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生きるひと、とても美しいひと


《基诺族以 ”黑“ 为美的民族》

ージノ族の黒は美しさの証だー

そう語ったのは、村で出会った、当時まだ年端もいかない11歳の少女だった。
私はいまだに彼女とのポラロイドをノートに貼ったままだ。

民族という出自に誇りをもつこと。
芯の強さがにじみ出た、美しい女性だった。

中国の雲南省に、西双版纳傣族自治州=シーサンパンナタイ族自治州 という地区が存在する。

彼らはその地区で、資本主義と華人社会に飲み込まれそうになりながら、未だ狩猟採集の暮らしの在り方を忘れずに生きる、
”基诺族” (日本語読みでジノ族)という民族だ。

私が訪問していた2018,19年頃は貨幣経済が流入してからまだ20年前後。
彼らの暮らしには当たり前に自然の恵みから命を頂く行為が組み込まれていた。
自然=すべて という概念が存在し、天地創造の女神と太陽、死神が生きていた。

村は
どこまで資本主義の考えが浸透して
どこまで狩猟採集の習慣が衰退したのだろうか。

知る術が絶たれてから5年がたった。

当時20歳だった私は、彼らの尊さをどこまで理解していたのだろうか。


3日前、久しぶりに土に触れた。
農に勤しむひとたちは相変わらず美しかった。
この世界が美しくあることと同様に。

農を営むということは生きるということ。

畑の真ん中でネギを植えながら
突然、山奥の村で強く、美しく生きる彼らの姿が目の裏に浮かんだ。


ブタのエサを採るためにバナナの茎を切り倒す村の女性


彼らにとても会いたくなった。


「さみしくなったら空を見上げる。あなたは遠い国へ帰ってそしていつか私のことを忘れてしまうだろう。私だけがいつまでも忘れられずにここに残って歌を歌うんだ。空を見れば、そこにあなたがいる。」


んご れ にっきゃ て~そあ
わたしはきみにとてもあいたい




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