「ごんぎつね」問いを基に読む国語➁

追究内容の発表

「ごんぎつね」(新美南吉作)を読み、自分たちが決めた問いをグループで追究していました。追究した内容は、学級全体に発表します。
追究の注意点として、子どもたちに示したのは
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・本文のことばから考えられること
・登場人物の言動から気持ちを考えること
・新しい問いが生まれたら、その問いについても考えること
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国語の物語文において、何を子どもに読ませればいいのか分からない、だって一度読めば内容を理解できるから、という声を聞きます。本文のことばから、文字化されていないことを想像することが一つの答えだと考えています。同じようなことを想像していても、少しことばが違うだけで、表したい意味が大きく変わることだってあり得ます。

追究した問いの一覧

子どもたちが追究していた問いは、次の通りです。
・ごんがうなぎをとった時の気持ちは?
・なぜ、ごんはおっかあがなくなる前にうなぎを食べたいと考えたのか。
・松たけやくりを家の中に置いて帰ったごんの気持ちは?
・なぜ「俺にはお礼を言わないで、神様にお礼を言うんじゃ、俺は引き合わないなあ。」と思っていたのに、その後またくりをあげようとした?
・兵十がごんを殺した時の、兵十とごんの気持ち
・兵十にうたれたごんの気持ちは?
・兵十がごんをうってしまって、その後気づいた時のくわしい気持ちは?
・なぜ、兵十はごんが何をしに来たのか見なかったの?
・兵十は、この後どんな行動をとったか。
・ごんの気持ちの変わり方
・いたずらしようとしているごんの気持ちと、殺された時のごんの気持ちは?
・兵十がごんのつぐないに気づいたら、仲良くなれていたのか。
・書いた作者の気持ちは?

多いです。けれど、どれも読み深めるために適した問いだと見ています。
全ての問いを、誰かしら追究するのが理想ですが、人数と時間の関係上それは難しいです。
そこで、全員の問いを一覧にして配布し、自分が追究したい問いを選ぶことにしました。各グループの人数制限はしていません。1人で追究している子もいます。
問いを追究した成果は、スライド・画用紙・劇と、それぞれが工夫して表しています。

ごんをうってしまったときの兵十とごんの気持ち

これは、6場面の場面に関連した問いです。
6場面で、兵十がごんを撃つ場面が印象に残る子が多いです。
5場面まで、ごんの視点で物語を読んでいた子どもたちは、ごんのつぐないに兵十が気づき、許してくれるのではないかと期待しながら読んでいるのだと思います。ところが、ごんは撃たれます。その期待を裏切れたような展開に衝撃を受ける子が多いのではないでしょうか。

この問いについて追究したグループは、兵十とごんにはそれぞれ違う「申し訳なさ」があったのではないかと考えていました。
兵十・・・撃ってしまった、とても悲しい、うしろめたさ⇒申し訳なさ
ごん・・・悪いことをしてしまった、兵十に謝りたい  ⇒申し訳なさ

このように、同じことば(今回だと「申し訳なさ」)でも、文脈によって意味が異なることがあります。あたり前のようですが、物語を読むことを通して、子ども自身が「文脈によって、ことばのもつ意味が変わってくる」ことに気づけること。その気づきを通して、ことばのおもしろさを知ることも、学校で物語文を読む一つの意義なのではないでしょうか。

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