呼質量(CallCube)の提案:呼数・通話時間・内容による3次元的コールセンター評価指標の構築

1.はじめに

A:コールセンターの指標として通話時間と通話件数を掛け合わせた「呼量」と呼ばれる指標がある。

B:「呼量」とは、コールセンター運営における重要な指標の一つであり、一定期間内の通話件数と通話時間を組み合わせて評価することで、コールセンター全体の業務負荷や顧客対応状況を定量的に把握するために用いられます。
具体的には、ある期間(たとえば1日、1週間、1カ月など)内において、応対した通話件数と総通話時間を掛け合わせることで求められます。この指標により、単純な件数や平均通話時間とは異なり、実際の応対量や要員配置の適切性、将来的な対応力強化や運営効率化のための判断材料として利用することが可能となります。

A:呼量は「要員配置の適切性」を管理するための判断材料にはなる。しかしながら、増大する「呼量」を削減するための指標にはならないと考えている。「個数」と「時間」だけみても、なぜ、「呼量」が増えているのかを知ることができないと考えている。

B:ご指摘の通り、「呼量」はあくまで通話件数と通話時間を組み合わせた総合的な負荷量の尺度であり、その増加要因を特定するには不十分です。
「呼量」の上昇が確認されたとしても、それが顧客問い合わせ数そのものの増加によるものなのか、複雑な対応によって1件あたりの対応時間が伸びた結果なのか、さらには一部オペレーターのスキル不足やシステム不具合による処理遅延が原因なのかなど、その背後にある要因を「個数」と「時間」の単純な積では把握できません。
したがって、「呼量」そのものはコールセンター運営上の要員配置やリソース計画といったマクロな視点での判断材料として有効である一方、品質向上や顧客満足度改善などの具体的施策を講じるためには、通話の要因分析や顧客応対内容の詳細なフィードバック、チャネル別の問い合わせ傾向分析といったより精緻な指標やデータが必要となります。

2.課題

背後にある要因を「個数」と「時間」の単純な積では把握できない。
 
・顧客問い合わせ数そのものの増加によるものなのか
 ・複雑な対応によって1件あたりの対応時間が伸びた結果なのか
 ・一部オペレーターのスキル不足やシステム不具合による処理遅延が原因なのか

そこで私は、お客様とコミュニケータの通話内容に目をつけた。

3.解決策

通話内容を分析することは、「呼量」だけでは把握できない増加要因や課題の本質に迫る有効なアプローチです。具体的には、以下のような点が考えられます。

  1. 問い合わせ内容の分類・特定:顧客が頻繁に尋ねる情報や不明点、特定の商品やサービスに関する質問が多発している場合、その原因を特定することで、FAQの拡充やウェブサイト上での情報発信の強化、マニュアル改善など、事前対応策を打つことが可能となります。

  2. オペレーター応対品質の分析:通話録音やテキスト化されたログを用いることで、オペレーターの説明のわかりやすさ、問題解決までのプロセスのスムーズさ、顧客が繰り返し同じ説明を求めてしまうような改善余地などが明確になります。これにより、研修や教育プログラムの改善、スクリプト再編など、品質改善施策へとつなげることができます。

  3. プロセス・システム上の改善点抽出:通話内容から、社内システムの操作が煩雑であることや、特定の手続きに時間を要するため応対が長引いていることが発覚する場合があります。こうした課題を洗い出すことで、内部プロセス改善やシステム改修を行い、結果的に「呼量」増加の抑制につなげることができます。

このように、通話内容を踏まえた定性的な分析を組み合わせることで、単に「呼量」の増減だけでは捉えられない根本原因の解明や、より効果的な改善策の立案が可能となります。

呼質量(CallCube)の説明文

「呼質量(CallCube)」は、コールセンター業務を多面的かつ総合的に評価するために開発された新たな指標です。従来、コールセンターの生産性評価は、主に「呼数(対応件数)」や「通話時間」といった2次元的な量的指標(呼量)に依拠していました。しかし、これらは増大する通話負荷の本質的な原因や、顧客満足度改善につながる要素を十分に捉えきれません。

呼質量(CallCube)は、3つの軸である「呼数(Count)」「時間(Time)」「内容(Content)」を組み合わせ、立体的(3次元的)な分析を可能にします。「内容」とは、顧客との対話の質的側面を示し、問い合わせテーマの複雑さや回答の有効性、オペレーター応対品質などを包含します。これにより、単純な負荷量の評価にとどまらず、各コールの内在的な価値や課題を浮き彫りにし、より精度の高い改善策の立案を支援します。

特長:

  • 3次元的評価:呼数 × 通話時間 × 通話内容による立体的な指標化

  • 質的要素の統合:対話内容の複雑度や顧客ニーズ、応対品質を評価軸に組み込み

  • 改善策の精緻化:従来の「呼量」では見えなかった原因分析や研修・マニュアル整備へのインサイト提供

  • 国際的発信力:和名「呼質量」と英名「CallCube」を用いることで、国内外での概念普及や標準化を容易に

呼質量(CallCube)を活用することで、コールセンター運営者は単なる業務負荷の把握に留まらず、顧客体験の向上や業務品質の最適化に向けた総合的な戦略立案が可能となります。

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