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episode6 ■■■。■■■。■■■、■■■。《異世界で、我、畑を耕す☆》


 ■い影が艶めく様ににニヤニヤと大口を開けて、嗤っている。


 それは人の形を模した影だ。

 ■■■のようにぐにゃぐにゃと常に姿、形を変えている。

【■の真理が見たくないか?】

 ソレは言葉を発しているわけではない。脳という意識の中で反響するノイズ、周波数に近い。

 周りを見渡すと、何もない。■だ。

 景色という概念が消失した世界。

 ■■、世界と呼ぶには、適さない。

 ■■、空間に等しい。。


 宇宙が誕生する前の■という虚数空間。

 虚数空間で、ソレが発した【■】という語は明らかにその空間に反するものだ。

【■】は、原始時代に人類が編み出した生きる術であり、文明だ。

 人は■を作り、■■を育てる。


 それは唐突に――、

 無意識の深層心理に■■アクセスしてくる。

【■に■れよ】

 上から下へと具現化するように、■■は現れた。

 手を伸ばせば■れられる。

 開けずとも■■を開く方法を人類は、

 ――知っていた。

 けれども、人類が■■■を見出すには程遠かった――。

 ◆◆◆◆

 目覚めると、何処かの駅の郊外だった。辺りは薄暗い。夜のようだ。

 電灯がチカチカと点滅しているところに羽虫の群れが集っている。


【■■■駅】

 目がおかしくなったのか。いや、そもそも知覚できる対象が■■■で塗り潰されている。

【■■■駅       改札】

【■■■駅    切符販売機】

  バス停 【■■■駅     入り口前】

  スーパー【■■■駅前 業務用スーパー】

 我の名前は

【■■ ■】

 だ。

 我の年齢は、

  【■■歳】

 だ。

 住所なら解る。

【■■県■■■市■■-■■■番地】

だ。

 この世界なら間違いない、

  【■■】

だ。

 追憶は出来るが名という概念そのものを消失していることに気づくのは数秒後だ。

 思い出すが何も出てこない。

 そもそも初めからそのもの自体が消失しているのだ。

 ただ一つだけ判るのは、さっきまで【■■■■】と呼んでくれた■■■が隣にいた(気がする)。

 頭ガ痛い痛ゐアタマがイタ■イタイイ■イ■タイイ■イ!”#$%&’!”#$%&!”#$%&!”#$%

 頭痛の数秒後、なんでもなかったようにきえる。■■■。■■■。■■■。

 きえル、きえた■え■き■■、■■■。■■■、■■■。■■■。■■■。


 人影はいない。それでも、うっすらと半透明な■い■■■みたいな影が歩いている。

 目を凝らせば数体、数十は目視できた。できた。デキタ、デ■た、■キ■、で■■。■■■。■■■。■■■、■■■、■■■、■■■、■■■、■■■、■■■。■■■。■■■。

 電車は動いているらしいが、車掌も■■■だった。

 乗ってみたいが、行先は■■■駅とかかれている。

 カカレ、テ――、カカカカカカカカカカ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ、カカカカカカカカカ。カカカカカカカカカカカカカ、カカカカカカカカカカカ、カカカカカカカカカカカカカカ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ。

 この世界では言語は、無意味だ。考えは忘却される、ルルルルルルルルルルルル。

 セカイの調律がくるっている。クルクルクル。クルッテクッテ喰って食って。ククククククククククククククククククククククククククククククククククククク、ク。

 辺りを目視する。

 電灯に照らされた一台の公衆電話ボックスが、

 月明かりと反射して気味が悪かった。


【解除、方法、知っ■いる、か■】

 言葉が出ない代わりに周波数が反響する。

 黒い影から無数の目玉が見開き、視線が一斉にこちらに向けられる。


 けれども、数秒後なんでもなかったようにあるきはじめる。

 電話ボックスまでとりあえず歩く。数メートルほどなのに、

 一向に辿り着けない。

 空間が■んでいる。■■■か。

 解除方法は、簡単■。辿り着けないなら引き寄せればいい。■ずる。

 目の前に電話ボックスが在った。扉をあける。

 受話器を上げる。

 ■■■■

 ■■■■

 ■■■#

 番号が塗りつぶされてい■。

 それでも、知っていた。

 ボチボチ。ボチボチボチ、ボチ■■■。■■■■■。■■■。■■■■■。

 ■■■。■■■■■。■■■。■■■■■。■■■。■■■■■。■■■。

 番号の羅列を押していく。

 トゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

 トゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

 トゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

 三回ほど呼び出して。電話つな■る。


『はい!こちらFKLネットワークサービスの《先導者チーター》田中三代目と申します。要件は解ります。災厄の解除ですね。なになに? 解・ら・な・い!”#$%& 私は現在、お客様が掛かっている呪いを打ち消したり、お客様のニーズに合わせた新サービスを提供できます。こちらからどうぞ。《農》POINTの利用は計画的に。アデュー』

 するとディスプレイが表示され■。

 所持:《215農》POINT

 災厄:虚数言語    level.1【20p 】

 記憶   level.1【20p 】

 買い物     level.1【20p 】

 常闇状態解除     【9999999p    】

 時間固定解除     【500億p     】

 ■■■の常設化 【未開放    】

 ■■■■の営業 【未開放     】

 ■■■の引き出し 【未開放     】

 ■■■■■の利用 【未開放     】

 ■■■……

 ■■……

 ■……

 《虚数言語》《記憶》《買い物》に関しては解放できそ■うだ、ダダ゛ダダダダダダダダダダダダダ。■■■■。

 タップすると、《農POINT》が《215⇒165》に減ると同時に。

 ガラガラーゴロゴロー、ガラガラガラ、ガラガラガラー。

 音がどこからか鳴る。思考に関しては、言語ともに■■■や同音羅列などは、減った気がする。

 記憶に関しては、まだ準備中で■が働かない。

 けれど、前にいた世界は、もう少しで思い出せそうだ。

電話ボックスを切って、歩くことにした。


 店が並んでいるけれどシ■ッターが閉まっている。閉店してい■のか。

 それども、電話ボックスで開放していくと思うのが妥当だ■■■。

 街を歩くこと数分。あることに気づく。

 ホームセンターらしき店が開いている。


 明かりが付いていた。

【ホームセンター《■■店》】と書かれている。

 周囲に人気ひとけはない。

 駐車場に■はない。自■車もない。

 店内に足を踏み入れると、黒い影に、


 《■ラッシ■イマセ》と声を掛けられる。

 片言だが聞き取れた。タタタ。

 棚がほとんど空っぽ――■■■。

 どこに品物があるか書いてある天井からぶら下がっているプレートも■で■■■で塗りつぶされて■る。

 一か所だけ《農具》と赤い文字で書かれたプレートが異様な光景を醸し出していた。

 人は何かのきっかけで記憶を取り戻すことができる。

 記憶喪失の典型的に直し方だ。

【思い出した! 我は《ジョニー》だ、ミツハとともに野菜を作ろうとしていた】

 戻り方はたぶん、これであって■はず。

 我は必要な最低限の農具を探し当■る。


 鍬、鎌、スコップ、マルチ。

 とりあえず、カゴに入れる。

 ※《マルチ(マルチング)フィルム》

 作物の株元を覆うフィルムを指します。

 除草剤はあったが、カゴには入れられなかった。タタ■。

(おそらく農POINTが影響しているた■か?)

 ダッシュでレジへ向かうと黒い影がレジ打ちしている。イルイルイル■■、■。

【お願い■■す】

 指先の無い黒い手で掴んでは刻印を押してくれる。

 そして、袋詰めまでしてくれている。


 それは、暗黒の袋。詰めたものは袋の中に、■、消えていく。

【どうも】

 《農POINT:165⇒5》

 ホームセンターを出て、急いで元の場所へ戻る。

【男子トイレ】

 ■■■駅構内の男子トイレだ。

 改札前の男子トイレに入ると、手洗い場の上の鏡が黒く■■■にされていた。


 手を突き出して、■■■に全身の体重をかけるとあっけなく、

 するりと鏡の中に呑み込まれた。

 つづく

次回予告:


暗黒世界から戻ったジョニーは、再度、畑と向き合う。

よろしくお願いします。

前話:


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