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物価高の中における短期的視点のリスク

このところの物価高はコンビニやスーパー、そしてガソリン価格などでも目立ってきたが、ちょうどYahooにおいても以下のような記事が掲載されていた。

この記事においては全般的な物価の値上げについて言及され、「日用品の価格上昇は今後も続くだろう。特に、食料品の値上げはこれから本格化する。」と書かれている。

そのような物価高の中において4/15の日経新聞で、「物価高対策、補助金頼み エネルギー構造転換は手つかず」という記事がでていた。脱炭素という最近の自分のテーマと照らしたときに、エネルギー構造転換は手つかず、というところに大きな危機感を覚えた。

この物価高の状況において、では国が進める補助金の内容とはどのようなものなのか。日経新聞の記事から引用をすると以下の通りである。

新たな物価高対策は、ガソリンや軽油の小売価格を抑える目的で1月に始めた補助金の拡大が目玉となる。4月末の期限を越え、5月以降も続ける。英国などを上回る1リットルあたり最大25円の支給額は、さらに引き上げる方針だ。
当初の上限額は1リットル5円で、3月末に終える予定だった。増額した状態でずるずる延び、支給額は膨らみ続ける。予算として確保した4300億円は4月末までに大半を支出する。足りない分は予算を積み増すが、ガソリンや灯油など4油種に今の補助を続けるだけでも、単純計算では最大で月に2500億円が必要となる。

日本のガソリン小売価格は170円台前半で推移し、消費を冷やさないという目的は達した。だが足元では一段と円安が進み、輸入品は値上がりしやすい。一時的な景気対策として導入した補助の出口が見えなくなれば、巨額の財政負担はさらに膨らむ。

4/15日経新聞

この後もウクライナ情勢や、フィンランドやスウェーデンなどの動きによって物価高が続く可能性などもある中において、補助金はいつまでも続くのか。ただでさえ歳入よりも歳出の多い国家予算の中でどこまで国債を発行し続ければよいのか。そして直近の急激な円安は食品やエネルギーの輸入にも大きな影響を与える。
日本の19年の電源構成はLNGと石炭で69%を占め、45%のドイツ、62%の米国などと比べて高い。化石燃料からの脱却を進めることができれば化石燃料の値上げによる影響を押さえる機会でもある。機会と捉えることができれば、目先の補助金にばかり目を向けず、戦略的に再生エネルギーなどへの転換に使えば、危機を回避しさらにはカーボンニュートラルに進む世界においてリードできるように見える。

翻って脱炭素を積極的に進める欧州などはどうなのか。英国やイタリアの取り組みが掲載されていたが、やはりこのような状況を脱炭素へと加速するきっかけにしようとしている。

英国は6日、2030年までに電力の95%を原子力発電を含めた低炭素電源で賄うことを目指す戦略をまとめた。燃料高騰に苦しむ家庭には200ポンド(約3万3000円)の電力料金を割り引くとともに、太陽光パネル設置の非課税措置などを導入する。水素や二酸化炭素回収など次世代の中核技術に約600億円を支援する。
イタリア政府はすでに個人への燃料代金の補塡や農業事業者の支援策をまとめている。同時にドラギ首相は「再生エネ整備のための障害や規制の見直しを進める」と述べ、大型の風力発電を矢継ぎ早に承認した。

4/15 日経新聞

日本もこの状況を危機ではなく、機会と捉えて、脱炭素に一気に進むべきではないか。そして円安ということは、製造業の国内回帰が有効になるとすれば、炭素生産性(温室効果ガス排出量当たりの国内総生産(GDP))の高い日本の製造業・製造環境を作り出すことができれば、日本経済を少しでも浮上させることができないか。
補助金ばかりではない、戦略的な国家予算の配分をしてもらいたい。きっと将来の日本のためになるはず・・・長期的視点。Amazon創業者のジェフ・べゾスがよく言う言葉の重要性をひしひしと感じる。


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