※この短編小説はホラーです ご注意ください 黒電話が居間に鳴り響く。 チリリン、チリリンと静寂だった部屋にこだましている。 チリリン、チリリンと夕日で照らされた橙色の部屋に音を伝える。 その音はまるで外で鳴く蝉のように、鬱陶しく壁に反響していた。 僕が出ようと床から立つと 「俺が取る」 と父さんが僕を止めて受話器を持つ。 それが日常だった。 今まで、僕はその黒電話に出たことがない。 黒電話が鳴るのは決まって土曜日の夕方の、太陽が沈みかけ空が赤く暗く染