。

2023年5月16日 日本経済新聞

2)合成燃料の原料:CO2(二酸化炭素)
原料となるCO2(二酸化炭素)は、発電所や工場などから排出されたCO2を利用するので、将来的には、大気中のCO2を直接分離・回収する「DAC(Direct Air Capture)技術」を使って、直接回収されたCO2を再利用することが想定されています。その主な方法としてはは、吸収液や吸着材を使った化学吸収・吸着法、イオン交換膜等を使う膜分離、ドライアイスとして回収する深冷法などがあります。限られた土地と水でも回収でき、カーボンニュートラルに適した方法ですが、回収効率の向上とコストの問題が残っています。

3)合成燃料の原料:H2(水素)
一方の原料であるH2(水素)については、生成方法としては、グレー水素、ブルー水素、グリーン水素という3つの方法がありますが、CO2削減ということからはグリーン水素を使うことがキーとなります。
①化石燃料ベースの「グレー水素」
石油や天然ガスに含まれるメタンなどの炭化水素を、水蒸気と反応させてH2とCO2に分離する方法です。化石燃料に依存し、分離されたCO2はそのまま大気に放出されるなど環境価値が高くないため「グレー水素」と見なされます。
②CO2排出を封じ込める「ブルー水素」
「ブルー水素」とは、前述の「グレー水素」から分離されたCO2を、大気中に排出する前に回収・貯蔵した水素のことを言います。これは「CCS」または「CCUS」というCO2回収・貯留技術と、貯留のための設備によって可能となります。
③水電解でつくる「グリーン水素」
もうひとつは「電解法」というやり方で水素をつくる製造方法です。水を電気で分解して水素と酸素に分離し、水素を取り出します。ここで使われる電気を、化石燃料由来ではなく、再生可能エネルギー由来の電力にすれば、CO2が発生しないクリーンな方法でH2が生成できます。

4)今後・・・
以下のページにまとめられていますが、国内屈指の石油精製・販売会社であるENEOSでは、低炭素社会とポスト化石燃料の未来を見据えて、合成燃料の研究開発にも取り組んでいるようで、具体的な取り組みとしては、生成反応工程の性能向上でコスト削減を図る、効率的に燃料を製造できる触媒と、その性能を最大限に生かすプロセスの開発などを行なっているようです。
https://spaceshipearth.jp/synthetic-fuel/
この2040年目標を如何に早めることができるか、です。

人口減少が続き、どんどん富の流出が続く中において、このような合成燃料などの分野で、日本の強みが発揮できないものかな、と感じました。今から洋上風力発電や太陽光発電で頑張るよりは。。。太陽光発電は、ペロブスカイト型太陽光発電があるかな。



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